【夢】紅桜になって似蔵を救うお話
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一人の人間がいた。
どこにでも居る、変哲も何もない普通の人間。
両親は二人とも健在。どちらかと言えば裕福な生まれの境遇。
何の不自由も無く、平和の世を一般人として幸せに生きていた。
理不尽も貧困も暴力も恐怖も碌に体験したことのない、身体面でも精神面でもか弱い人間。
そんな彼女は過剰な程に愛を注いでいる相手がいた。
現実に存在する人間ではなかった。
所謂、オタク。という奴だろうか。
彼女は空想の人物にすっかり夢中になっていた。
決して、相まみる事の無い一人の人間に日夜問わず想いを捧げている。
彼が物語の中で泣いたならば、共に心を痛めただろうし。彼が物語の中で嬉しそうにすれば、共に嬉しく思う。彼が物語の中で死んでしまったなら、その情景を何度も見返して、悲しみに喚きながらもその幻想な最期に見惚れる。
まだ若い彼女の短い人生であるが、その人物が彼女にとっての全てであった。
寝ても覚めても彼の事ばかり考え、食事だろうと日常だろうと彼女の頭は彼の事ばかりである。
他の人達は彼の事に考えていない間、他に何を考えるのか、そういう事に本気で悩む始末であった。
それだけ胸の内を彼で満たされようともそれは、恋では無かった。
崇拝か、母性か、憧憬か。どんな言葉を充ててみてもどうもしっくりとこない。
彼女自身言葉にできないような衝動を常にその身に燻ぶらせている。
言葉にしようとも、「可愛い、エモい、エロイ、好き。」としか出てこない。語彙力の欠如である。さて、ソクラテス程の知恵があればこの感情を正確に表現できるだろうか。
昼夜問わずに二次元の彼に抱く、彼女の重すぎる愛は端的に見て、少し異常であった。彼がこの世に存在しない時点でこのような事を思考も無意味であると、彼女は分かっていながらも、仮に世界と彼の命、どちらかが天秤にかけられた時に自身は即決に彼と答えるだろう。そういう自負があった。
(ま、そんな事、私がそっちの世界に飛ばされない限り考えても無駄だけどね。)
彼はあくまで創作上の人物。そういう線引きは彼女の中できちんと行われていた。こういう異常な判断も行動も、起こす相手が、捧げる相手がいないのだ。
ならば、その線引きを取り払ったならば、彼女は一体どんな行動にでるだろうか。愛の力は無限大などという、使い古されすっかり陳家になってしまった言葉があるが、温室育ちの彼女は一体どこまで彼の為に行動できるだろうか。
これは、愛の重さが尋常ではない彼女の二次元という線引きを取っ払ってみたお話。
【愛の重い彼女が紅桜になって似蔵さんを救うお話。】
どこにでも居る、変哲も何もない普通の人間。
両親は二人とも健在。どちらかと言えば裕福な生まれの境遇。
何の不自由も無く、平和の世を一般人として幸せに生きていた。
理不尽も貧困も暴力も恐怖も碌に体験したことのない、身体面でも精神面でもか弱い人間。
そんな彼女は過剰な程に愛を注いでいる相手がいた。
現実に存在する人間ではなかった。
所謂、オタク。という奴だろうか。
彼女は空想の人物にすっかり夢中になっていた。
決して、相まみる事の無い一人の人間に日夜問わず想いを捧げている。
彼が物語の中で泣いたならば、共に心を痛めただろうし。彼が物語の中で嬉しそうにすれば、共に嬉しく思う。彼が物語の中で死んでしまったなら、その情景を何度も見返して、悲しみに喚きながらもその幻想な最期に見惚れる。
まだ若い彼女の短い人生であるが、その人物が彼女にとっての全てであった。
寝ても覚めても彼の事ばかり考え、食事だろうと日常だろうと彼女の頭は彼の事ばかりである。
他の人達は彼の事に考えていない間、他に何を考えるのか、そういう事に本気で悩む始末であった。
それだけ胸の内を彼で満たされようともそれは、恋では無かった。
崇拝か、母性か、憧憬か。どんな言葉を充ててみてもどうもしっくりとこない。
彼女自身言葉にできないような衝動を常にその身に燻ぶらせている。
言葉にしようとも、「可愛い、エモい、エロイ、好き。」としか出てこない。語彙力の欠如である。さて、ソクラテス程の知恵があればこの感情を正確に表現できるだろうか。
昼夜問わずに二次元の彼に抱く、彼女の重すぎる愛は端的に見て、少し異常であった。彼がこの世に存在しない時点でこのような事を思考も無意味であると、彼女は分かっていながらも、仮に世界と彼の命、どちらかが天秤にかけられた時に自身は即決に彼と答えるだろう。そういう自負があった。
(ま、そんな事、私がそっちの世界に飛ばされない限り考えても無駄だけどね。)
彼はあくまで創作上の人物。そういう線引きは彼女の中できちんと行われていた。こういう異常な判断も行動も、起こす相手が、捧げる相手がいないのだ。
ならば、その線引きを取り払ったならば、彼女は一体どんな行動にでるだろうか。愛の力は無限大などという、使い古されすっかり陳家になってしまった言葉があるが、温室育ちの彼女は一体どこまで彼の為に行動できるだろうか。
これは、愛の重さが尋常ではない彼女の二次元という線引きを取っ払ってみたお話。
【愛の重い彼女が紅桜になって似蔵さんを救うお話。】
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