銀桂の薫りはあなたの気を惹く -Exhibition -
「いらっしゃいませ〜」
バイト中である。
告白ロン毛小僧とのフラグを折るため紆余曲折始めたバイトだが、給料が良いので薫ちゃんのデート代・その他のために続けている。
一つのバイトに長くいるのもフラグ回避の為に避けて、今までは短期派遣などばかりだったが、ここは普通の接客にしては良い値段をしている。やはり資本主義なこの国、何をするにも金はあった方がいい。
「お待たせしましたご注文どうぞ〜……え、薫ちゃんじゃん」
「え、あ、お疲れ様」
デートもない休日のラフな薫ちゃんも可愛い。
彼女は恋人のバイト先に来たがるような子ではないので、偶然か。バイトはカフェだと教えていたがどことは教えてもなかったし。
「バイトここだったんだ」
「うん。今日はここら辺に用事あったの?」
「美容院がすぐそこなの」
へえ。良い偶然。
「ティーラテのSサイズ、アイスでお願いします」
「茶葉はどうされますか? 種類はこちらから選べます」
むず痒い。たまにふざけて敬語で喋ったりするが、客と店員としての敬語はどうも気恥ずかしい。授業参観的なサムシング。
「セイロンで」
口元に指を当てる考える仕草ばかり見てしまう。打って変わり薫ちゃんは俺の指が指す茶葉の種類を見て真剣に悩んでいた。
「かしこまりました。お持ち帰りですか店内で飲まれますか?」
「お持ち帰りで」
レジを打ち、スマホに表示されたバーコードを読み込んで支払いを行う。レシートを手渡して、受け渡し口の方へ案内した。
「またね、バイト頑張って」
ドリンクを受け取って、立ち去り際に俺の方へ、笑顔で手を振ってくれた。可愛い。
小さく振り返していると、隣のレジに立っていたバイトの先輩に声をかけられた。
「知り合い?」
「彼女ですね」
あ、なんか他人に彼女って紹介すんのあんまないかも。いいな。自尊心上がる。