窓を閉めた。
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「動かないでください」
「アッ、ハイ」
あれから、おれは本当に練習台になっていた。
「できました……!」
「おっ!見せて!」
ちょくちょくと休憩をはさみながら——なまえはぶっ通しでよかったみたいだが、おれは耐えられなかった——完成した絵は、やはり現実に浮き出ているような印象を受ける。
描かれているおれが、ちゃんと生きている。
素人がなにを、と言われるだろうが本当にそう思うのだ。
先日の言葉は謙遜だったとは思えないが。
「すげェじゃん!おれこれもらっていいか?」
「……はい、それは、どうぞ。よかったら」
「なまえちゃん?」
なまえは絵をじっと見つめながら、何やら思案顔で。
「生きて、ますね。」
「うん、おれにも、そう見えるぜ」
「人を描いて、こんな風にできたこと、一度も無かったんです」
「うん」
「ずっと、他人には……自分にも、興味が無くて」
「……うん」
ぽつりぽつりと、自分自身を探るように言葉をこぼすなまえは、次第に俯いてしまっていた顔を上げると眉を下げて微笑んだ。
「サッチさんは、魔法使いですか?」
急にそんなことを言うもんだから。
「ブッ、おま、なんだそれっ、おれが魔法使いなんてガラかってんだよ!
おれはなァ、世界一の白ひげ海賊団の、つよォいコックさんだぜ?」
つい、きれいな髪に手を伸ばして、今度こそ触っちまったんだ。
小さな頭を、なるべく力を入れずに撫でてやれば、眩しそうになまえが目を細めていて。
「でも、なまえがおれに興味もってくれてるんなら、うれしい」
自分でもちょっと引くくらいには甘ったるい声が出ていた自覚はある。
でもさ、本当に嬉しいんだ。
いつもおれと居ると幸せです!みたいな顔してる子が、他人に興味が無いなんて言うもんだから。おれってばちょっとビビってたのよ?
これで、おれにも全然興味無かったらどうしよーって。人間不信になれるかもなァとか。馬鹿なこと考えるくらいにはさ。
「……サッチさんは、とくべつですから」
——杞憂にほっとしたんです。——
「なまえちゃんそれどういう意味?」
「そのまんまの意味です」
「えっ、エッ……?」
(それはす、好き、みたいな…!?)
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