誰の為の庭園か
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翌日の事だった。
長い時間をかけて集められた999本の薔薇は、一つ残らず海に捨てられた。
苦労の結晶とも呼べる薔薇達であったが庭師自身、なんだか手元に残しておくのは無情な気がしてならない。
あれだけ大量に感じられた薔薇達だが、広い海に投げ捨てられればほんとうにちっぽけだ。
それを船上から見下ろしていると、また子様が甲板の淵に立った。
ひゅるりと初夏の穏やかな風に金髪が揺れた。
真っ青な空に向かって手に持っていた薔薇を、高く、高く。
天に届くかのように放り投げた。
くるくると旋回しながら放られた薔薇が頂点にたどり着く前に、
おおぞらに銃声が一発、二発、三発、四発。
すっかり萎れて、黒くなった薔薇は銃弾に割かれて細々と海原に散っていった。
(黒い薔薇の花言葉は、「憎しみ」「恨み」。別れた恋人から贈られる花。)
死者には離別を。
死者には別れを。
「さようなら。」
彼女が庭園を訪れる事は二度とないだろう。
長い時間をかけて集められた999本の薔薇は、一つ残らず海に捨てられた。
苦労の結晶とも呼べる薔薇達であったが庭師自身、なんだか手元に残しておくのは無情な気がしてならない。
あれだけ大量に感じられた薔薇達だが、広い海に投げ捨てられればほんとうにちっぽけだ。
それを船上から見下ろしていると、また子様が甲板の淵に立った。
ひゅるりと初夏の穏やかな風に金髪が揺れた。
真っ青な空に向かって手に持っていた薔薇を、高く、高く。
天に届くかのように放り投げた。
くるくると旋回しながら放られた薔薇が頂点にたどり着く前に、
おおぞらに銃声が一発、二発、三発、四発。
すっかり萎れて、黒くなった薔薇は銃弾に割かれて細々と海原に散っていった。
(黒い薔薇の花言葉は、「憎しみ」「恨み」。別れた恋人から贈られる花。)
死者には離別を。
死者には別れを。
「さようなら。」
彼女が庭園を訪れる事は二度とないだろう。