ファヌージュ出身の傭兵。
02:失望
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ーー
「一体何処を思い浮かべた?」
真っ暗闇の中に、レイグルの不思議そうな声が響いた。(夢主)は、恐怖のあまり言葉を返せなかった。
(何も見えない......視えない!)
すぐ隣にレイグルの気配を感じたが、それ以外には何も存在していない。いや、逆に、四方八方に何かが存在している様な気もする。
「何ですか、此処は?!」
「それは俺の台詞だ。お前も異世界の住人か?」
「私は人間です!! ......一応確認しますが、貴方が、ワザとこんな場所に転移したわけでは無いのですね?」
「勿論。お前が何処を考えたか、察しはつく。......そして、此処の主は、どうやら俺に用があるらしい」
レイグルは、スッと横に手を伸ばし、フランチェスカの身体を背後に追いやった。どうやら説明する気は無いが、護ってくれる気はあるらしい。
ぞっとする様な気配が、前方から迫り来る。
「興味深い」
突然、すぐ近くで声が響き、フランチェスカは息を呑んだ。普通の人間なら腰を抜かすか、気絶していただろうが、彼女は一山幾らの戦士とは違う。強い相手を前に、座り込むなど、命を投げ打つ行為に等しい。
剣に手を掛けて腰を引いたが、レイグルの腕がそれを制した。
「コソコソと隠れていないで、姿を見せろ」
彼が凄むと、謎の声は喉の奥で笑った。
「見せられる姿が無いとは、考えられぬか、魔族の者よ」
「......場所を違えた。用が無いのなら、元の場所へ戻せ」
「レイグルよ。お前には、死が迫っている。黒く、不吉な死の影が。やがてその影は、ミュールゲニア全体に拡がり、あの大陸に無数の屍を晒すこととなるだろう」
(“あの”大陸?)
フランチェスカは、鋭く言葉の端を捉えた。
(じゃあ、此処は大陸外?! ミュールゲニアじゃない?!)
かといって、魔界でも無いようだ。
「それで、お前は何の用があって、俺を呼び止めた?」
レイグルは恐る様子も見せずに、淡々と問う。
「死の宣告か?」
「いいや。そう焦らずとも、今はその時ではない。しかし、多くの者の生成与奪を握るお前に、興味があっただけだ。予は何時でも、お前を観ている。用があれば、呼んでみるのも良かろう」
随分と横柄な物言いだ。謎の声が消えた瞬間、フランチェスカの脳裏に懐かしい風景が浮かんだ。
森に囲まれた小さな村。その一番北にある、小さな木の家。彼女の生家だ。
光が弾け、瞬きする間に、フランチェスカは“そこ”に立っていた。
「一体何処を思い浮かべた?」
真っ暗闇の中に、レイグルの不思議そうな声が響いた。(夢主)は、恐怖のあまり言葉を返せなかった。
(何も見えない......視えない!)
すぐ隣にレイグルの気配を感じたが、それ以外には何も存在していない。いや、逆に、四方八方に何かが存在している様な気もする。
「何ですか、此処は?!」
「それは俺の台詞だ。お前も異世界の住人か?」
「私は人間です!! ......一応確認しますが、貴方が、ワザとこんな場所に転移したわけでは無いのですね?」
「勿論。お前が何処を考えたか、察しはつく。......そして、此処の主は、どうやら俺に用があるらしい」
レイグルは、スッと横に手を伸ばし、フランチェスカの身体を背後に追いやった。どうやら説明する気は無いが、護ってくれる気はあるらしい。
ぞっとする様な気配が、前方から迫り来る。
「興味深い」
突然、すぐ近くで声が響き、フランチェスカは息を呑んだ。普通の人間なら腰を抜かすか、気絶していただろうが、彼女は一山幾らの戦士とは違う。強い相手を前に、座り込むなど、命を投げ打つ行為に等しい。
剣に手を掛けて腰を引いたが、レイグルの腕がそれを制した。
「コソコソと隠れていないで、姿を見せろ」
彼が凄むと、謎の声は喉の奥で笑った。
「見せられる姿が無いとは、考えられぬか、魔族の者よ」
「......場所を違えた。用が無いのなら、元の場所へ戻せ」
「レイグルよ。お前には、死が迫っている。黒く、不吉な死の影が。やがてその影は、ミュールゲニア全体に拡がり、あの大陸に無数の屍を晒すこととなるだろう」
(“あの”大陸?)
フランチェスカは、鋭く言葉の端を捉えた。
(じゃあ、此処は大陸外?! ミュールゲニアじゃない?!)
かといって、魔界でも無いようだ。
「それで、お前は何の用があって、俺を呼び止めた?」
レイグルは恐る様子も見せずに、淡々と問う。
「死の宣告か?」
「いいや。そう焦らずとも、今はその時ではない。しかし、多くの者の生成与奪を握るお前に、興味があっただけだ。予は何時でも、お前を観ている。用があれば、呼んでみるのも良かろう」
随分と横柄な物言いだ。謎の声が消えた瞬間、フランチェスカの脳裏に懐かしい風景が浮かんだ。
森に囲まれた小さな村。その一番北にある、小さな木の家。彼女の生家だ。
光が弾け、瞬きする間に、フランチェスカは“そこ”に立っていた。