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第15話 夢【しにがみ】

 燦々と照りつける太陽と、スピーカーから流れてくる楽しげな音楽で目が覚める。
 弥子が横たわっていたのは木製のベンチ。辺りを見回すと、遠目に観覧車やメリーゴーランドが見える。
 体を起こした弥子は、見覚えのない遊園地に頭をかしげた。

「…あれ? 私、なんでこんなとこで…、………!!」

 思い出した。赤ん坊のスタンド使い、ここは夢の中!
 立ち上がって仲間を探そうとした弥子の襟首を、誰かがつかんで後ろへ引き倒す。

「ふぎゃっっ」

 後頭部を強打してしまい、しばらく弥子の視界を星が回った。

「ふはは。相変わらずの間抜け面だな。我が奴隷は」

 ひどく楽しげな声が聞こえて、恨みがましく相手を睨みつける。

「…ネウロ。いきなり何すんのよ……あれ」

 普通に会話しかけて、気づく。なぜこの人でなしがここにいるのだろう。

「ネウロ。なんであんたがここにいるの?」
「なんだ、今頃気づいたか。貴様の思考速度はなめくじ並みだな」
「そんなことどうだっていいでしょ。ねえ、どうして?」

 地面の上に座る弥子を見下ろして、ネウロが笑う。

「何故、か。ひどいなあ、先生。僕はいつだって先生のおそばにいたのに」
「とぼけないでよ。ていうか助手モードやめて」
「とぼけてなんか!……それにしても、奴隷の分際で我が輩をこき使うとは…、よほど我が輩の拷問が恋しかったようだな?」
「何言ってんのって、いたたたたた!」

 おもむろに頭を鷲掴みにされ、ギリギリと締めつけられる。

「痛い痛い痛いって!」
「ヤコよ」

 頭を持ち上げられて、目線が合う。
 名前呼ばれるの、久しぶりだな…と弥子は思った。

「なによ」
「我が輩にここまでさせるのだ。負けるなどということは許さんぞ」

 穏やかな声で言われた、励ますような似合わない言葉に、弥子は思わず吹き出した。

「もちろん。絶対負けてなんかやらない」

 そしてしっかりと自分の目を見て言いきった弥子に、ネウロは満足そうに頷いた。

「それでこそ、我が奴隷だ」


▼▲▼▲▼


「…だから、…どれいじゃないって…、むにゃ…」
「ほら、弥子ちゃんも起きてください」
「…ん。あれ、かきょういんくん…?」
「朝食、できてますよ」

 寝ぼけ眼で起きた弥子はしばらくぼーっとしていたが、昨日の出来事を思い出した。

「花京院くん!」
「ん? なんだい?」
「昨日、あの赤ん坊のって、あれ…」

 花京院の腕には、昨日はあったはずの文字は刻まれてはいなかった。

「あれ? スタンドは?」
「スタンド? もしかして、寝ぼけてる?」

 笑顔で聞き返す花京院に、弥子は少し考えて。

「ううん、なんでもない」

 花京院に話すつもりがないのなら、それでいいのだろう。そう結論づけた。

(そういえば…)

 昨日見た夢を思い出す。

(こいつにも意思ってあるのかなあ…)

 横に出した弥子のスタンドは、何を考えているか分からない表情で、よだれを垂らしていた。
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