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第♯♯♯話 幕間【にちじょう】

「桂木、君のスタンドについていくつか聞きたいことがあるんだが」

 これは、旅の道中に泊まったホテルで休憩していたとき、アヴドゥルが弥子に訊ねたときのこと。

「なんですか? アヴドゥルさん」
「君のスタンドは、君の性格にしてはなんと言うか……禍々しい雰囲気を持っているのが気になってな」
「僕もそれは気になっていました。手とか角とか、けっこう刺々しいですしね」

 言われてみれば、弥子のスタンドのヴィジョンは目がぎょろぎょろしていたり、グロテスクな形のサブスタンドを生み出したりと、お世辞にも女子高生らしいとは言えない形状をしている。

「んー、なんていうかなー。私のスタンド、知り合いに似ているんです」
「えっ」
「マジで?」
「これに似たやつがいるのか…」

 ここで改めて弥子のスタンドについて記述しよう。黄色い鳥の頭部に山羊のような歪んだ角を生やし、金髪の後ろ髪が見える。目はギョロリとして、鋭い歯が並ぶ口からはたまによだれがぽたぽたと垂れている。手はギザギザとした刃物で覆われており、触れただけで怪我をしそうだ。体はすらりとした男体型で、青いスーツに似た服を着ている。腕から肩にかけては極彩色の羽が覆っており、全体的に鳥と他の何かが融合したような姿をしている。

((((想像できない…))))

 これに似ているとは一体どんな人物なのか。男性陣の感想が一致した瞬間だった。

「そいつ、すっごい強くて。弱いところも足りない部分もあるんだけど、それでも私にとっては一番強くて頼りになるやつなんです」

 自分のスタンドを見上げながら、弥子は懐かしそうに語った。当のスタンドは相変わらず何を考えているのかわからない表情でギョロギョロと目を動かしているが。

「成る程。おそらく桂木の中の“強さ”のイメージが、そのまま形になったんだろうな」
「そうなんですか?」
「ああ。その知り合いとやらがどんな人物なのか正直想像できないが、君が『戦いにはこの姿がベストだ』と思い描いたイメージが、そのままスタンドのヴィジョンに現れたのだろう」

 アヴドゥルの言葉を聞いて、弥子は改めて、自身のスタンドと目を合わせた。スタンドは、飛び出たまんまるな目を弥子に向けて、きょとりと首を傾げた。

(そっか。私、あいつから見た目だけじゃなく強さも借りようとしたんだ)

 あいつが聞いたら怒るかな? 呆れるかな?
 いや。興味深そうに目を細めた後、気にせず謎を探し食べに連れて行くのだろう。あいつはそうゆうやつだ。

「ーーただ」

 アヴドゥルが続けて言う。

「君の中で“強さ”の確固たるイメージがあるというのは、良く言えばスタンドとのつながりが強いとなるが、悪く言えばそれ以上成長しづらいということでもある。しかしこれから先、長い人生を歩む中で心境が変化することもあるだろう。それによってスタンドの見た目が変化したり能力が変わったりするかもしれない。もしそうなっても恐れる必要はない。それは君が成長した証なのだから」

 その言葉を聞いて弥子は頷いた。

「はい。ありがとうございます、アヴドゥルさん」



「なーんか、久しぶりにアヴドゥルが占い師っぽいことしてるの見たぜ」
「“ぽい”とはなんだ、私はれっきとした占い師だぞ」
「占いかあ……。一時期フォーチュンクッキーにはまったことあったなあ」
「それ自分で食べたいだけだろ」
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