第20話 賭【おしりすしん】
カイロの地にて、ジョースター一行はジョセフが念写した写真を元にDIOがいる建物を探していた。
しかし、いくら聞き込みを続けてもその建物が見つからず、皆あせっていた。
「桂木、君の目には映っていないか?」
「う~ん。探してはいるけど、全然見つからない…」
弥子も自身のサブスタンド、魔界の凝視虫イビルフライデーの目を通して観察していたが、周囲には該当する建物はなかった。
「そもそも、魔界の凝視虫イビルフライデーは誰かにひっつくことはできるけど、あまり自分では動けないし……射程距離は広めだけど私から一キロ以上離れたら消えちゃうし…。長距離の探索向きではないんです」
「ふ~む。そうか、何かいい方法はないものか…」
再び聞き込みをしにとあるカフェに入る。しかしそこでもよい情報は得られなかった。
カフェを出て別の人に聞こうとする一行に、声がかかる。
「その建物なら…知ってますよ。間違いない、あの建物だ」
その男は、テーブルの上でトランプを切っていた。
「あなたは…!」
弥子はその男に見覚えがあった。
「知っているのか、桂木?」
「おや、誰かと思えば…桂木弥子探偵殿ではないですか…」
「探偵…?」
「うん。その人は、私が殺人事件を解決したときに知り合ったの…。こんなところで何をしてるんですか、ダービーさん」
珍しく弥子が警戒するように男を見る。
「観光ですよ、観光。君もそうなんじゃないのかね?」
「…まあね」
「あまり仲がいいわけでもなさそうだな……まあいい、君はこの建物を知っているんだな? どこだ!? 教えてくれ、どこなんだ?」
娘の命の灯火が消えかかっているプレッシャーを背負ったジョセフが、焦ったように問い詰める。
それに対して男は、ゆったりとトランプで遊ぶようにのんびりとした口調で言った。
「無料タダで教えろと言うんですか?」
「そ…それもそうだな、悪かった。十ポンド払おう。さ…どこなんだ?」
ジョセフの言葉に、男は笑いながら言った。
「私は賭け事が大好きでね。くだらないスリルに目がなくって、やみつきってやつでして…。あなたギャンブルは好きですか?」
「…? 何を言いたいのかわからんが」
「だからね…私とちょっとしたつまらない賭けをしてくれませんか? あなたが勝ったら無料タダで教えますよ。そこの場所をね」
「騙されないで、ジョースターさん! その人詐欺師なの! 私が関わった事件でもイカサマしてるって言われてて…」
弥子が慌てたように二人の間に入る。
それに対してダービーと呼ばれた男は、嘲るように反論した。
「そう。そして君は私がイカサマをしているという証拠を見つけることができなかった。私に負けて逆恨みした連中の言葉を鵜呑みにして、私を詐欺師と呼んでくれたね……以前も、今回も」
「…証拠は見つけられなかった。でも、あなたはイカサマをしている。これは確実」
「それは君の勘だろう? 何の証明にもならない」
「おいおい、待てよ。今は争ってる時間はないだろ? 落ち着けって、ヤコ」
「そうだ。我々には時間がない。ゆっくりポーカーなんてしている暇はないぞ」
ポルナレフとアヴドゥルにいさめられて、ヤコはしぶしぶ引き下がった。
「賭けなんてもんは何でもできるんですよ。時間はかかりません。例えば…」
時間がないと言って交渉する一行に、ダービーは外を指さして言う。
「あそこの塀の上を見てください。猫がいますね。のんびり歩いてる」
そしておもむろにテーブルの上の魚の燻製を放り投げた。
「さあ! 今からあの猫はどっちの魚の燻製を先に食うか賭けませんか? 右か! 左か!」
「おい! めんどくせえ野郎だぜ! さっさと三十ポンド受け取ってさっさと教えろよッ」
「ポルナレフ、教えてもらうのにそんな口をきくんじゃあない」
「…でも、私もポルナレフさんに賛成。このギャンブル狂いに付き合ってたらキリがないよ」
「おや、負けるのがこわいので?」
「いいぜ、やってやる! 俺が賭けてやるぜ! 右の肉だよ、右ィ!」
「ポルナレフさん!」
「グッド! 楽しくなってきた。じゃあ私は左に賭けましょう」
煽られたポルナレフがより大きいほうに賭けた。
もう一方をダービーが選択したところで、猫が魚の燻製に気づいたようだ。
「心配すんなよヤコ。カードだのコインだの、何かイカサマを仕掛けられる賭けじゃないんだ。さっさと賭けに勝って、さっさと情報をもらえばいいだけさ」
「それは…そうだけど」
「ところで、俺が負けたらおめーに何を払うのかね? 百ポンドぐらいかよ?」
ヤコに声をかけた後、ダービーに向かってポルナレフが言う。
「金はいりません…魂なんてのはどうです? 魂で…フフフ」
不気味に笑いながら、ダービーが返した。
(ケッ! ふざけやがって、キザな野郎だ)
(なんだろう。嫌な予感がする…)
魚の燻製に気づいた猫が塀から降りる。猫は右の魚に向かっていった。
しかし、突如方向を変えて左の魚を咥えてから、右の魚を取った。
「フフフフフフ。見ましたね! 左→右と肉を二つ奪って逃げましたね。私の勝ちだ…」
ダービーが笑いながらポルナレフに迫る。
「さあ…約束でしたね。払っていただきましょうか!」
「えっ、払う!? 何を?」
「魂ですよ。私は魂を奪うスタンド使い!」
男が自身の正体を明かすと同時に、ポルナレフの体から力が抜けた。気絶したかのように倒れこむポルナレフ。脈はなくなり、彼の魂は男……ダービーのスタンドによってコインにされてしまった。
▼▲▼▲▼
ポルナレフの魂を取り返すため、表面張力を使った賭けで戦いを挑んだジョセフ。しかし彼もまた、イカサマ合戦に負けてしまい、魂を奪われてしまった。
そして、それを見た承太郎がダービーにポーカーでの勝負を挑む。
「グッド。構いませんよ。誰から挑んでくるにしろ、一人一人魂をもらうだけだ。…もっとも、桂木探偵。私はあなたの魂が目当てでここに来たのだ。ぜひとも、あなたともギャンブルで勝負したい」
「ひとつ、聞いてもいい?」
「どうぞ」
「籠目さん…あなたと出会った事件で、あなたとのギャンブルの後に急性心不全で亡くなった彼女の魂も、そこに?」
「ええ、もちろん。ほらこの通り」
弥子の問いに、ダービーは自慢げにコレクションブックを見せた。そこには『Kagome Kana』というローマ字と共に収まるコインがあった。
「…何でこんなことするの? 彼女の体は、もう…!」
「あ~、それは残念だ。肉体が残っているならともかく、すでに骨になっている場合は、魂を解放してもしょうがない」
「…! じゃあ、もし、このままポルナレフとジョースターさんの魂を取り返せなかったら二人は…!」
顔を青ざめさせたアヴドゥルの問いに、ダービーは無言でニヤリと笑った。
「そんなもん関係ねーぜ。俺がポーカーで勝つ。それで終わりだ」
承太郎がダービーの前に座った。それを見たダービーが宣言する。
「OK! OPEN THE GAME!」
しかし、いくら聞き込みを続けてもその建物が見つからず、皆あせっていた。
「桂木、君の目には映っていないか?」
「う~ん。探してはいるけど、全然見つからない…」
弥子も自身のサブスタンド、魔界の凝視虫イビルフライデーの目を通して観察していたが、周囲には該当する建物はなかった。
「そもそも、魔界の凝視虫イビルフライデーは誰かにひっつくことはできるけど、あまり自分では動けないし……射程距離は広めだけど私から一キロ以上離れたら消えちゃうし…。長距離の探索向きではないんです」
「ふ~む。そうか、何かいい方法はないものか…」
再び聞き込みをしにとあるカフェに入る。しかしそこでもよい情報は得られなかった。
カフェを出て別の人に聞こうとする一行に、声がかかる。
「その建物なら…知ってますよ。間違いない、あの建物だ」
その男は、テーブルの上でトランプを切っていた。
「あなたは…!」
弥子はその男に見覚えがあった。
「知っているのか、桂木?」
「おや、誰かと思えば…桂木弥子探偵殿ではないですか…」
「探偵…?」
「うん。その人は、私が殺人事件を解決したときに知り合ったの…。こんなところで何をしてるんですか、ダービーさん」
珍しく弥子が警戒するように男を見る。
「観光ですよ、観光。君もそうなんじゃないのかね?」
「…まあね」
「あまり仲がいいわけでもなさそうだな……まあいい、君はこの建物を知っているんだな? どこだ!? 教えてくれ、どこなんだ?」
娘の命の灯火が消えかかっているプレッシャーを背負ったジョセフが、焦ったように問い詰める。
それに対して男は、ゆったりとトランプで遊ぶようにのんびりとした口調で言った。
「無料タダで教えろと言うんですか?」
「そ…それもそうだな、悪かった。十ポンド払おう。さ…どこなんだ?」
ジョセフの言葉に、男は笑いながら言った。
「私は賭け事が大好きでね。くだらないスリルに目がなくって、やみつきってやつでして…。あなたギャンブルは好きですか?」
「…? 何を言いたいのかわからんが」
「だからね…私とちょっとしたつまらない賭けをしてくれませんか? あなたが勝ったら無料タダで教えますよ。そこの場所をね」
「騙されないで、ジョースターさん! その人詐欺師なの! 私が関わった事件でもイカサマしてるって言われてて…」
弥子が慌てたように二人の間に入る。
それに対してダービーと呼ばれた男は、嘲るように反論した。
「そう。そして君は私がイカサマをしているという証拠を見つけることができなかった。私に負けて逆恨みした連中の言葉を鵜呑みにして、私を詐欺師と呼んでくれたね……以前も、今回も」
「…証拠は見つけられなかった。でも、あなたはイカサマをしている。これは確実」
「それは君の勘だろう? 何の証明にもならない」
「おいおい、待てよ。今は争ってる時間はないだろ? 落ち着けって、ヤコ」
「そうだ。我々には時間がない。ゆっくりポーカーなんてしている暇はないぞ」
ポルナレフとアヴドゥルにいさめられて、ヤコはしぶしぶ引き下がった。
「賭けなんてもんは何でもできるんですよ。時間はかかりません。例えば…」
時間がないと言って交渉する一行に、ダービーは外を指さして言う。
「あそこの塀の上を見てください。猫がいますね。のんびり歩いてる」
そしておもむろにテーブルの上の魚の燻製を放り投げた。
「さあ! 今からあの猫はどっちの魚の燻製を先に食うか賭けませんか? 右か! 左か!」
「おい! めんどくせえ野郎だぜ! さっさと三十ポンド受け取ってさっさと教えろよッ」
「ポルナレフ、教えてもらうのにそんな口をきくんじゃあない」
「…でも、私もポルナレフさんに賛成。このギャンブル狂いに付き合ってたらキリがないよ」
「おや、負けるのがこわいので?」
「いいぜ、やってやる! 俺が賭けてやるぜ! 右の肉だよ、右ィ!」
「ポルナレフさん!」
「グッド! 楽しくなってきた。じゃあ私は左に賭けましょう」
煽られたポルナレフがより大きいほうに賭けた。
もう一方をダービーが選択したところで、猫が魚の燻製に気づいたようだ。
「心配すんなよヤコ。カードだのコインだの、何かイカサマを仕掛けられる賭けじゃないんだ。さっさと賭けに勝って、さっさと情報をもらえばいいだけさ」
「それは…そうだけど」
「ところで、俺が負けたらおめーに何を払うのかね? 百ポンドぐらいかよ?」
ヤコに声をかけた後、ダービーに向かってポルナレフが言う。
「金はいりません…魂なんてのはどうです? 魂で…フフフ」
不気味に笑いながら、ダービーが返した。
(ケッ! ふざけやがって、キザな野郎だ)
(なんだろう。嫌な予感がする…)
魚の燻製に気づいた猫が塀から降りる。猫は右の魚に向かっていった。
しかし、突如方向を変えて左の魚を咥えてから、右の魚を取った。
「フフフフフフ。見ましたね! 左→右と肉を二つ奪って逃げましたね。私の勝ちだ…」
ダービーが笑いながらポルナレフに迫る。
「さあ…約束でしたね。払っていただきましょうか!」
「えっ、払う!? 何を?」
「魂ですよ。私は魂を奪うスタンド使い!」
男が自身の正体を明かすと同時に、ポルナレフの体から力が抜けた。気絶したかのように倒れこむポルナレフ。脈はなくなり、彼の魂は男……ダービーのスタンドによってコインにされてしまった。
▼▲▼▲▼
ポルナレフの魂を取り返すため、表面張力を使った賭けで戦いを挑んだジョセフ。しかし彼もまた、イカサマ合戦に負けてしまい、魂を奪われてしまった。
そして、それを見た承太郎がダービーにポーカーでの勝負を挑む。
「グッド。構いませんよ。誰から挑んでくるにしろ、一人一人魂をもらうだけだ。…もっとも、桂木探偵。私はあなたの魂が目当てでここに来たのだ。ぜひとも、あなたともギャンブルで勝負したい」
「ひとつ、聞いてもいい?」
「どうぞ」
「籠目さん…あなたと出会った事件で、あなたとのギャンブルの後に急性心不全で亡くなった彼女の魂も、そこに?」
「ええ、もちろん。ほらこの通り」
弥子の問いに、ダービーは自慢げにコレクションブックを見せた。そこには『Kagome Kana』というローマ字と共に収まるコインがあった。
「…何でこんなことするの? 彼女の体は、もう…!」
「あ~、それは残念だ。肉体が残っているならともかく、すでに骨になっている場合は、魂を解放してもしょうがない」
「…! じゃあ、もし、このままポルナレフとジョースターさんの魂を取り返せなかったら二人は…!」
顔を青ざめさせたアヴドゥルの問いに、ダービーは無言でニヤリと笑った。
「そんなもん関係ねーぜ。俺がポーカーで勝つ。それで終わりだ」
承太郎がダービーの前に座った。それを見たダービーが宣言する。
「OK! OPEN THE GAME!」
