銀桂の薫りはあなたの気を惹く -Exhibition -


 意識が眠りから覚める。暖かかった布団の中に室内の冷たい空気が入り込んできた。いや、明確に言えば今の今まで一緒にいた一人分の熱が布団から出たことで空洞が出来上がったのだ。
「かおるちゃん…?」
 僅かに首を起こし、開き切らない目で周りを見渡す。締め切ったカーテンを少し動かすとまだ空は薄暗く夜明け前だった。
 彼女の方が先に目覚めるのは珍しい。彼女と一緒に寝た時はいつも俺の方が先に起きるから。
 水でも飲みに行ったか、トイレにたったか、体感5分ほど経ってもベッドに戻ってこなかったので俺も起きる。が、暗い部屋というのもあるのか俺の服が見当たらない。前空きのシャツが転がっている筈なのだが。
 …これはもしかしたら。
 パンツは履いていたのでスエットパンツを履いて仕方なく上裸で室内を彷徨く。
 部屋を出てすぐ近くにあるトイレに電気はついていない。とすればリビング。キッチンもリビングも薄暗いがベランダへ出れる窓の前に薫ちゃんがコップを持ちながら立っている。カーテン二枚のうち片方だけを開けて日の出を眺めているようだ。俺のシャツを羽織って。
「おはよ薫ちゃん」
「ッびっくりした…おはよう。起こしちゃった?」
「ん、寒くて」
「ごめんごめん」
 後ろから抱きしめて肩に顔を埋めた。
 そうそうこの人肌。代謝が良くてポカポカと暖かくて安心する。
「お水飲む?」
「のむ」
 コップの中に残っていた水を貰う。片手は薫ちゃんを抱きしめたままコップを傾ける。冷たすぎず熱すぎない適温の白湯。
「もういいの?」
「うん全部飲んでいいよ」
 確認をとってから残りを全て飲み干した。ちょうど近くに棚があったのでそこにコップを置いてもう一度両手で薫ちゃんを抱きしめ直す。
「なになに?」
 白湯を飲んで重たかった瞼が上がってきた。
 薄く笑っている薫ちゃんの質問に後ろから彼女の身体を見下ろして答える。
「こんな薄着で窓の前に立っちゃダメでしょ」
 薫ちゃんは俺のシャツ以外に上になにも身につけていない。下にパンツは履いているがそれだけで本当に薄着だ。シャツは薄いし透けているので身体のラインも、何もかも隠れていない。腰回りに回していた腕の位置を少し上げて下から胸を押し上げるように抱きしめる。
「誰も見てないよ高層階だし、時間的にも」
「ダメ」
「ごめんね」
「いいよ」
 素直、可愛い。でもって宥めるように頭を撫でられるのも嫌じゃないな。しかしカーテンは閉めさせていただく。
「あ〜、朝焼け綺麗なのに」
 確かにこうしている間にもカーテンを閉めたはずの薄暗い室内が徐々に明るくなっていく。
 抱きしめていた腕を緩めると薫ちゃんの顔がこちらに向く。不思議そうに首を傾げた表情が可愛い。
「えっあっ…ちょっと…っ」
 無防備な胸の膨らみに両手で下から持ち上げるようにして触れる。
 包み込むように揉んだあとは、人差し指でシャツの上から先端を軽くタップしたり爪先で掻く。
「んっぅ」
 声色が困惑から色がつく。同様に触っていた胸の先端が硬くなって形が布越しにはっきりとしている。触り心地も感度もとてもいい。大きいのに垂れすぎなく、今もまだ成長している。もう凄いとしか言えないどすけべボディ。
 嬌声が漏れる唇の感触を思い出して我慢できずにキスをする。柔らかい、気持ちいい、絡む舌のぬるっとした感触もまた良い。
「…二度寝しよっか?」
「うん」
 恐らくもう部屋の布団は冷えてしまっているだろうが、また二人で温めるとしよう。
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