銀桂の薫りはあなたの気を惹く -Exhibition -
今日は朝に忘れ物をしていつもより少し遅く一限目の教室に着いた。と言っても彼も、他の友達は来ていなくて、他の生徒も疎ら。
周りを見渡してふと、後方の席を見た。いつもは後ろに座る理由もないし前列に座っていたけど、たまには後ろの席に座ってみたくなった。そういえば彼が課題教えて欲しいって言ってたし、丁度良いかもしれない。
「…結構遠い」
別に目が悪いわけでもないけど、大きな教室の最後尾列からだと黒板がかなり遠い。
…数分後、真山くんが登校してきた。
「えっ! おはよう後ろ珍しいね」
「おはよう。うんたまには後ろも良いかなって」
教室に入る入り口は二箇所。後方から入ってきた真山くんとすぐに目が合い大層驚かれた。
私の隣にくる彼に配慮して真山くんは私の斜め前に座った。
他のみんなが来るまでおすすめの漫画(BLじゃないやつ)を教えてもらう。
「…はよ、珍しいな」
「そうかな? おはよう水元くん」
二人目は水元くん。彼も私が後ろに座っていることに驚きの言葉を漏らした。
彼は私の前に座って、スマホを見ながら私と真山くんの会話に時々相槌を打ってくれる。二人とも私が後ろに座ってることがそんなに珍しいのかな。
更に数分後、──くんがやってきた。前方の入り口から来た彼は、普段私が座っているであろう席を見て一瞬首を傾げていた。が、周りを見渡して後ろにいる私に気がついてやってくる。
「おはよ薫ちゃん」
「おはよう。気づかなかったでしょ」
「いやだって普段最前列じゃん」
揶揄うと彼は、ちょっと嬉しそうに笑いつつ前の二人が意図して開けた私の隣に着席。それにしても私が揶揄うと嬉しそうなのと楽しそうなのはちょっと謎。
というかみんな私が後ろに座ってるのそんなに可笑しいの? 私だって後ろに座るんですけど。座る場所は自由だからね?
「そんなに珍しい?」
「「「かなり」」」
三人に即答された。これは不貞腐れざるをえない。遺憾である。
「ッまにあった!!?」
本鈴が鳴っている途中にコガちゃんが走って滑り込んできた。
「おはよう。先生まだだし間に合ってるよ」
「よかったぁ…って薫なんで後ろにいんの?! びっくりしたぁ」
だからなんでみんな驚くの?!
──くんと水元くんが吹き出したところで先生がきた。
