マイエラ地方出身、マスター・ライラスの養女。
02:リーザス編
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関所までは、比較的早く辿り着く事が出来た。
「うわあ......」
丸焦げで大穴のあいた門を目にし、ヤンガスは目を見開いた。
「こりゃ、只者の仕業じゃあ無いでがすよ! ......ひい!!!」
彼は門の傍に横たわる、無残な死体を目にして、巨体に似合わぬ情けない声を上げた。
アンジェリカもエイトも、血の気を失った。死体なんて、誰が見たって気持ちの良いモノでは無い。トロデに至っては、ギュッと目を閉じ、顔を逸らしていた。
「何たる事じゃ......。本来ならば、トロデーンから兵を送るべきじゃが、其れも叶わぬ。皆、茨に姿を変えられてしもうたからの......」
「トロデ王」
アンジェリカは、いよいよ疑念を口にした。
「王家の宝であった神鳥の杖は、何故封印されていたのですか?」
あのドルマゲスが、本当に城を滅ぼし、関所の兵達を殺したのだろうか。百歩譲って、マスター・ライラスなら、動機が分からなくも無い。しかし、こんなにも、脈絡の無い殺人を繰り返す勇気が、ドルマゲスにあっただろうか?
アンジェリカには、全ての原因が杖にあるような気がしていたのだ。
トロデ王は再び馬車を進めながら、首を横に振った。
「わしも、先代から詳しい話は聞いておらんのじゃ。ただ、決して触れてはならぬと、それだけは何度も言い聞かされたわい」
「触れては行けない......」
アンジェリカは、背筋が凍るのを感じた。王族ですら、触れる事の許されなかったものに、一体どんな魔法が込められていると言うのだろう?
「アンジェ?」
エイトが心配そうに、彼女の顔を覗き込んだ。アンジェリカは仰天して飛び上がり、フラリとよろけてヤンガスの方へ倒れてしまった。さらに不運な事に、彼の被っていた棘だらけの兜が、背中に食い込んだ。
「痛い!!!!」
「アンジェ!!!」
エイトはすぐに手を伸ばし、彼女の体を起こした。アンジェリカといえば、背中の痛みに涙目になっていた。
「ごめんなさい、ヤンちゃん!」
それでも謝る所が、如何にもアンジェリカらしい。流石のヤンガスも、彼女に対して悪態を吐く気にはなれなかったらしく、すまなそうに兜の位置を直した。
「いや、あっしのこの兜が悪かったんでげす」
「バカ者! 兜ではなく、お前のせいじゃ!」
トロデは、緑の顔を深緑色にして怒鳴った。
「将来、姫の付き人になる者なのだぞ! 怪我でもしたら、どうしてくれるんじゃ!!」
「そりゃ、初耳でがすよ! こんな緑のおっさんの話を、真っ向から信じようだなんて、アンジェも底なしのお人好しでげすな!」
二人のおっさんは火花を散らし合い、一番の被害者であるアンジェリカは、何故か自分の事を悪く言われている気がして、ため息を吐いた。
何もかもが嘘なら良いと、彼女は願っていた。全てが悪い夢で、目覚めれば、ライラスとドルマゲスの、言い争いが聞こえて来る。そうであれば、どれだけ幸せな事か。
やがて、一行は橋を渡りきり、新たな地方へと差し掛かった。
リーザス地方。確か名門のアルバート家が納めている地域だ。さぞかし立派なお屋敷があるのだろうと、アンジェリカはワクワクしていた。
幾つかの坂を登り、曲がりくねった道を進むと......
「ここが、リーザス村?」
エイトは、素朴な村の様子を覗き込み、呟いた。アンジェリカは、彼から預けられていた地図を覗き込み、一つ頷く。
「間違い無いわ」
果たして、こんなにも穏やかな村に、道化師姿の男が立ち寄っただろうか。
トロデは例の如く村の外で馬車を留め、幌の中に身を潜めてしまった。
アンジェリカ、エイト、ヤンガスは、お互いを見やって頷き合うと、村の中へと足を踏み入れた。
「うわあ......」
丸焦げで大穴のあいた門を目にし、ヤンガスは目を見開いた。
「こりゃ、只者の仕業じゃあ無いでがすよ! ......ひい!!!」
彼は門の傍に横たわる、無残な死体を目にして、巨体に似合わぬ情けない声を上げた。
アンジェリカもエイトも、血の気を失った。死体なんて、誰が見たって気持ちの良いモノでは無い。トロデに至っては、ギュッと目を閉じ、顔を逸らしていた。
「何たる事じゃ......。本来ならば、トロデーンから兵を送るべきじゃが、其れも叶わぬ。皆、茨に姿を変えられてしもうたからの......」
「トロデ王」
アンジェリカは、いよいよ疑念を口にした。
「王家の宝であった神鳥の杖は、何故封印されていたのですか?」
あのドルマゲスが、本当に城を滅ぼし、関所の兵達を殺したのだろうか。百歩譲って、マスター・ライラスなら、動機が分からなくも無い。しかし、こんなにも、脈絡の無い殺人を繰り返す勇気が、ドルマゲスにあっただろうか?
アンジェリカには、全ての原因が杖にあるような気がしていたのだ。
トロデ王は再び馬車を進めながら、首を横に振った。
「わしも、先代から詳しい話は聞いておらんのじゃ。ただ、決して触れてはならぬと、それだけは何度も言い聞かされたわい」
「触れては行けない......」
アンジェリカは、背筋が凍るのを感じた。王族ですら、触れる事の許されなかったものに、一体どんな魔法が込められていると言うのだろう?
「アンジェ?」
エイトが心配そうに、彼女の顔を覗き込んだ。アンジェリカは仰天して飛び上がり、フラリとよろけてヤンガスの方へ倒れてしまった。さらに不運な事に、彼の被っていた棘だらけの兜が、背中に食い込んだ。
「痛い!!!!」
「アンジェ!!!」
エイトはすぐに手を伸ばし、彼女の体を起こした。アンジェリカといえば、背中の痛みに涙目になっていた。
「ごめんなさい、ヤンちゃん!」
それでも謝る所が、如何にもアンジェリカらしい。流石のヤンガスも、彼女に対して悪態を吐く気にはなれなかったらしく、すまなそうに兜の位置を直した。
「いや、あっしのこの兜が悪かったんでげす」
「バカ者! 兜ではなく、お前のせいじゃ!」
トロデは、緑の顔を深緑色にして怒鳴った。
「将来、姫の付き人になる者なのだぞ! 怪我でもしたら、どうしてくれるんじゃ!!」
「そりゃ、初耳でがすよ! こんな緑のおっさんの話を、真っ向から信じようだなんて、アンジェも底なしのお人好しでげすな!」
二人のおっさんは火花を散らし合い、一番の被害者であるアンジェリカは、何故か自分の事を悪く言われている気がして、ため息を吐いた。
何もかもが嘘なら良いと、彼女は願っていた。全てが悪い夢で、目覚めれば、ライラスとドルマゲスの、言い争いが聞こえて来る。そうであれば、どれだけ幸せな事か。
やがて、一行は橋を渡りきり、新たな地方へと差し掛かった。
リーザス地方。確か名門のアルバート家が納めている地域だ。さぞかし立派なお屋敷があるのだろうと、アンジェリカはワクワクしていた。
幾つかの坂を登り、曲がりくねった道を進むと......
「ここが、リーザス村?」
エイトは、素朴な村の様子を覗き込み、呟いた。アンジェリカは、彼から預けられていた地図を覗き込み、一つ頷く。
「間違い無いわ」
果たして、こんなにも穏やかな村に、道化師姿の男が立ち寄っただろうか。
トロデは例の如く村の外で馬車を留め、幌の中に身を潜めてしまった。
アンジェリカ、エイト、ヤンガスは、お互いを見やって頷き合うと、村の中へと足を踏み入れた。