くぅくぅとカモメの鳴き声。
ざぁざぁと穏やかな波の音。
優しく頬を撫でる微風と暖かな陽の光が一隻の小舟を見守る。

「今日はいい天気だなーっ」

麦わら帽子を被った少年はオールを漕ぎながら雲ひとつない空を見上げた。

彼の名前は＂ルフィ＂。
まだ見ぬ冒険に心躍らせ、海賊としての一歩を踏み出したばかりの男の子だ。


そして、
この物語の原作、ONEPIECEの主人公でもある。


物語の時間軸としては序盤も序盤。主人公ルフィが海賊王になるため村を出て＂ひとりで＂仲間集めの旅を始めたところ。

ーーー 原作通りであれば、の話だが。

「なっ！ラテ！！」

彼の小舟に乗るもう一人の人物。ルフィは双眼鏡を覗き込む少女へと目を移した。

『そうだね、ルフィ』

ラテと呼ばれた少女は『最近、雨が多かったから嬉しいねぇ』と、ふにゃりと笑った。



この物語は海賊王を目指すルフィの＂義姉＂であり＂最初の仲間＂、ラテの冒険のお話である。