おさとうの箱庭
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むかしむかしのおはなしです。
この国は食料も物資も豊富な素晴らしい国ですが、
唯一砂糖だけはつくることができず、国民たちは甘いものの存在を知ることなく暮らしていました。
ある日、遠い遠い国に旅に出ていた女が〈砂糖菓子〉を持って帰ってきました。
それを食べた人々は大喜び。ほっぺたがおちるようなおいしさの虜になり「この食べ物をこの国でたくさん食べられるようにしたい」と、いろんな人がこぞって研究をはじめました。
しかし、この国では砂糖をつくることができません。どんなに頭のいい人が研究を重ねても、どんなにすごい魔法使いが魔法をかけても、あの砂糖菓子の味を再現することはできませんでした。
砂糖菓子が大好きになってしまった国民は困りに困って、とうとう〈禁忌の術〉を使って〈おさとうのかみさま〉を呼び出してしまいました。
〈おさとうのかみさま〉の素晴らしい力で、この国は砂糖の名産地と呼ばれるほど美味しい砂糖がつくれるようになり、人々は甘くて美味しい砂糖菓子をいつでも食べられるようになって大満足。
しかし、お話はすべてハッピーエンドとは限りません。
〈おさとうのかみさま〉の加護を受け続けるには〈大事な大事なお約束〉がありました。
最初はお約束をしっかり守っていた国民たちでしたが、次第にお約束を守ることが難しくなり、とうとうお約束を破ってしまいました。
〈おさとうのかみさま〉は怒って大暴れ。逃げ惑う人々を見境なくお菓子にして、ぱくぱく食べ始めたではありませんか。
砂糖菓子をずっと食べていたいけれど、もうお約束を守ることが出来ない。またまた困った国民たちは、選りすぐりの魔女さまたちにお願いして、暴れる〈おさとうのかみさま〉を眠らせ、塩の塊に閉じ込めてしまいました。
こうして国には平和が戻り、人々は今日もおいしい砂糖菓子を仲良く食べています。
だから、気を付けて。
お約束をちゃんと守らないと、あなたも〈おさとうのかみさま〉に食べられてしまうかもしれません…。
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