【夢】紅桜になって似蔵を救うお話
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真っ暗な部屋に、開けられた戸から廊下の光と二人の人影が入り込んだ。
照明は点けられずに、まるで隠すように、ソレは部屋に置かれていた。
二人は会話も無しに部屋を進んでいく。
二人の足音が静かな部屋に反響する。
部屋の奥に行くにつれて、薄い光が見えて来た。
「武市、一体どこに連れてくつもりだい?」
「……。」
一人が口を訊いたが、もう一人の男は答えなかった。
己の質問が解消されなかった事に不快を感じながらも大人しくついていった。
その薄かった光がすっかり濃くなった頃。二人は足を止めた。
一人が壁際に置かれた機器に手を触れる。
モーターが機動する音と共に淡い紅色が辺りを照らし始める。
二人の前には、一抱え以上もある大きなカプセルが置かれていた。液体で満たされたその中には、一本の刀が浮かんでいた。
「これは……?」
「以前、お話した事を覚えていますか。」
「……なんだったけね。」
「人工知能「電魄」を搭載した対戦艦用機械機動兵器。紅桜。」
「あぁ、なんかあったね。そんな話。」
「きちんと、お話しましたよね。」
きりっと鋭い目をした。
「これを扱って手に入る力と、失うかもしれない物を。」
遊びではない。これは分の悪い賭けのようなものだ。目の前の男はそれを分かっているのか。
「はいはい。」
真剣になって警告と覚悟を促しているというのに、目の前の男は悠々と返事をする。
いつも飄々として、自身とは違う価値観を持つこの男を理解しようとする努力は随分前に無駄だと諦めていた。
冷めた気分で次の言葉を放った。
「では、今から取り出していきます。」
そう宣言すると機器を操作し始めた。
軽快な電子音が背後で止まない中、カプセルの前の男はじぃと何も見る事の出来ない目で、目の前の刀を見つめていた。
水の中では、紅色に染まった泡沫がしきりに昇っていく。
「仲良くやろうね、紅桜。」
己の人生をどちらの道にしろ導いてくれるであろう相棒に声をかけた。
こいつが己にとって微笑む女神となるか、牙を剥く死神となるか。
(どっちでもいい、力が手に入るなら。)
男は独り、笑んだ。
__にぞ、う……さん……?
応える声が生まれたとも知らないで。
照明は点けられずに、まるで隠すように、ソレは部屋に置かれていた。
二人は会話も無しに部屋を進んでいく。
二人の足音が静かな部屋に反響する。
部屋の奥に行くにつれて、薄い光が見えて来た。
「武市、一体どこに連れてくつもりだい?」
「……。」
一人が口を訊いたが、もう一人の男は答えなかった。
己の質問が解消されなかった事に不快を感じながらも大人しくついていった。
その薄かった光がすっかり濃くなった頃。二人は足を止めた。
一人が壁際に置かれた機器に手を触れる。
モーターが機動する音と共に淡い紅色が辺りを照らし始める。
二人の前には、一抱え以上もある大きなカプセルが置かれていた。液体で満たされたその中には、一本の刀が浮かんでいた。
「これは……?」
「以前、お話した事を覚えていますか。」
「……なんだったけね。」
「人工知能「電魄」を搭載した対戦艦用機械機動兵器。紅桜。」
「あぁ、なんかあったね。そんな話。」
「きちんと、お話しましたよね。」
きりっと鋭い目をした。
「これを扱って手に入る力と、失うかもしれない物を。」
遊びではない。これは分の悪い賭けのようなものだ。目の前の男はそれを分かっているのか。
「はいはい。」
真剣になって警告と覚悟を促しているというのに、目の前の男は悠々と返事をする。
いつも飄々として、自身とは違う価値観を持つこの男を理解しようとする努力は随分前に無駄だと諦めていた。
冷めた気分で次の言葉を放った。
「では、今から取り出していきます。」
そう宣言すると機器を操作し始めた。
軽快な電子音が背後で止まない中、カプセルの前の男はじぃと何も見る事の出来ない目で、目の前の刀を見つめていた。
水の中では、紅色に染まった泡沫がしきりに昇っていく。
「仲良くやろうね、紅桜。」
己の人生をどちらの道にしろ導いてくれるであろう相棒に声をかけた。
こいつが己にとって微笑む女神となるか、牙を剥く死神となるか。
(どっちでもいい、力が手に入るなら。)
男は独り、笑んだ。
__にぞ、う……さん……?
応える声が生まれたとも知らないで。