日が傾いた頃、何とか警察にも捕まらずに家に辿り着いたが、最大の試練が待ってる。
ドキドキしながらドアノブに手をかける。

ーーーガチャッ
･･････？

ガチャガチャッ
っ！！！！？

ガチャガチャガチャガチャッ
鍵かけてある！！！！？

自分の家なのに入れないって辛い･･････と絶望しながら大魔王様はお帰りになったと確信し絶望と喜びが入り交じった複雑な心境になる。

「はっ！ベランダから行ったら鍵空いてるところあるかも！」

希望を胸に反対側も確認したがーーー･････････



結果は空いてませんでした。

まじで！？ちょっ･･････このナイフどうしよ！？あ、ポスト投函のところに入れたらいいか！

その後自分の家の玄関ポストにナイフ二丁を入れてから、大家さんに頼んで開けてもらいました。
めちゃくちゃ怒られました。

ーーーーーボフン
「あーベッド気持ちいい･･･お姉ちゃん干してくれたんだなぁ･･････」


そのままベッドで寝たいが、お腹も空いてたので今日の夕飯を食べよう(飲もう)と冷蔵庫を開ける。

「うっそでしょ！！！？」

ゼリー飲料全部無くなってました。
でも、代わりにきんぴらごぼう、肉じゃがとおかずが置いてあったのでそれをチンして食べた。

お姉ちゃん、ありがとう。そして、お願いですから捨てないで下さい･･････

ゼリー飲料のつもりがちゃんとした食事を取ってしまったのですぐ寝るわけにもいかず、今日は湯船に浸かって入りたい気分だったのでお湯をはる。
その間にナイフ二丁を取り出す。
腕に刃を当て少しだけずらす。

「ーーーっ痛」

軽くずらしただけで切れるのかよ･･････凄いな。
結構高そうだし、保須にまだ潜伏する感じだったからとりあえず護身用に持っておこ。

アマゾンでカバーを作るのに必要なものを注文した。
翌日便だから明日にでも作るか！
お風呂もそろそろいい頃合いだったのでそのままお風呂に入る。

「あいたっ･･････あれ、この傷なんだっけ？」

横腹に小さいけど切り傷があった。
今日の出来事を思い出し、一度だけナイフ同士で交戦した時に反対の手で腹を切ったってことしか考えられない。
その後すぐに身体が固まったから。
でも、それならその一撃で確実に殺せたはず･･･

腸が飛び出して血まみれで息絶えた私の姿を想像し、ゾッとして思わず風呂の中に頭まで浸かる。

「〜〜〜〜っぷはっ！あー！もうやめやめ！早く風呂上がって寝よ！」

考えることを放棄し、頭と身体を洗ってお風呂から上がる。
諸々を済ませた後、ベッドに潜り込んだ。








夢の中だろうか･･･
この場所、昔住んでたところによく似ている。
居間にぼおっと突っ立っていると、ぼそぼそと誰かの声が聞こえてきた。

『ーさーーなーー』
なんて言ってるんだろう？
ドアに耳を当てて聞く。

『あなたーー生まーーーーば』
後、もう少しで聞こえそ『あなたさえ生まれてこなければ』

背後から耳元で抑揚のない声でそう言われてびっくりして起き上がってしまった。

「はぁっ･･･はぁっ･･･はぁっ･･･はぁっ･･･」

ドッドッドッドッと心臓が今にも飛び出しそうなほど暴れてる。

最後のあの声もしかしなくても

「お母･･････さん」

どうして、お母さんが･･････？
それとも悪い夢？
よく分からないけど、とりあえず

「夢でよかったぁ･･････」