GS3嵐×バンビ
くまドーナツ
「わぁ」
ずらりと棚に並んだ色とりどりのドーナツを眺めて美奈子が目を輝かせた。
「お前どれにする?」
「あ、うん、ちょっと待ってね。えーっとえーっと」
「いいよ、ゆっくり選べって」
トレイとトングを手に、小動物のようにキョロキョロと忙しなく棚を見回す姿に思わず笑ってしまう。
「うんっ、えっと、ポンデリングとフレンチクルーラーと……あ、嵐くんあれ見て可愛い!」
美奈子が指差した先、棚にずらりと並んだクマの顔。
「これか?」
一つ一つクマの形をしたドーナツ、顔の部分にチョコがかかっていてご丁寧に目と口もチョコの飾りで作られている。
「新作ドーナツだって、私これにする!」
「よし、これな。後は俺はこっちのイチゴの奴とオールドファッションとあとこれとこれも」
「あとチョコクリーム!」
「わかったわかった」
ひょいひょいとドーナツをトレイに乗せてレジへと向かった。
窓際の席に座り、皿に積まれたドーナツを前にして。
「ね、嵐くん。くまドーナツ一口食べる?」
「ん?」
「ほら、耳のとこあげる」
美奈子が紙ナプキンで掴んだくまドーナツを不二山の前に差し出す。目の前でくまドーナツの丸いチョコの目が合う。
「んー、うまそうなんだけど、なんか目が合う」
確かにくまドーナツは良くできていて、だから逆につぶらな目で見られてるような気がしてちょっと食べるのに躊躇してしまう。
「そうかな?じゃ嵐くん目つぶって」
「ん?うん」
言われるままに目を閉じる。
「で、口開けて」
「あー」
不二山の鼻先にチョコの香りがかすめる。
「はい、あーん」
「ん」
かぶりついたドーナツ、チョコと中に詰まっていたホイップクリームの味が口の中に広がる。
「おいしい?」
口の周りについたクリームを舌で舐め取って。
「うまい」
「ふふ、まだ口にクリームついてるよ」
「ん」
指先でクリームを拭って。
「次、俺の番」
「え?」
「ほら、俺も食べさせてやる」
「え、えーと、うん」
半分耳がかじられたドーナツを受け取ると。
「ほら、目つぶれ」
「ええっ」
「俺もやったからお前も」
「う、うん」
ちょっと躊躇しながら美奈子が目を閉じて口を開く。
「あー」
きゅっと目を閉じて心持ち見あげる角度で長い睫毛と無防備に口を開けた美奈子の顔。何か塗ってるのか口元がちょっとつやつやと光っている。
「ん?」
思わず手を止めてその顔を見入ってしまい、不思議そうに片目を開けた美奈子の声に慌ててドーナツを差し出す。
「あ、悪い。ほら、あーん」
「あ~♪」
ぱくり、と、かぶりついて。口元についたチョコとクリームをぺろりと舌が舐める。
「おいしいっ」
「ん、ああ」
さっき見たつやつやした唇とまだ口元に残ったホイップクリーム、その組み合わせが無邪気な姿と違って妙に艶かしくて。
「ほら、まだついてる」
「ん?」
伸ばした人差し指でなぞるように唇を拭って、指についたクリームを舐め取る。口に含んだクリームはさっき食べたものより甘い気がした。
「あ、あ、嵐くん?!」
「ん、なんだ?」
「も、もうっ」
真っ赤になってそっぽを向く美奈子の顔をみて思わず笑ってしまう。
「やっぱり、お前の方が甘いな」
END
「わぁ」
ずらりと棚に並んだ色とりどりのドーナツを眺めて美奈子が目を輝かせた。
「お前どれにする?」
「あ、うん、ちょっと待ってね。えーっとえーっと」
「いいよ、ゆっくり選べって」
トレイとトングを手に、小動物のようにキョロキョロと忙しなく棚を見回す姿に思わず笑ってしまう。
「うんっ、えっと、ポンデリングとフレンチクルーラーと……あ、嵐くんあれ見て可愛い!」
美奈子が指差した先、棚にずらりと並んだクマの顔。
「これか?」
一つ一つクマの形をしたドーナツ、顔の部分にチョコがかかっていてご丁寧に目と口もチョコの飾りで作られている。
「新作ドーナツだって、私これにする!」
「よし、これな。後は俺はこっちのイチゴの奴とオールドファッションとあとこれとこれも」
「あとチョコクリーム!」
「わかったわかった」
ひょいひょいとドーナツをトレイに乗せてレジへと向かった。
窓際の席に座り、皿に積まれたドーナツを前にして。
「ね、嵐くん。くまドーナツ一口食べる?」
「ん?」
「ほら、耳のとこあげる」
美奈子が紙ナプキンで掴んだくまドーナツを不二山の前に差し出す。目の前でくまドーナツの丸いチョコの目が合う。
「んー、うまそうなんだけど、なんか目が合う」
確かにくまドーナツは良くできていて、だから逆につぶらな目で見られてるような気がしてちょっと食べるのに躊躇してしまう。
「そうかな?じゃ嵐くん目つぶって」
「ん?うん」
言われるままに目を閉じる。
「で、口開けて」
「あー」
不二山の鼻先にチョコの香りがかすめる。
「はい、あーん」
「ん」
かぶりついたドーナツ、チョコと中に詰まっていたホイップクリームの味が口の中に広がる。
「おいしい?」
口の周りについたクリームを舌で舐め取って。
「うまい」
「ふふ、まだ口にクリームついてるよ」
「ん」
指先でクリームを拭って。
「次、俺の番」
「え?」
「ほら、俺も食べさせてやる」
「え、えーと、うん」
半分耳がかじられたドーナツを受け取ると。
「ほら、目つぶれ」
「ええっ」
「俺もやったからお前も」
「う、うん」
ちょっと躊躇しながら美奈子が目を閉じて口を開く。
「あー」
きゅっと目を閉じて心持ち見あげる角度で長い睫毛と無防備に口を開けた美奈子の顔。何か塗ってるのか口元がちょっとつやつやと光っている。
「ん?」
思わず手を止めてその顔を見入ってしまい、不思議そうに片目を開けた美奈子の声に慌ててドーナツを差し出す。
「あ、悪い。ほら、あーん」
「あ~♪」
ぱくり、と、かぶりついて。口元についたチョコとクリームをぺろりと舌が舐める。
「おいしいっ」
「ん、ああ」
さっき見たつやつやした唇とまだ口元に残ったホイップクリーム、その組み合わせが無邪気な姿と違って妙に艶かしくて。
「ほら、まだついてる」
「ん?」
伸ばした人差し指でなぞるように唇を拭って、指についたクリームを舐め取る。口に含んだクリームはさっき食べたものより甘い気がした。
「あ、あ、嵐くん?!」
「ん、なんだ?」
「も、もうっ」
真っ赤になってそっぽを向く美奈子の顔をみて思わず笑ってしまう。
「やっぱり、お前の方が甘いな」
END