窓を閉めた。
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発端は七日前。
モビーでさいこーに美味い飯を振舞って、充実した一日を過ごしいつもどーりにベットに入ってオヤスミ三秒。
朝の日差しに目を覚ましたら見知らぬ部屋だった。
おれのすぐ脇には庭があって、奥にトマトが生っている。
吹く風は温く、春島のような気候。
やわらかなそれが降ろされたおれの髪を少しさらって、レースのカーテンを揺らした。
見回せば小さなキッチンとテーブルに椅子が二脚と、少し離れて二人がけ程度のソファ。
物は少なく生活感は薄いが、ぬくい陽の差し込むあたたかな空間。
船の揺れはなく、間違いなく陸だ。
「は?」
新世界の荒波にもまれたおれでも、さすがに意味がわからない。
間抜けな声も出るってんだよ。
呆然として、ゆっくりと人の気配が近づいてくるのを感じ、臨戦態勢をとる。
足音からして女。
立ち止まり、扉が開く。
ソレは予想通り女で……おれの存在をみとめると少しだけ目を大きくした。
「……泥棒ですか?」
「えっ、や、ちがう……」
「では何故ここへ?」
「えーと、おれもワケわかんないんだけど、お嬢ちゃんが連れてきたんじゃねェの?」
女——お嬢ちゃんと呼んで差し支えない年齢に見える——は不思議そうに首を傾げる。
「いえ、覚えがありません。
ご覧のとおり、男性一人抱えられるような筋力は持ち合わせていません」
お嬢ちゃんは服の袖を捲ると、二の腕に力こぶをつくるポーズをとった。
二の腕は若干、ほんっとに若干、ちょっとだけ膨れていた。確かにこりゃ無理だ。
でも、
「能力、とか」
「能力ですか?超能力的な?」
「そうじゃなくて、悪魔の実的な」
「あくまのみ、」
生まれて初めて聞きました、みたいな心底不思議そうな顔をするもんで。
ちょっとばかし不安になっちまって、偉大なる航路はとか白ひげ海賊団とかどこの島とか……いろいろ聞いてみたが、全部似たような反応で。
「あ、のよ、世界地図とか、ある?」
「地球儀なら」
「チキュウギ…」
その後二人でテーブルを挟んで、あーだこーだ話し合って。
結論。
「ここ、おれの知ってる世界じゃねェのかも」
ぽつりとこぼした答えに一言。
「不可思議なこともあるんですね」
そんな一言でまとめちまったお前の方が断然不可思議だなっておれは思うんですけど、そこんとこどうだろう。
——偉大なる航路はなんでも起こると言いますが。——
「カモミールティーいれようと思ってたんですけど、飲みますか?」
「あっ、ハイ、イタダキマス」
「はーい」
(なんでこの子は落ちついてんの?)
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