マイエラ地方出身、マスター・ライラスの養女。
02:リーザス編
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「......アンジェ! アンジェリカ!!!」
エイトの声で、アンジェリカは重たい瞼を開けた。夢を見ていた気がする。しかし、どうしても内容が思い出せない。
不意に窓の外に目をやると、もう陽が高く昇っていた。
「嫌だわ!! 私、寝坊しちゃったのね?!」
彼女が、あまりにも勢い良く起き上がったので、エイトは額がぶつからない様に、慌てて身を引き、隣のベッドに倒れ込んだ。
その様を見て、アンジェリカは益々パニックに陥った。
「本当にごめんなさい! 悪気は無かったの。でも、嗚呼ーー」
「落ち着いて!」
エイトが、苦笑しつつ自分のベッドに座り直した。
「確かにちょっとだけ長く寝ていたけれど、疲れていたんだよね? 本当はもう少し休んでいても良かったんだけど......君が泣いていたから......」
その時になって、アンジェリカは漸く、頬を伝う雫に気が付いた。その理由が分からなくても、心の奥底に、何とも形容しがたい感情が渦を巻いていた。
寂しいわけでは無い。暖かい気もした。けれど、寂しく、それでも温もりを感じていた。
思い出したいのに、思い出せない。はっきりと記憶に残っているのは、満天の星空。そして、一人納得する。星を見て、幸せな気持ちになれない人なんか、いないのだ、と。だから、きっといい夢だったのだ。涙が出るほどに。
「とにかく、直ぐに着替えるわ。ゼシカさんの所に行かないと!」
「それがね、彼女、村を出て行っちゃったんだ。」
「ええ?!」
アンジェリカの中に、微かに残っていた眠気が吹き飛んだ。
「どうして?! 何処へ?!」
「僕たち、朝一でお屋敷を訪ねたんだけど、アローザさんと、物凄い喧嘩をしていて......。アローザンさんは、アルバート家の家訓に従って、家で喪に服しなさいって主張して、ゼシカさんは、サーベルさんの仇を討つまでは家に帰らないってーー」
「それで、ドルマゲスを追い掛けて行ってしまったの?!」
アンジェリカは、血の気を失って立ち上がった。
彼女には、ゼシカが強い魔法使いである事が分かっていた。昨日の呪文はかなり強力だった。しかし、それでも、ドルマゲスを倒せるかと言えば、答えはノーだ。
城を棘で閉ざし、マスター・ライラスを殺した男に、女の子一人が敵うはずもない。
「僕たち、村の入り口で待ってるから。準備が出来たら来てね。朝ご飯は、女将さんが空のバスケットに詰めてくれたから」
エイトはヤンガスと連れ立って、部屋を去った。
アンジェリカは、お尻に火が着いたかの様に、目的を持って動き出した。
トラペッタから持ち込んだ、僅かな荷物から、身かわしの服を纏う。それから、ライラスから預かっていたゴールドを確認。二万ゴールド程ある。これなら、大きな街に着いた時に、ある程度装備を整えられるだろう。
階段を駆け降りると、宿屋の女将がせっせと床掃除をしていた。その手が荒れていたので、反射的にホイミを掛ける。
「おや!」
女将は驚いて顔を上げたが、アンジェリカは、もう既に外に飛び出していた。お代はもう支払われていたので、わざわざ追い掛けはしなかったが、自分のツルピカの手を見つめて、微笑んだ。
「まったく。ウチの娘も、こんな魔法を覚えてくれれば、助かるんだけれどねぇ」
また当分は、静かな日々が続くだろう。
エイトの声で、アンジェリカは重たい瞼を開けた。夢を見ていた気がする。しかし、どうしても内容が思い出せない。
不意に窓の外に目をやると、もう陽が高く昇っていた。
「嫌だわ!! 私、寝坊しちゃったのね?!」
彼女が、あまりにも勢い良く起き上がったので、エイトは額がぶつからない様に、慌てて身を引き、隣のベッドに倒れ込んだ。
その様を見て、アンジェリカは益々パニックに陥った。
「本当にごめんなさい! 悪気は無かったの。でも、嗚呼ーー」
「落ち着いて!」
エイトが、苦笑しつつ自分のベッドに座り直した。
「確かにちょっとだけ長く寝ていたけれど、疲れていたんだよね? 本当はもう少し休んでいても良かったんだけど......君が泣いていたから......」
その時になって、アンジェリカは漸く、頬を伝う雫に気が付いた。その理由が分からなくても、心の奥底に、何とも形容しがたい感情が渦を巻いていた。
寂しいわけでは無い。暖かい気もした。けれど、寂しく、それでも温もりを感じていた。
思い出したいのに、思い出せない。はっきりと記憶に残っているのは、満天の星空。そして、一人納得する。星を見て、幸せな気持ちになれない人なんか、いないのだ、と。だから、きっといい夢だったのだ。涙が出るほどに。
「とにかく、直ぐに着替えるわ。ゼシカさんの所に行かないと!」
「それがね、彼女、村を出て行っちゃったんだ。」
「ええ?!」
アンジェリカの中に、微かに残っていた眠気が吹き飛んだ。
「どうして?! 何処へ?!」
「僕たち、朝一でお屋敷を訪ねたんだけど、アローザさんと、物凄い喧嘩をしていて......。アローザンさんは、アルバート家の家訓に従って、家で喪に服しなさいって主張して、ゼシカさんは、サーベルさんの仇を討つまでは家に帰らないってーー」
「それで、ドルマゲスを追い掛けて行ってしまったの?!」
アンジェリカは、血の気を失って立ち上がった。
彼女には、ゼシカが強い魔法使いである事が分かっていた。昨日の呪文はかなり強力だった。しかし、それでも、ドルマゲスを倒せるかと言えば、答えはノーだ。
城を棘で閉ざし、マスター・ライラスを殺した男に、女の子一人が敵うはずもない。
「僕たち、村の入り口で待ってるから。準備が出来たら来てね。朝ご飯は、女将さんが空のバスケットに詰めてくれたから」
エイトはヤンガスと連れ立って、部屋を去った。
アンジェリカは、お尻に火が着いたかの様に、目的を持って動き出した。
トラペッタから持ち込んだ、僅かな荷物から、身かわしの服を纏う。それから、ライラスから預かっていたゴールドを確認。二万ゴールド程ある。これなら、大きな街に着いた時に、ある程度装備を整えられるだろう。
階段を駆け降りると、宿屋の女将がせっせと床掃除をしていた。その手が荒れていたので、反射的にホイミを掛ける。
「おや!」
女将は驚いて顔を上げたが、アンジェリカは、もう既に外に飛び出していた。お代はもう支払われていたので、わざわざ追い掛けはしなかったが、自分のツルピカの手を見つめて、微笑んだ。
「まったく。ウチの娘も、こんな魔法を覚えてくれれば、助かるんだけれどねぇ」
また当分は、静かな日々が続くだろう。