誰の為の庭園か
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「この部屋はな。昔、ある男の部屋だったのだ。殺人が楽しみの屑でござるがな。」
ぼつっと急に溢された。
そんな事を聞かされても庭師はどう反応したら良いのやら。血を被ることが好きな快楽殺人者ならば、真っ赤な薔薇はよく似合うのだろうな、なんてぼんやり思った程度だ。
「奴には薔薇は似合わぬ。」
その人を知っている万斉様が言うのであれば似合わないのだろう。
「こんな香りが強烈な部屋、あやつは近づくのも無理だろう。」
花の香りが苦手なのだろうか。
「じゃあ、もうこの部屋には戻ってこれませんね。」
何か返しをした方が良いのかと思って、何とか言葉を絞り出した。
「戻ってこれぬ、か。言い得て妙だな。」
何が言い得て妙なのか、何も知らない己には何も理解ができない。
どうしてこの人たちは、どこ含みのある話し方をするのだろうか。
その後、万斉様は仕事に集中していたのか口を開く事はなかった。