作戦当日。
セラフと雲雀は、おそらく殆ど使われて無いのであろう、ドアの近くに待機していた。
四季凪と奏斗が外から中の様子をチェックしており、指示が出たら、雲雀のピッキングで侵入開始となる手筈だ。

セラフ：「今回は、予告状出したの？」
雲雀：「いや、出して無いで。流石に、おおごとになるとマズイからな。」
セラフ：「確かにね。」
四季凪：『相手は気づいていないようです。侵入開始しても良いでしょう。』
雲雀：「了解。じゃあ、ピッキング開始するな。」

雲雀は気配を消して、鍵の開錠を行っている。
セラフは周囲に敵の気配が無いか、集中した。

雲雀：「よし…開いた。」

あっという間に、鍵が開いた。
二人で建物に侵入する。

セラフ：「ここは誰もいない。」
四季凪：「了解。まだ敵の動きに変わりはありません。」
奏斗：「てかさぁ、ターゲットいる場所に窓が無いのがダルいよね。中分かんないし。」
四季凪：「窓あったら、雲雀が簡単に侵入して終わらせれるでしょうね。」

ターゲットは最上階の3階だ。
二人共気配を消して敵の目を盗んで上へと向かった。
3階についた途端、敵に見つかった。

セラフ：「ゴメン！敵に見つかった！3階！」
奏斗：「了解。合流する！」

敵：「侵入者だ！！」

セラフ：「雲雀はそのドアのカギを開けて！俺が敵を食い止める！」
雲雀：「分かった！」

雲雀がターゲットの部屋のドアの鍵をピッキングする。
セラフが襲ってくる敵を倒していく。

奏斗：「お待たせ！大丈夫？」
セラフ：「余裕よ。」
奏斗：「おっと。」

話してる二人に向かって来た敵に、奏斗はスタンガンで気絶させた。

雲雀：「よし、開いた！って、あれ？」
セラフ：「どうした？」
雲雀：「ドア開けたらまたドアで草。ｗｗ」
奏斗：「どういう事？」

不思議な構造に疑問を持ちながらも、雲雀は次のドアをピッキングし始めた。

雲雀：「も～！怠いって！！」
奏斗：「何なに、どうしたのさ。」
セラフ：「まだ～？」
雲雀：「いくつドアがあるんだよ！！」
奏斗：「どんな作りなんだよここｗｗ」
セラフ：「もう蹴り壊す？」
四季凪：「あまりおおごとにするのも…」

セラフと奏斗の足元に、次々と敵が倒れていく。

雲雀：「やっと終わった！」
奏斗：「よし！行こう！」

ドアを開けると、中に女性とおじさんがいた。
女性をどこかに連れて行こうとしている途中だった。

奏斗：「待てよ。どこ行くんだよ。」
男：「お前ら何なんだ！」
雲雀：「娘さんを頂きに参りました。」
男：「何だと！？ふざけるな！」

男がナイフを投げて来た。
セラフが隠し持っていたクナイでナイフを払い落とす。

奏斗：「ナイス～。」

すかさず奏斗が男に近付いて、拳銃を突き付けた。

奏斗：「こちらとしては、あまり騒動にしたくないので、大人しくしてくれませんかねー？」
男：「クソっ！」

セラフが男にサムカフをつけた。
鍵は遠くに投げた。

奏斗：「それじゃあ、撤収！」
雲雀：「雪平さん！ここから出るよ！」

雲雀が大きな声で言うも、女性は気付いていないようだ。
「ほら行くよ」と言いながら、雲雀は背後から彼女の肩を叩いた。
すると凄く驚いたように振り返った。

「もしや…」と思い、雲雀は彼女の目の前で目線を合わせて

雲雀：「で・る・よ。つ・い・て・き・て。」

ゆっくり喋った。
すると、女性は頷いて雲雀の後ろをついてきた。

気絶していた敵の意識が戻り、再び襲い掛かってくる。
セラフと奏斗が2人を守りながら、四季凪が待つ場所に向かった。

準備していた車に乗り込み、雲雀が運転する。

四季凪：「皆さんお疲れ様でした。」
奏斗：「久々にこんなに動いたかも。」
雲雀：「確かにな！」
セラフ：「お前ら運動が足りてませんねぇ～。ｗ」
四季凪：「てか、雲雀。クライアントの待つビルはそっちじゃありませんが？」
雲雀：「分かってるって。その前に、ちょ～っと寄り道。」

やってきたのは、昔お世話になっていた闇医者の所だった。

四季凪：「どうしてここへ？」
闇医者：「おぉ、懐かしい奴等が来たな。」
雲雀：「久しぶり！」
闇医者：「皆元気そうに見えるが？どうしたんだ？」
雲雀：「彼女を診て欲しんだよ。」

そう言って、女性を闇医者の前に連れて行った。
彼女は、何が起こっているのか分からないようで、困っている。

闇医者：「ここに来る事は無いタイプの人だな。」
奏斗：「まぁ、真逆の場所にいる人だもんね。」
闇医者：「なるほど。すまないが、紙とペンを持って来てくれないか？」

近くにいた看護師にそう依頼した。
雲雀以外、頭に？が浮かんでいる。

闇医者：「君は…耳が聞こえないね？」

紙にそう書いて彼女に見せた。
彼女は、コクリと頷いた。

セラフ：「マ～？」
四季凪：「だから反応が薄かったんですか。」

闇医者：「名前を教えて貰ってもいいかい？」

そう書いて、紙とペンを彼女に渡した。

美弥：“雪平　美弥　といいます”

闇医者：「声も出ないか…」
セラフ：「そうなの！？」
闇医者：「ちょっと診てみようかね。診察室へどうぞ。お前らはここで待ってろ。」

美弥と一緒に診察室へ入って、数分後出て来た。

闇医者：「過度なストレスによる精神的ダメージからだろう。心身ともに落ち着いたら、すぐに良くなる。心配しなくて良い。」
雲雀：「良かった！」