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第21話 館【やかた】

 賭博師ダービーとのギャンブルに勝利したものの、その精神状態からもはや情報は得られないと判断したジョースター一行は、DIOの根城を探すため聞き込みを続けていた。
 途中、ポルナレフがホル・ホースと遭遇したり、その直後自動車事故に巻き込まれたりしたが、ここでは割愛する。
 そしていくら探しても見つからない状況を打破するため、アヴドゥルが知る情報屋に探してもらうこととなった。
 一行は、写真を託してその男が帰ってくるのを待った。しかし、男が戻ってくることはなかった。


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 待ち続けてしばらく経った後、ふと承太郎が、誰かに呼ばれた気がしたと言って辺りを見まわし始めた。
 すると、物陰から怪我だらけのイギーがふらふらと這い出てきた。

「イギーは敵と遭遇したようです。死にかけて少年に連れられているのを手当てしたのはSPW財団の医師です…僕の目と同じように…」

 そこに立っていたのは、一時離脱したはずの花京院だった。彼の目は、痛々しい傷跡が残るもののすっかり治っており、一行の姿をしっかりと写していた。
 花京院の帰還を全員が喜んだ。

「おかえりなさい。花京院くん……なんだかちょっと変わったね」
「そう見えるかい?」
「うん、精神的に成長したって感じがする」
「ありがとう。君にそう言ってもらえたなら、それだけで僕は自信を持てる。自分の恐怖を乗り越えてみせるという、自信を」

 おおげさだなあ、と弥子は苦笑した。


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 再会を喜んだのも束の間、一行はどこかへ行こうとするイギーの後をついていった。
 その先にあったのは、ジョセフが念写した写真に写る建物――DIOが根城としている館であった。
 門の扉が開いている。緊張感が一行を襲った。
 扉の先は、終わりの見えない通路。その先から、一人の男が進み出た。

「ようこそ、ジョースター様。お待ちしておりました。私はこの館の執事です」
「何だか分からねーが、ただ者じゃあねーなッ! とにかくぶっ殺すッ!」

 攻撃を仕掛けようとしたポルナレフに向かって、男はトランプを投げて寄こした。

「ダービーと申します。テレンス・T・ダービー。あなた方に再起不能にされたダービーの…弟です。あなたとは以前にもお目にかかりましたね、桂木弥子探偵?」
「…桂木。こいつがお前の言っていた?」
「そう。ダービーの弟。…あなたも、DIOの配下なんだね」

 弥子が両親と行った国内旅行。そこで出会ったギャンブラーとゲーマーの話を、ダービーとの戦いの後に弥子から聞いていた一行は、ダービーの弟もDIOの配下としているかもしれない、と事前に予想を立てていた。

「ええ、そうですよ。…どうやら、兄はあなたの魂を奪えなかった様子。フフ、面白いことになってきました」

 そうしてテレンスはつらつらと兄について語り始めた。そして館の中に入ろうとしない一行の様子を見て、おもむろに自身のスタンドを出現させた。
 それを見た承太郎が、星の白金スタープラチナを向かわせる。

「賭けよう…スタープラチナの私への第一撃はまず『左腕』を繰り出す」

 テレンスが宣言した。まるで承太郎の動きを読んでいるかのように。

「第一撃はまず左腕のパンチ。賭けようビット」
「承太郎! なんでもいいッ! お前のパワーで殴れば同じことだッ! やっちまえ!」

 星の白金スタープラチナは右腕の拳をくりだした。しかし、その攻撃はいとも簡単に避けられてしまった。

「残念残念…今の賭けは私の負けでございましたな。私も兄と同じで賭けは好きなのですが、どうも弱くて。フフフ…お詫びに、とっておきの世界へお連れしましょう」

 その言葉と共に、テレンスと承太郎の足場が崩れ、二人は穴の底に落ちていく。ジョセフと花京院がそれぞれのスタンドで承太郎を引きずり上げようとするが、逆に二人とも引きずり込まれてしまった。

「ジョースターさん、花京院ッ!」
「待てポルナレフッ! 追うのは危険だッ!」
「アヴドゥルッ、聞こえるか、アヴドゥル!」

 残された面々の耳に、ジョセフの声が届く。

「ジョースターさんの声だ!」
「十分経ってわしらからなんの合図もなければ、館に火を放てッ! いいな…アヴドゥル…」

 やがて何も聞こえなくなり、屋敷は静まりかえった。アブドゥル、ポルナレフ、弥子、イギーの四人は、館の入口に取り残されてしまった。
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