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第14話 熱【たいよう】

 ジョセフがラクダに翻弄されたり、捕食される危険を感じたラクダが弥子を避けたりと一悶着あったが、一行は現在ラクダに乗って砂漠を旅していた。

「おかしい。やはりどうも誰かに見られている気がしてならない……」

 花京院の言葉を発端に一同は辺りを観察するが、違和を感じるだけで不審な点は見当たらない。
 そこでジョセフが何気なく時計を見ると、時計は午後八時十分を指していた。太陽が昇っているのにもかかわらず、すでに夜になっている。
 そしてそれは承太郎の時計も同じだった。
 一同がそのことに気づいた直後、温度計が五十度から六十度に上昇した。その上、太陽が西から昇ってくるという異常な光景を目の当たりにする。

「ま…まさかあの太陽がッ、スタンド!」


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 照りつける日光と上昇し続ける気温の中、五人は岩陰に体を隠しながらスタンドの本体を探す。
 花京院が法皇の緑ハイエロファントグリーンで敵スタンドの位置を探ろうとするも、太陽のスタンドから発射された光線のレーザーによって傷を負ってしまった。
 承太郎が星の白金スタープラチナで地面を掘り、その中に全員で避難するが、未だ本体の居場所はつかめていない。

「ヤコ! お前の防御技で防げないか!」
「…ダメみたい。さっきみたいな物理技なら防げるけど、光や熱を遮ることはできないの」

 弥子が自身のスタンド能力のひとつである醜い姿見イビルリフレクターを発動させる。しかし状況はさきほどと変わらない。

「Shit! どうやって敵を見つけ出せば…」
「それなんですけど、ジョースターさん。あの太陽がスタンドなら、太陽を攻撃するのも手段としてはアリですよね」

 弥子の提案にしかし、ジョセフは苦い顔を浮かべる。

「さっき花京院が法皇ハイエロファントを伸ばしていたのを見たじゃろう! あの太陽までの距離は百メートル以上、しかも近づきすぎれば攻撃を受ける!」
「私のスタンドに、遠距離から強い光線を撃つ大技があるんです。『深海の蒸発イビルアクア』というんですけど…」
「大技……それを使うと、また倒れるんじゃあないのか」
「でも、それ以外に方法が…」

 二人が話し合っていると、不意に後ろから笑い声がした。

「おい花京院…どうした」
「ハハハハフフフ…フハハッ…ノォホホノォホホ」
「か…花京院なにを笑っているんだ。おい花京院気をしっかり持て」
「ウヒヒヒ…ウハハハ、ハハハ、ハハハ」

 花京院の笑い声につられるかのように、承太郎も笑い始める。

「じょ、承太郎くん…? 花京院くんも、どうしちゃったの?」
「プッ、ウヒヒヒヒ!! ハハハハハハハハーッ!!」

 こらえきれないというように、ポルナレフが吹き出す。

「OH MY GOD! つ…ついにみんな暑さのせいでおつむがやられちまったか…。…わ…わしらだけか! 冷静なのはッ」

 狂ったように笑い続ける三人を、しっかりしろ!と叱咤するジョセフ。
 しかし笑いすぎて浮かんだ涙を拭いながら言葉を返す花京院は、思ったより冷静な態度であった。

「ハハハ。勘違いしないでください、ジョースターさん。あそこの岩を見てください。人が隠れるほど大きくありませんか?」
「? なんのことだ?」
「今度は反対側にあるあそこの岩をも見てください。…まだ気がつきませんか? 反対側にあの岩とまったく同じ対称の形をした岩がある。影も逆についている。ということは…」
「ウヒヒヒ、アホらしい。しかも見ろよ、ヤコのスタンドの鏡が映って、合わせ鏡みてーになってやがるぜ」
「……ほんとだ」

 攻撃を警戒して醜い姿見イビルリフレクターを消さなかったのが功を奏したのか、確かにそこは、鏡と鏡を向かい合わせにしたとき特有の光景が映っていた。

「弥子、オメーが大技とやらを使う必要はねーぜ」

 承太郎が星の白金スタープラチナで岩を投擲する。すると、空間に穴があき、そこから悲鳴が聞こえた。
 こうして、太陽のスタンド使いは本体名を明かすこともなく、あっけなく沈んだのだった。
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