ランドリーに到着した。

雲雀：「俺、コーヒー淹れてくるな！雪平さんはコーヒー大丈夫か？」

美弥はこくりと頷いた。

セラフ：「大丈夫だって～。凪ちゃんは紅茶？」
四季凪：「いえ。私もコーヒーをお願いします。」
雲雀：「オッケー！ちょっと待ってな。」

美弥：『お手伝いした方が良い？』
セラフ：「いや。雲雀に任せた方が良いかな。アイツのコーヒーめっちゃ美味いから。」
美弥：『楽しみ。』

奏斗：「一先ず何も無くて良かったね。」
四季凪：「今後はどうするお考えですか？実家に戻るのか、一人暮らしをするのか…」
美弥：『実家を出ようと思っています。もっと外の世界を見てみたいので。』

その言葉を聞いて、3人は少し安心した。

雲雀：「おまたせ！熱いから気を付けて飲んでな！」

美弥もカップを受け取って、一口飲んだ。

セラフ：「めっちゃ笑顔じゃんｗｗ」
美弥：『凄く美味しくて。コーヒーってこんなに美味しい物とは思わなかった。』
雲雀：「めっちゃい嬉しい！ありがとな！」
奏斗：「雲雀の淹れるコーヒーは世界一だからね！」
四季凪：「そういえば彼女は一人暮らしを考えているそうですよ。」
雲雀：「良かった。頑張ってな。」

美弥は頷いた。

奏斗：「そういえば、聞こえるようになって初めて会ったけど、俺等の印象って変わった？」
美弥：『少しだけ。』

雲雀：「ちなみに俺は？」
美弥：『雲雀さんは、真夏の太陽って感じですね。元気いっぱいで、こっちまで元気にさせてくれる感じ。』
セラフ：「雲雀っぽいじゃん。」

雲雀：「確かにな。めっちゃ嬉しいわ。じゃあ、奏斗は？」
美弥：『奏斗さんは、風かな。強い風で背中を押してくれるというか、引っ張って行ってくれるイメージ。」
雲雀：「奏斗はリーダーだしな。」

美弥：『四季凪さんは』
四季凪：「えっ？私？」
美弥：『満月のお月さま。暗い中にいても、道を明るく照らして、奏斗さんみたいに引っ張っていくんじゃなくて、優しく手を差し伸べてくれる感じ。』
四季凪：「あっ…ありがとうございます。」
奏斗：「照れてんじゃん！ｗｗ」
四季凪：「うるさいなぁ～。ｗｗ」

奏斗：「セラは？」
美弥：『セラフさんは、お日様ですね。』
雲雀：「俺と一緒じゃん！」
美弥：『セラフさんは、穏やかな光で暖かくて、ついウトウトしちゃうような安心感がある感じです。』
奏斗：「へ～、いいじゃん！」

その後、四季凪は依頼者である美弥の父親への報告メールを準備している。
その間に、残り3人と美弥で引っ越しの準備や場所について話していた。

四季凪：「お父様から返事が来ましたよ。一人暮らしする事も了承されて、安心しているようでした。」
雲雀：「良かったな！」
四季凪：「家も何件か候補を考えて下さっていたようです。これが、その候補の資料です。」

皆の前に数枚プリントアウトしたマンションの情報等が書かれた紙を広げた。

四季凪：「私達視点で、安全性の高くて彼女が落ち着いて住める部屋を選んで欲しいそうです。」
雲雀：「そうだなぁ…俺からしたら、どの家も簡単に突破できそうだけど…」
四季凪：「怪盗の本気を見せないで頂けますか？ｗｗ」

それから皆で話し合って、1つの部屋に決めた。
入居まで数日かかるので、それまで念の為セラフの家で過ごす事となった。

それから数日して、明日美弥がセラフの家から出る事になった。

セラフ：「明日からもういないのか～。」
美弥：『今までありがとうね。』
セラフ：「まだいてもいいけどね。」
美弥：『でも、もうお父様から報酬が支払われたんでしょ？ミッションコンプリートだよ。』
セラフ：「そうそれ。凪ちゃん困ってたよ。こっちが提示した3倍位の金額が支払われてたって。ｗｗ」
美弥：『雲雀さんからも言われた。ありえない金額が支払われてて、お前何したって親から言われたって。』
セラフ：「そうなん？ｗｗ」
美弥：『でも、予定以上に迷惑かけたしね。私からは、お金じゃないけど…』

そう言って、近くに置いてあった紙袋をセラフに渡した。

セラフ：「何これ？」
美弥：『セラフさん、お酒好きだって聞いたから。日本酒なんだけど、美味しいって有名らしくて。良かったら今までのお礼に。』
セラフ：「マ？開けて良い？」

凄く高級でとても飲みやすいと言われているお酒が入っていた。

セラフ：「こんなの貰って良いの？」
美弥：『1週間お世話になったお礼です。こんなのしか準備出来なかったけど。』
セラフ：「めっちゃ嬉しい！夕食の時に飲もう！」

セラフがお酒に合いそうなご飯を頼んでくれた。

セラフ：「いただきま～す！」

二人で手を合わせて、食事をした。
お酒もセラフの口にあったようで、美味しそうに飲んでいる。

セラフ：「俺さぁ、基本的には依頼は完璧にこなしてきたんだけど…」

セラフが急に少し悲しそうな表情で、持っているお酒を見ながら話し始めた。

セラフ：「今回の依頼は完璧に出来なかったのが悔しくて。」
美弥：『完璧だったじゃない？』
セラフ：「美弥さんの…声…聞けなかった…」
美弥：『耳は聞こえるようになったよ。』
セラフ：「それはそうだけどさぁ、俺じゃ安心できないのかと思って…」
美弥：『そんな悲しい事言わないで。セラフさんだったから、耳良くなったし、安心して1週間過ごせたんだから。他の皆さんもとても良い方なんだけど、セラフさんで良かったって本気で思ってるよ。』
セラフ：「あっは…」

セラフは素直に褒められるとどうしていいか分からないようだ。
照れて笑ってごまかしている。

セラフ：「美弥さんって、素直過ぎでしょ。」
美弥：『そう？』
セラフ：「令嬢っぽくないよね。」
美弥：『それは…褒めてる？』
セラフ：「もっと人を見下す感じかと思ってた。」
美弥：『令嬢って、そんなイメージなんだ。』
セラフ：「美弥さんは普通の人と同じなんだよね。」
美弥：『ありがと。』

セラフ：「もしさぁ！…もしもだけど…」
美弥：『何？』
セラフ：「…いや！何でもない！」
美弥：『何？気になるじゃん！！』
セラフ：「気にしないでｗ　そういえば学校どうするの？」
美弥：『私の学校は全て殆どオンライン授業なの。おまけに、去年卒業分の単位取っちゃってるから、のんびりしてる。必須教科だけ。』
セラフ：「それならさ、俺が時間ある時とかに、どこか遊びに行こうよ！お洒落な店とか見に行ったりさ！」
美弥：『いいの？楽しみだな！』

セラフ：「あと、良かったらなんだけど…俺の事さん付けしないで良いから。ほら！もうクライアントとエージェントの関係じゃ無くなったんだし。」
美弥：『うん！じゃあ、私の事もさん付け無しね！』