トラファルガー・ロー
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「ロー、今日って何の日か知ってる?」
「…また、唐突だな」
「ふふ〜!」
少し遅めの朝食を取り、諸々の作業を終えて船長室兼自室であるおれの部屋に居座り雑談を開始する相手の問い掛けに、机の上にあるカレンダーに目をやった。確認すると今日の日付は四月一日。いわゆるエイプリルフール。意図が分かり、なるほどと細く笑んで返答に応える。
「あれだろ、嘘を付いても許される日」
「あ、バレちゃった?」
「お前はおれを舐めすぎだ」
「わわっ」
「…それで、どんな嘘を付くつもりだったんだ?」
相手の隣に移動し、被っている帽子を取って髪をワシャワシャと弄る。嘘の大体の内容は予想が付くが、意図がバレたとしても止めるつもりはないだろうと悟り、そのまま言葉を待った。
「……」
「…ナナシ?」
「私、実は……ローのこと…」
「おれのことが、何だ?」
嘘を付く、つまり反対のことを言うのは想定済み。しかし何やら思いの外、相手の神妙な面持ちにゴクリと生唾を飲んでその言葉をオウム返しをしてしまった。
「…大好きなのっ!」
「───…は?」
「ローが、世界で一番一番大好き」
「……ちょ、ちょっと待て…」
好いている女に大好きと言われて喜ばない男はいないが今は素直に喜べない。何故なら今日はエイプリルフール、嘘を付いても許される日。
バカでも分かるだろう、大好きの反対は大嫌いだと言うことを。
「だからね、これからもずっと私の傍にいてくれる?」
「ッ……!」
更に追い討ちをかける相手の言葉に、拳を握り唇を噛み締める。まるで天使のような微笑みがつらい。いつも隣で笑っていたのは全て演技で、自分に捧げられる愛は偽物だったのかと様々な感情が渦巻く。
嘘の愛を囁くこいつにどうすれば良いのか、そんな動揺したおれの姿を見て一言。
「…ロー、時計見て?」
「時計…?」
優しい声が堪らなく愛おしいのに、苦しくて、息苦しい。未だ整理しきれない感情を抑えつつ、相手が示す時計に目をやった。時刻は正午を過ぎていた。これを見て何の意味があるのかと思った瞬間、衝撃の発言。
「嘘を付いていいのは午前まで!もう12時過ぎてるんだよ!」
「つまり何だ…?今までのは」
「うんっ、全部ほーんとの事!」
「クソっ…ふざけんじゃねェぞ!!」
「え、わっ、お、怒ったの!?」
「怒るに決まってんだろ…!」
「なんで!?私、嘘付いてないよ!?」
確かに嘘は付いていない、エイプリルフールという概念がおれの思考を雁字搦めに捕らえていただけ。しかし、はい、そうですかと納得出来るはずも無い。勢い良く立ち上がり相手を腕の中に閉じ込めた。
「……分かるか?おれの心臓の鼓動、早ェだろ。本気で寿命縮まった」
「…ご、ごめんなさい。軽い冗談のつもりだったの…」
「おれは、お前のことになったら周りが見えなくなる。ましてやエイプリルフールで反対の言葉を指してるなら尚更だ。嫌われたかと思ったじゃねェか」
「…嫌うわけない。嘘でもローに嫌いなんて言いたくないから、だから時間ズラして言ったの」
「……本当だな?」
「本当だよ。…もう怒ってない?」
おれの長い腕に手を添え、頬を添え、温もりを噛み締める相手。その行動がますます愛おしくなり強く抱き締める。トクントクンと互いの心臓が波打つ。漸く落ち着き出した自身の感情、深呼吸し言葉を発した。
「あァ、怒ってねェよ。…ただ余裕無さ過ぎたな、怒鳴って悪かった」
「え?怒鳴るローもカッコ良かったよ!」
「おいおい、嬉しそうに言う台詞じゃねェだろ…」
「だって本当のことだもん」
たまに突拍子もないことをするナナシに振り回されつつも、愛しさ故に許し全てを受け入れてしまう自分自身に苦笑するが、腕の中に居る相手がおれの中で一番大切な存在だと再確認したので結果オーライと結論づけた。
「………けどな、最初から言わなきゃ良かった言葉でもあるだろう?おれを揶揄ったことに関しては仕置きだ。今からお前を抱く」
「え?抱く…まっ…」
「待たねェよ」
軽い身体を持ち上げ、緩く笑う。
揶揄ったと理由をこじ付けたが、実際は違う。未だ心の片隅で揺れる小さな動揺を、繋がり愛し合うことで安心したかっただけ。
「ロー…っ…」
「…仕置きだって言ったろう?まだまだこれからだ」
(今はもっともっとお前を感じたい)
「…また、唐突だな」
「ふふ〜!」
少し遅めの朝食を取り、諸々の作業を終えて船長室兼自室であるおれの部屋に居座り雑談を開始する相手の問い掛けに、机の上にあるカレンダーに目をやった。確認すると今日の日付は四月一日。いわゆるエイプリルフール。意図が分かり、なるほどと細く笑んで返答に応える。
「あれだろ、嘘を付いても許される日」
「あ、バレちゃった?」
「お前はおれを舐めすぎだ」
「わわっ」
「…それで、どんな嘘を付くつもりだったんだ?」
相手の隣に移動し、被っている帽子を取って髪をワシャワシャと弄る。嘘の大体の内容は予想が付くが、意図がバレたとしても止めるつもりはないだろうと悟り、そのまま言葉を待った。
「……」
「…ナナシ?」
「私、実は……ローのこと…」
「おれのことが、何だ?」
嘘を付く、つまり反対のことを言うのは想定済み。しかし何やら思いの外、相手の神妙な面持ちにゴクリと生唾を飲んでその言葉をオウム返しをしてしまった。
「…大好きなのっ!」
「───…は?」
「ローが、世界で一番一番大好き」
「……ちょ、ちょっと待て…」
好いている女に大好きと言われて喜ばない男はいないが今は素直に喜べない。何故なら今日はエイプリルフール、嘘を付いても許される日。
バカでも分かるだろう、大好きの反対は大嫌いだと言うことを。
「だからね、これからもずっと私の傍にいてくれる?」
「ッ……!」
更に追い討ちをかける相手の言葉に、拳を握り唇を噛み締める。まるで天使のような微笑みがつらい。いつも隣で笑っていたのは全て演技で、自分に捧げられる愛は偽物だったのかと様々な感情が渦巻く。
嘘の愛を囁くこいつにどうすれば良いのか、そんな動揺したおれの姿を見て一言。
「…ロー、時計見て?」
「時計…?」
優しい声が堪らなく愛おしいのに、苦しくて、息苦しい。未だ整理しきれない感情を抑えつつ、相手が示す時計に目をやった。時刻は正午を過ぎていた。これを見て何の意味があるのかと思った瞬間、衝撃の発言。
「嘘を付いていいのは午前まで!もう12時過ぎてるんだよ!」
「つまり何だ…?今までのは」
「うんっ、全部ほーんとの事!」
「クソっ…ふざけんじゃねェぞ!!」
「え、わっ、お、怒ったの!?」
「怒るに決まってんだろ…!」
「なんで!?私、嘘付いてないよ!?」
確かに嘘は付いていない、エイプリルフールという概念がおれの思考を雁字搦めに捕らえていただけ。しかし、はい、そうですかと納得出来るはずも無い。勢い良く立ち上がり相手を腕の中に閉じ込めた。
「……分かるか?おれの心臓の鼓動、早ェだろ。本気で寿命縮まった」
「…ご、ごめんなさい。軽い冗談のつもりだったの…」
「おれは、お前のことになったら周りが見えなくなる。ましてやエイプリルフールで反対の言葉を指してるなら尚更だ。嫌われたかと思ったじゃねェか」
「…嫌うわけない。嘘でもローに嫌いなんて言いたくないから、だから時間ズラして言ったの」
「……本当だな?」
「本当だよ。…もう怒ってない?」
おれの長い腕に手を添え、頬を添え、温もりを噛み締める相手。その行動がますます愛おしくなり強く抱き締める。トクントクンと互いの心臓が波打つ。漸く落ち着き出した自身の感情、深呼吸し言葉を発した。
「あァ、怒ってねェよ。…ただ余裕無さ過ぎたな、怒鳴って悪かった」
「え?怒鳴るローもカッコ良かったよ!」
「おいおい、嬉しそうに言う台詞じゃねェだろ…」
「だって本当のことだもん」
たまに突拍子もないことをするナナシに振り回されつつも、愛しさ故に許し全てを受け入れてしまう自分自身に苦笑するが、腕の中に居る相手がおれの中で一番大切な存在だと再確認したので結果オーライと結論づけた。
「………けどな、最初から言わなきゃ良かった言葉でもあるだろう?おれを揶揄ったことに関しては仕置きだ。今からお前を抱く」
「え?抱く…まっ…」
「待たねェよ」
軽い身体を持ち上げ、緩く笑う。
揶揄ったと理由をこじ付けたが、実際は違う。未だ心の片隅で揺れる小さな動揺を、繋がり愛し合うことで安心したかっただけ。
「ロー…っ…」
「…仕置きだって言ったろう?まだまだこれからだ」
(今はもっともっとお前を感じたい)
