01:出会い編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
エトワールは、人目を避ける様にして、地下牢を進んだ。手に下げたバスケットには、大量のパンとチーズ、ミルクが入っている。
彼女はホメロスの副官なので、人目についたところで別段構わないのだが、目的を知られたくは無かった。
ゴロツキ共が幽閉されている檻の前を幾つか通り過ぎると、イシの村人たちが収監されている檻の前へ出た。そこを通り過ぎ、狭い独房の前まで進んだ。
「エマさん! エマさん!」
エトワールが呼び掛けると、牢の隅で船を漕いでいた少女が、跳ね起きて檻の前までやって来た。
「エトワールさん!! イレブンは?! イレブンはどうなったの?!」
「逃げたわ。もうこの大陸にはいない。貴女は大丈夫? 随分やつれているけれど⋯⋯」
「大丈夫⋯⋯です。私たちのことは⋯⋯。一回だけ、ホメロスの兵が食料を床に投げて、私たちに拾って食べる様に言ったのだけれど、グレイグ様の兵と口論になって⋯⋯。その後グレイグ様がこちらにいらして、頭を下げてくださった⋯⋯。それ以降は、特に酷い事はされていません。私は⋯⋯イレブンがどうしているのか知りたくて、兵士に掴み掛かってしまって独房に入れられました」
エマは酷く打ち拉がれて、涙を零した。
「イレブンが悪魔の子だなんて、嘘! 嘘なんです!! お願い⋯⋯彼を助けて」
「私一人の力でどうにか出来る事では無いわ」
エトワールは、声を落とした。
「明日から、私はホメロス様と悪魔の子を捕まえる為の、遠征に出るわ。貴女たちを、守ってあげる事は出来なくな──」
「私たちの事より、イレブンを──」
「口を挟まないで聞いて!!」
エトワールは、語気を荒げた。あまり悠長に喋っている時間は無い。
「イレブンが悪魔の子なら殺す。でもそうじゃ無いと分かったら、守るわ。その場合、私は此処へ戻ってこれない。貴女たちを守る事が出来なくなってしまう。だからエマさんがなんとかするの!」
「わ⋯⋯私?!」
「そう。グレイグ様と交渉をするの。私とホメロス様の兵が城を去ったら、貴女は見張りを担当しているグレイグ様の兵に、情報を与える代わりに、処遇を改善して欲しいと持ち掛けてみて。“グレイグ様にお話がある”と。それ以外の事を口にしてはいけないし、デルカダール兵の命令を聞いてもいけない。グレイグ様本人が此処へ来たら、“イレブンの祖父テオじいさんは、トレジャーハンターだった。だから彼の足跡を辿れば、イレブンに辿り着ける”と伝えて」
「え?! ええ?! どうしてテオさんの事を?!」
エマは目を回しそうになって、慌てて額に手を当てた。
「調べたの。極秘にね」
エトワールは益々声を落とした。
「村の焼け跡から、手記が見つかったの。テオさんという、トレジャーハンターの。彼の著書をデルカダール中探し回ったら、何とか他の本も読む事が出来た」
「でも! それじゃあ、イレブンの居場所を教えてしまう事になるんじゃ⋯⋯」
「ふふ」
エトワールは、柔らかい笑みをこぼした。
「テオさんは、世界中を旅していたみたい。結局、私たちが捜しまわる範囲は変わらないの。貴女は⋯⋯そうね、こう言ってみて。“イレブンをここに連れて来て! 彼から直接話しを聞きたい!”って。そうすれば、貴女が敢えて役に立たない情報を与えたとは、思われないはずよ」
「⋯⋯貴女は⋯⋯」
エマは喉を詰まらせた。エトワールは、鉄格子の隙間から、パンを二つとミルクの瓶を手渡した。
「差し入れよ。諦めないで、頑張って」
「ありがとうございます! イレブンを⋯⋯宜しくお願いします」
エマが頭を下げたの見て、エトワールは彼女に背を向けた。そして、他のイシの村人たちが囚われている、広い牢にも、パンと飲み水を差し入れた。
そして、空のバスケットを持って立ち上がった瞬間。
「此処で何をしている?!」
デルカダール兵が大声を上げた。鉄仮面で顔が見えない。エトワールは、ため息を吐いて立ち上がった。
「ご覧の通り、餌やりです」
「誰に許可を得た?!」
「許可? 私が?」
エトワールは、余裕の表情でクスクス笑った。
「誰に許可を取れっていうの? 貴方?」
「ふざけるな! どうやって此処へ潜り込んだか知らんが、タダで帰れると思うな! よりにもよって、悪魔の子を匿っていた者に接触するとは⋯⋯お前も仲間か?!」
デルカダール兵は、松明を放り投げて抜剣した。エトワールは、短剣を抜き、構える。
「私を攻撃すれば、とても後悔する事になるわよ」
「黙れ!」
兵士が大きく振りかぶった瞬間、エトワールは短剣を投げ捨てた。
(反射的に殺しちゃう!!)
彼女は小声でバイキルトを唱え、素手で兵士の右手首を掴み、力を込めた。
「ぐっ?!」
男は剣を取り落とし、うめき声をあげた。骨の軋む音が聞こえる。
「な⋯⋯なんだ、お前は⋯⋯っ!」
「離せ!! 女ごときが!!」
別のデルカダール兵が、エトワールの肩を掴み、床に叩きつけた。彼女は頭を強く打ち、軽い脳震盪を起こした。意識が朦朧とし、力が抜ける。
「よくも、やってくれたな!!」
手首を掴まれていた男は、彼女に馬乗りになって、両手を頭上に拘束した。
エトワールは、困り果てて宙を見詰めた。
(参ったわね⋯⋯。重装兵じゃ、急所を蹴飛ばすわけにも行かない。殺すわけにも行かないし⋯⋯)
「考え事か? 随分と余裕だな。折角だ。悲鳴を聞いてから殺すのも悪く──」
「ぬわーーー!!!」
突然、男の後ろにいた小柄な兵が、剣を鞘ごと持ち、全力でエトワールを取り押さえている兵を、ぶん殴った。
「⋯⋯は?」
流石に鉄仮面を付けているとはいえ、男は気を失ってエトワールの上に倒れこんだ。
「おい! お前、何をやっている?!」
別の兵が、剣を構えたままの小柄な兵の肩を掴んだ。小さい方⋯⋯おそらくまだ少年と思われる彼は、肩で息をしながら叫んだ。
「こ⋯⋯これが騎士のやる事ですか?! 一思いに殺すなら、まだ分かります! でも、こんな風に、は⋯⋯辱めるなんて、間違っています!!」
叫び終わった瞬間、辺りに拍手が鳴り響いた。曲がり角から、悪魔の様な笑みを浮かべたホメロスが、姿を現した。
「少年、顔を見せろ」
「は⋯⋯はい!」
彼は重い仮面を外した。まだ成人したばかりであろう、幼さを残した少年の顔が現れた。栗色の髪に、同じ色の大きな瞳の、気弱そうな表情を浮かべている。
「名前は?」
ホメロスが問う。
「ローランと申します!」
少年は声を励まして答える。ホメロスは、ローランの肩に手を置いた。
「騎士の名に相応しい行いをしたな。明日から、私の副官の補佐を宜しく頼む」
「はい! ⋯⋯え?! はぁ?!」
ローランは大声を上げていた。無理も無い。彼はまだ騎士見習いの上に、上官を気絶させたのだ。罰ならともかく、突然とんでもない役割を振られ、目を回した。
「助かりました」
エトワールは、淡白な調子でポツリと溢した。
「どうやって殺さずに取り押さえるか、考えていたのですが」
「ともかく、その下衆から離れろ」
ホメロスは、彼女に覆い被さっていた騎士を、蹴り上げてどかし、手を差し出した。エトワールが素直に取ると、彼は力強く彼女を助け起こした。
「ホメロス⋯⋯様⋯⋯」
呆然と立ち尽くしていた兵が、ガタガタと震えながら呟いた。そして、慌てて膝を折り、深く頭を下げた。
「申し訳ございません! ホメロス様の副官とは知らず、とんでもない無礼を──」
「新兵なのだから、顔を知らぬのは仕方ない。しかし、仮にこの女が民間人だとしても、下卑た振る舞いをして許されると思うな!! 恥を知れ!!」
「申し訳ございません!!」
兵は、ただ謝罪の言葉を繰り返した。
「ローラン」
ホメロスは、鍵の束を新米騎士に投げ付けた。
「この馬鹿者二人を、懲罰房に閉じ込めろ。私が遠征から戻った時に、出してやる」
「はいぃ!!」
ローランはパッと敬礼し、伸びている上官の襟首を掴んで引きずった。その後ろを、絶望に肩を落とした兵が付いていく。
三人の姿が消えたのを確認し、エトワールはホメロスと向き合った。
「どうして、ここに⋯⋯?」
「忘れ物を思い出して、お前の後を追った。⋯⋯しかし、流石悪魔の子を匿った者たち。お前に親切にされても、誰一人として、お前の為に声を上げなかった。お前の親切は報われたか?」
「見返りなど、求めていませんから。それよりも、忘れ物とは? 明日の件についてでしょうか?」
「いや、違う」
ホメロスは、唐突にエトワールを抱き寄せ、唇にキスをした。
「寝る前の挨拶を忘れていた。サッサと部屋へ戻れ」
「は⋯⋯はい⋯⋯」
エトワールは、ぼうっと返事をし、ホメロスの横を通り過ぎた。地下牢が薄暗くて安堵した。顔が燃える様に熱く、身体が疼いていた。
彼女はホメロスの副官なので、人目についたところで別段構わないのだが、目的を知られたくは無かった。
ゴロツキ共が幽閉されている檻の前を幾つか通り過ぎると、イシの村人たちが収監されている檻の前へ出た。そこを通り過ぎ、狭い独房の前まで進んだ。
「エマさん! エマさん!」
エトワールが呼び掛けると、牢の隅で船を漕いでいた少女が、跳ね起きて檻の前までやって来た。
「エトワールさん!! イレブンは?! イレブンはどうなったの?!」
「逃げたわ。もうこの大陸にはいない。貴女は大丈夫? 随分やつれているけれど⋯⋯」
「大丈夫⋯⋯です。私たちのことは⋯⋯。一回だけ、ホメロスの兵が食料を床に投げて、私たちに拾って食べる様に言ったのだけれど、グレイグ様の兵と口論になって⋯⋯。その後グレイグ様がこちらにいらして、頭を下げてくださった⋯⋯。それ以降は、特に酷い事はされていません。私は⋯⋯イレブンがどうしているのか知りたくて、兵士に掴み掛かってしまって独房に入れられました」
エマは酷く打ち拉がれて、涙を零した。
「イレブンが悪魔の子だなんて、嘘! 嘘なんです!! お願い⋯⋯彼を助けて」
「私一人の力でどうにか出来る事では無いわ」
エトワールは、声を落とした。
「明日から、私はホメロス様と悪魔の子を捕まえる為の、遠征に出るわ。貴女たちを、守ってあげる事は出来なくな──」
「私たちの事より、イレブンを──」
「口を挟まないで聞いて!!」
エトワールは、語気を荒げた。あまり悠長に喋っている時間は無い。
「イレブンが悪魔の子なら殺す。でもそうじゃ無いと分かったら、守るわ。その場合、私は此処へ戻ってこれない。貴女たちを守る事が出来なくなってしまう。だからエマさんがなんとかするの!」
「わ⋯⋯私?!」
「そう。グレイグ様と交渉をするの。私とホメロス様の兵が城を去ったら、貴女は見張りを担当しているグレイグ様の兵に、情報を与える代わりに、処遇を改善して欲しいと持ち掛けてみて。“グレイグ様にお話がある”と。それ以外の事を口にしてはいけないし、デルカダール兵の命令を聞いてもいけない。グレイグ様本人が此処へ来たら、“イレブンの祖父テオじいさんは、トレジャーハンターだった。だから彼の足跡を辿れば、イレブンに辿り着ける”と伝えて」
「え?! ええ?! どうしてテオさんの事を?!」
エマは目を回しそうになって、慌てて額に手を当てた。
「調べたの。極秘にね」
エトワールは益々声を落とした。
「村の焼け跡から、手記が見つかったの。テオさんという、トレジャーハンターの。彼の著書をデルカダール中探し回ったら、何とか他の本も読む事が出来た」
「でも! それじゃあ、イレブンの居場所を教えてしまう事になるんじゃ⋯⋯」
「ふふ」
エトワールは、柔らかい笑みをこぼした。
「テオさんは、世界中を旅していたみたい。結局、私たちが捜しまわる範囲は変わらないの。貴女は⋯⋯そうね、こう言ってみて。“イレブンをここに連れて来て! 彼から直接話しを聞きたい!”って。そうすれば、貴女が敢えて役に立たない情報を与えたとは、思われないはずよ」
「⋯⋯貴女は⋯⋯」
エマは喉を詰まらせた。エトワールは、鉄格子の隙間から、パンを二つとミルクの瓶を手渡した。
「差し入れよ。諦めないで、頑張って」
「ありがとうございます! イレブンを⋯⋯宜しくお願いします」
エマが頭を下げたの見て、エトワールは彼女に背を向けた。そして、他のイシの村人たちが囚われている、広い牢にも、パンと飲み水を差し入れた。
そして、空のバスケットを持って立ち上がった瞬間。
「此処で何をしている?!」
デルカダール兵が大声を上げた。鉄仮面で顔が見えない。エトワールは、ため息を吐いて立ち上がった。
「ご覧の通り、餌やりです」
「誰に許可を得た?!」
「許可? 私が?」
エトワールは、余裕の表情でクスクス笑った。
「誰に許可を取れっていうの? 貴方?」
「ふざけるな! どうやって此処へ潜り込んだか知らんが、タダで帰れると思うな! よりにもよって、悪魔の子を匿っていた者に接触するとは⋯⋯お前も仲間か?!」
デルカダール兵は、松明を放り投げて抜剣した。エトワールは、短剣を抜き、構える。
「私を攻撃すれば、とても後悔する事になるわよ」
「黙れ!」
兵士が大きく振りかぶった瞬間、エトワールは短剣を投げ捨てた。
(反射的に殺しちゃう!!)
彼女は小声でバイキルトを唱え、素手で兵士の右手首を掴み、力を込めた。
「ぐっ?!」
男は剣を取り落とし、うめき声をあげた。骨の軋む音が聞こえる。
「な⋯⋯なんだ、お前は⋯⋯っ!」
「離せ!! 女ごときが!!」
別のデルカダール兵が、エトワールの肩を掴み、床に叩きつけた。彼女は頭を強く打ち、軽い脳震盪を起こした。意識が朦朧とし、力が抜ける。
「よくも、やってくれたな!!」
手首を掴まれていた男は、彼女に馬乗りになって、両手を頭上に拘束した。
エトワールは、困り果てて宙を見詰めた。
(参ったわね⋯⋯。重装兵じゃ、急所を蹴飛ばすわけにも行かない。殺すわけにも行かないし⋯⋯)
「考え事か? 随分と余裕だな。折角だ。悲鳴を聞いてから殺すのも悪く──」
「ぬわーーー!!!」
突然、男の後ろにいた小柄な兵が、剣を鞘ごと持ち、全力でエトワールを取り押さえている兵を、ぶん殴った。
「⋯⋯は?」
流石に鉄仮面を付けているとはいえ、男は気を失ってエトワールの上に倒れこんだ。
「おい! お前、何をやっている?!」
別の兵が、剣を構えたままの小柄な兵の肩を掴んだ。小さい方⋯⋯おそらくまだ少年と思われる彼は、肩で息をしながら叫んだ。
「こ⋯⋯これが騎士のやる事ですか?! 一思いに殺すなら、まだ分かります! でも、こんな風に、は⋯⋯辱めるなんて、間違っています!!」
叫び終わった瞬間、辺りに拍手が鳴り響いた。曲がり角から、悪魔の様な笑みを浮かべたホメロスが、姿を現した。
「少年、顔を見せろ」
「は⋯⋯はい!」
彼は重い仮面を外した。まだ成人したばかりであろう、幼さを残した少年の顔が現れた。栗色の髪に、同じ色の大きな瞳の、気弱そうな表情を浮かべている。
「名前は?」
ホメロスが問う。
「ローランと申します!」
少年は声を励まして答える。ホメロスは、ローランの肩に手を置いた。
「騎士の名に相応しい行いをしたな。明日から、私の副官の補佐を宜しく頼む」
「はい! ⋯⋯え?! はぁ?!」
ローランは大声を上げていた。無理も無い。彼はまだ騎士見習いの上に、上官を気絶させたのだ。罰ならともかく、突然とんでもない役割を振られ、目を回した。
「助かりました」
エトワールは、淡白な調子でポツリと溢した。
「どうやって殺さずに取り押さえるか、考えていたのですが」
「ともかく、その下衆から離れろ」
ホメロスは、彼女に覆い被さっていた騎士を、蹴り上げてどかし、手を差し出した。エトワールが素直に取ると、彼は力強く彼女を助け起こした。
「ホメロス⋯⋯様⋯⋯」
呆然と立ち尽くしていた兵が、ガタガタと震えながら呟いた。そして、慌てて膝を折り、深く頭を下げた。
「申し訳ございません! ホメロス様の副官とは知らず、とんでもない無礼を──」
「新兵なのだから、顔を知らぬのは仕方ない。しかし、仮にこの女が民間人だとしても、下卑た振る舞いをして許されると思うな!! 恥を知れ!!」
「申し訳ございません!!」
兵は、ただ謝罪の言葉を繰り返した。
「ローラン」
ホメロスは、鍵の束を新米騎士に投げ付けた。
「この馬鹿者二人を、懲罰房に閉じ込めろ。私が遠征から戻った時に、出してやる」
「はいぃ!!」
ローランはパッと敬礼し、伸びている上官の襟首を掴んで引きずった。その後ろを、絶望に肩を落とした兵が付いていく。
三人の姿が消えたのを確認し、エトワールはホメロスと向き合った。
「どうして、ここに⋯⋯?」
「忘れ物を思い出して、お前の後を追った。⋯⋯しかし、流石悪魔の子を匿った者たち。お前に親切にされても、誰一人として、お前の為に声を上げなかった。お前の親切は報われたか?」
「見返りなど、求めていませんから。それよりも、忘れ物とは? 明日の件についてでしょうか?」
「いや、違う」
ホメロスは、唐突にエトワールを抱き寄せ、唇にキスをした。
「寝る前の挨拶を忘れていた。サッサと部屋へ戻れ」
「は⋯⋯はい⋯⋯」
エトワールは、ぼうっと返事をし、ホメロスの横を通り過ぎた。地下牢が薄暗くて安堵した。顔が燃える様に熱く、身体が疼いていた。