銀桂の薫りはあなたの気を惹く -Exhibition -


「あ、つけてたんだ」
「うん? あぁこれね」
 薫ちゃんが指摘したのは、初めてのデートで購入したネックレスである。薫ちゃんが気に入ってつけているピアスとトップの飾りがお揃いなのだ。
 彼女は大学にも頻繁にあのピアスをつけているが、俺はデートとかたまに匂わせなど牽制が必要になる時などにつけることが多い。
「あんまりつけないから気に入ってないんだと思ってた」
「気に入ってないわけじゃないよ」
 アクセサリーは付け慣れていないと言うのもあるが、俺は出来るだけこう言うのは大切に保管しておきたい。薫ちゃんは逆に貰ったもの、大事なものはずっと使い続けるタイプ。俺との馴れ初めの一つであるペンケース取り替え事故が起こった遠因である同じ柄のペンケースとポーチセットは中学入学時にご母堂からプレゼントされたものだと聞く。
 使い続けているが、物持ちがいいのか、経年劣化による色褪せなどはあるが状態は綺麗で、大切にしているのが分かる。
「じゃあなんで今日?」
 彼女の疑問は当然だ。今日は薫ちゃんのマンションでお家デートで、前後に知り合いに会う可能性は低い。
「んー今日はね、」
 喋りながら腕を広げると、薫ちゃんの方から腕の中に収まりに来てくれる。抱きしめると柔らかくて暖かくていい香りがして幸せな気持ちになる。
「セックスする時につけてると薫ちゃんの反応が一層良いから」
「…………っばか」
 可愛げしかない言葉と一緒に、握り込まれた拳が胸板に押し付けられる。
 でも、抱きしめた腕の中から出て行こうとはしない。むくれながらも曝け出した俺の胸に耳を当てて鼓動を聞いている。薫ちゃんは薫ちゃんでほんとに俺の爆速鼓動聞くの好きね。
「ん〜♡ 薫ちゃんかわいいね〜チューしよチュー」
「……もう」
 ミーちゃんにするように唇を尖らせてキスをせがむと、薫ちゃんは照れながらも返してくれる。
 可愛すぎて調子に乗って舌を絡め取ったり、唾液を混ぜたりすると「チューなんて可愛いものじゃないじゃん」と叱られてしまった。そりゃ俺と薫ちゃんがチューするんだから、かわいいキスで終わるわけないでしょ。
53/108ページ
スキ