誰の為の庭園か
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武市様の命を受けて、優秀なまた子様は各地に駆り出されるが、特に何の用も無い日。彼女は一日中この庭園に居るのだ。
特に邪魔でもないし、手が借りれるのはありがたい。ただ、何を話すべきなのか分からなくて、早鐘を打つ心臓を抱えて仕事に取りかからなくてはならないので、苦手といえば苦手であった。また子様とは反対の区域で土の整備をしているが、気になってチラチラと覗き見てしまう。
茨の間から彼女がしゃがみこんで作業をする後ろ姿が伺えた。
(また子様、なんでそんな服着て来てるの?しゃがんだら見える!見えるから!)
いつもの太もも丸出しの際どいミニスカートを着ているせいで、あと少しで見えるんじゃないのかとハラハラしてしょうがない。
(どうしてあんたはそう無防備なんですか!)
しかも男と二人っきり、こんな状況でそんなことしてたら一体どうなることやら。
(据え膳も食えぬ男の恥のような俺だから良いですけど!ってか襲ったとして確実に返り討ちにされますもの、俺の身体が庭園の肥料になりますもん!)
いや、他の男だったとしてもきっと肥料になっていただろう。また子様に凡人が勝利する光景が浮かばない。女性ながらもあの万斉様に腕相撲で勝ったという噂を耳にしたこともある。全く女性ながらに恐ろしいお方だ。彼女の隣に並べば大抵の男はゴボウであろう。
こう考えてみれば、また子様にふさわしい男性とは一体どんな人なのか。やはり、総督殿のようなどこか得体の知れぬ様な人だろうか。万斉様も隣に並べば美男美女カップルだ。
(参謀様は……__)
とにかく、また子様の隣にいて似合うのは幹部の人達ほどのレベルでなければならないだろう。あの金髪さんの恋愛は残念ながら実らないのかもしれない。
じっと見つめたまま思考の海に沈んでいるとまた子様と目があった。
「何見てんすか?」
「い、いえ。」
「ん~?」
にやにやとこちらをからかうように伺ってくる。
じりじりと縮む距離に庭師の心臓はもう爆発寸前だ。
「い、い、いえ、その、また子様は恋愛とかされるのかなぁ、と……」
心臓爆発のカウントダウンが聞こえてきてしまったが為、よく纏まらない内に答えてしまった。
「恋愛……っすか。」
その言葉を受けてまた子様は空を見上げるような素振りを見せる。
「いやぁ、総督様とかぁ?万斉様とかぁ?」
声が裏返り語尾が上がってしまう。そうとうな焦りっぷりだ。
「万斉先輩?ないないないっすよ!!先輩みたいな変人と付き合いたがる女子なんていないっすよ。」
そう言って手をひらひら振るまた子様の顔は綺麗な笑顔だ。何か万斉様にまつわる面白い事を思い出しているのだろうか。
「そ、そうなんですねぇ……」
とりあえず笑っておいた。
「だいたい、自分は恋愛とか、興味ないっすし……」
「そうですよねぇ、興味ないですよねぇ。」
「……。」
適当に深く考えずに相槌を打っていたが、口を閉じたまた子様の様子に早くも後悔する。
妙な静寂の中で、自身の迂闊な口への叱責を心の内で浴びせた。女性に恋愛事に聞くとやはり碌なことはない。
「でも、案外、そうでもなかったり、するっすよ……」
「……え?」
そう言ってにっこりと笑った彼女から、それ以上の事は聞けなかった。
特に邪魔でもないし、手が借りれるのはありがたい。ただ、何を話すべきなのか分からなくて、早鐘を打つ心臓を抱えて仕事に取りかからなくてはならないので、苦手といえば苦手であった。また子様とは反対の区域で土の整備をしているが、気になってチラチラと覗き見てしまう。
茨の間から彼女がしゃがみこんで作業をする後ろ姿が伺えた。
(また子様、なんでそんな服着て来てるの?しゃがんだら見える!見えるから!)
いつもの太もも丸出しの際どいミニスカートを着ているせいで、あと少しで見えるんじゃないのかとハラハラしてしょうがない。
(どうしてあんたはそう無防備なんですか!)
しかも男と二人っきり、こんな状況でそんなことしてたら一体どうなることやら。
(据え膳も食えぬ男の恥のような俺だから良いですけど!ってか襲ったとして確実に返り討ちにされますもの、俺の身体が庭園の肥料になりますもん!)
いや、他の男だったとしてもきっと肥料になっていただろう。また子様に凡人が勝利する光景が浮かばない。女性ながらもあの万斉様に腕相撲で勝ったという噂を耳にしたこともある。全く女性ながらに恐ろしいお方だ。彼女の隣に並べば大抵の男はゴボウであろう。
こう考えてみれば、また子様にふさわしい男性とは一体どんな人なのか。やはり、総督殿のようなどこか得体の知れぬ様な人だろうか。万斉様も隣に並べば美男美女カップルだ。
(参謀様は……__)
とにかく、また子様の隣にいて似合うのは幹部の人達ほどのレベルでなければならないだろう。あの金髪さんの恋愛は残念ながら実らないのかもしれない。
じっと見つめたまま思考の海に沈んでいるとまた子様と目があった。
「何見てんすか?」
「い、いえ。」
「ん~?」
にやにやとこちらをからかうように伺ってくる。
じりじりと縮む距離に庭師の心臓はもう爆発寸前だ。
「い、い、いえ、その、また子様は恋愛とかされるのかなぁ、と……」
心臓爆発のカウントダウンが聞こえてきてしまったが為、よく纏まらない内に答えてしまった。
「恋愛……っすか。」
その言葉を受けてまた子様は空を見上げるような素振りを見せる。
「いやぁ、総督様とかぁ?万斉様とかぁ?」
声が裏返り語尾が上がってしまう。そうとうな焦りっぷりだ。
「万斉先輩?ないないないっすよ!!先輩みたいな変人と付き合いたがる女子なんていないっすよ。」
そう言って手をひらひら振るまた子様の顔は綺麗な笑顔だ。何か万斉様にまつわる面白い事を思い出しているのだろうか。
「そ、そうなんですねぇ……」
とりあえず笑っておいた。
「だいたい、自分は恋愛とか、興味ないっすし……」
「そうですよねぇ、興味ないですよねぇ。」
「……。」
適当に深く考えずに相槌を打っていたが、口を閉じたまた子様の様子に早くも後悔する。
妙な静寂の中で、自身の迂闊な口への叱責を心の内で浴びせた。女性に恋愛事に聞くとやはり碌なことはない。
「でも、案外、そうでもなかったり、するっすよ……」
「……え?」
そう言ってにっこりと笑った彼女から、それ以上の事は聞けなかった。