GS3嵐×バンビ
転がってきたボタン テーマ:制服のボタンが取れた
「あれ?」
廊下を歩く美奈子の目の前にころころと転がってきたのは、白いボタン。丁度足を止めた先でくるくる回って止まる。しゃがんで拾い上げると廊下の向こうから走ってくる足音が聞こえてきた。
「悪い、それ俺の」
顔を上げるとすぐ前でクラスメイトの不二山が覗き込むように見下ろしていた。半袖夏服姿だが、何故か着ているワイシャツの殆どのボタンが取れて、胸から腹にかけての肌がむき出しになっている。
「不二山くん……どう、したの?そのワイシャツ」
急に視界に入った男子の裸に一瞬あたふたしつつ、拾ったボタンを手渡す。手を広げて受け取った不二山の手には同じボタンがいくつかのっていた。
「ちょっとクラスの奴に柔道の話してて、実地で説明してたらつい」
ちょいちょいとワイシャツを摘まんで引っ張りながら、困ったように手の平のボタンと見比べる。
「全部取れちゃってるね」
「掴んでもらった手を軽く払っただけなんだけどな、元々ちょっと緩んでたっぽいし。しょうがねぇか」
頭を掻いてボタンを持った手を閉じる。
「あの、そのまま教室戻るの?」
「ん?うん、俺ちょっと直せねえし」
気にした風もなく頷くが、体格もよく肉付きもいい体がワイシャツの前が全開になっている姿は正直目のやり場に困る。
「よかったら、ボタンつけるの、やろうか?」
「お、いいのか?じゃあ頼む」
「うん、ちょっ、待って、ここで脱がないで!」
廊下の真っ只中で躊躇なくワイシャツを脱ごうとする不二山の手を掴んで慌てて引っ張っていく。
広げたワイシャツはまだ新しいはずなのに随分と生地がくたびれている。
「これ、結構着てるの?まだ新しいのに」
「ん?ああ、しょっちゅう洗ってるからかな?学校帰りのジョギングとかで汗だくになるし」
屋上のベンチ、なるべく隣に座った不二山を見ないように膝の上に置いたワイシャツのボタン跡を指で確認する。千切れた糸を丁寧い取り除いて糸くずをティッシュに包む。
「やっぱそういうの持ち歩いてんのか?」
「え?うん。こういうの昔から好きだし」
「へぇ」
ソーイングセットから取り出した針に糸を通してワイシャツにボタンを縫いつける。一つすくって引っ張って、二度三度繰り返す。縫いつけたボタンの周りをくるくると巻いて玉止めを作って一つ終わり。
「はい、次」
「うん」
手渡された次のボタンも同じようにくるくると縫いつける。なるべく見ないようにしているが手渡される合間にちらりと上半身裸の体がチラついて慌てて顔を逸らす。
不二山当人は気になってないかもしれないが、同年代の男子の体など見慣れない美奈子にとっては顔から火が出そうな程に恥ずかしい。
「なぁ」
「何?」
「やっぱ、お前手芸部じゃなくて柔道部のマネージャーやらねえ?」
「え?」
思わず顔を上げて、また裸姿を目の当たりにして真っ赤になって顔を折らす。
「そ、それは断ったでしょ?」
「そうか?ぜってー向いてると思うのにな」
ちぇっと、残念そうにつぶやいて。
「マネージャーの話は、関係ないけど、ふ、不二山くんはもう少しデリカシーとか考えるべきだと、思う」
「でりかしー?」
「そう、その……学校とか女の子がいる前で、肌とか出すのよくない」
「何で?そりゃ全部脱いだらまずいのはわかるけど」
「もう……わかってないなぁ」
明らかにわかってない風な様子に溜息をつきながら縫いつけ途中のワイシャツに視線を落とす。
「目のやり場、困るんだもん。見てるほうが恥ずかしいし」
「そういうもんなんかな」
「そうなの!」
言い合いつつも手を止めずに一つ二つとボタンを縫いつけていく。最後にぎゅっと布を引っ張ってキチンと真っ直ぐにボタンが並んでいるのを確認する。
「よし、出来た」
「お、サンキュ。助かった」
手渡されたワイシャツを羽織ってボタンをとめる。それでも襟元はかなり開いているけれど。
「服のことさ」
「ん?」
「お前が言うなら気をつける。その代わりお前柔道部マネージャーな」
「もうっ、何その理屈!」
「ははっ、そろそろ休み時間終わるぞ。これホント助かった、ありがとな」
「もう……」
ちょいちょいとワイシャツを摘まんで笑う姿に呆れ半分で溜息をついた。
END
「あれ?」
廊下を歩く美奈子の目の前にころころと転がってきたのは、白いボタン。丁度足を止めた先でくるくる回って止まる。しゃがんで拾い上げると廊下の向こうから走ってくる足音が聞こえてきた。
「悪い、それ俺の」
顔を上げるとすぐ前でクラスメイトの不二山が覗き込むように見下ろしていた。半袖夏服姿だが、何故か着ているワイシャツの殆どのボタンが取れて、胸から腹にかけての肌がむき出しになっている。
「不二山くん……どう、したの?そのワイシャツ」
急に視界に入った男子の裸に一瞬あたふたしつつ、拾ったボタンを手渡す。手を広げて受け取った不二山の手には同じボタンがいくつかのっていた。
「ちょっとクラスの奴に柔道の話してて、実地で説明してたらつい」
ちょいちょいとワイシャツを摘まんで引っ張りながら、困ったように手の平のボタンと見比べる。
「全部取れちゃってるね」
「掴んでもらった手を軽く払っただけなんだけどな、元々ちょっと緩んでたっぽいし。しょうがねぇか」
頭を掻いてボタンを持った手を閉じる。
「あの、そのまま教室戻るの?」
「ん?うん、俺ちょっと直せねえし」
気にした風もなく頷くが、体格もよく肉付きもいい体がワイシャツの前が全開になっている姿は正直目のやり場に困る。
「よかったら、ボタンつけるの、やろうか?」
「お、いいのか?じゃあ頼む」
「うん、ちょっ、待って、ここで脱がないで!」
廊下の真っ只中で躊躇なくワイシャツを脱ごうとする不二山の手を掴んで慌てて引っ張っていく。
広げたワイシャツはまだ新しいはずなのに随分と生地がくたびれている。
「これ、結構着てるの?まだ新しいのに」
「ん?ああ、しょっちゅう洗ってるからかな?学校帰りのジョギングとかで汗だくになるし」
屋上のベンチ、なるべく隣に座った不二山を見ないように膝の上に置いたワイシャツのボタン跡を指で確認する。千切れた糸を丁寧い取り除いて糸くずをティッシュに包む。
「やっぱそういうの持ち歩いてんのか?」
「え?うん。こういうの昔から好きだし」
「へぇ」
ソーイングセットから取り出した針に糸を通してワイシャツにボタンを縫いつける。一つすくって引っ張って、二度三度繰り返す。縫いつけたボタンの周りをくるくると巻いて玉止めを作って一つ終わり。
「はい、次」
「うん」
手渡された次のボタンも同じようにくるくると縫いつける。なるべく見ないようにしているが手渡される合間にちらりと上半身裸の体がチラついて慌てて顔を逸らす。
不二山当人は気になってないかもしれないが、同年代の男子の体など見慣れない美奈子にとっては顔から火が出そうな程に恥ずかしい。
「なぁ」
「何?」
「やっぱ、お前手芸部じゃなくて柔道部のマネージャーやらねえ?」
「え?」
思わず顔を上げて、また裸姿を目の当たりにして真っ赤になって顔を折らす。
「そ、それは断ったでしょ?」
「そうか?ぜってー向いてると思うのにな」
ちぇっと、残念そうにつぶやいて。
「マネージャーの話は、関係ないけど、ふ、不二山くんはもう少しデリカシーとか考えるべきだと、思う」
「でりかしー?」
「そう、その……学校とか女の子がいる前で、肌とか出すのよくない」
「何で?そりゃ全部脱いだらまずいのはわかるけど」
「もう……わかってないなぁ」
明らかにわかってない風な様子に溜息をつきながら縫いつけ途中のワイシャツに視線を落とす。
「目のやり場、困るんだもん。見てるほうが恥ずかしいし」
「そういうもんなんかな」
「そうなの!」
言い合いつつも手を止めずに一つ二つとボタンを縫いつけていく。最後にぎゅっと布を引っ張ってキチンと真っ直ぐにボタンが並んでいるのを確認する。
「よし、出来た」
「お、サンキュ。助かった」
手渡されたワイシャツを羽織ってボタンをとめる。それでも襟元はかなり開いているけれど。
「服のことさ」
「ん?」
「お前が言うなら気をつける。その代わりお前柔道部マネージャーな」
「もうっ、何その理屈!」
「ははっ、そろそろ休み時間終わるぞ。これホント助かった、ありがとな」
「もう……」
ちょいちょいとワイシャツを摘まんで笑う姿に呆れ半分で溜息をついた。
END