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第14話 熱【たいよう】

 カラチから船でペルシャ湾を渡り、アラブ首長国連邦のアブダビへと辿り着いたジョースター一行は、豪邸が建ち並び、美しい花壇が並ぶ街道を車で走っていた。

「おいし~い。ひよこ豆のペーストって初めて食べた! オリーブオイルが味を引き立てて最高! 胡麻ペーストにしたのもおいしいんだろうなあ……機会があったら食べ比べしてみたい…」

 そして後部座席でフムスという料理を頬張っている弥子は、すっかり元通りになっていた。
 ちなみにフムスというのは、ひよこ豆をペースト状にし、パンや野菜を付けて食べるアラブ料理だ。見た目はあまりよいとは言えないような黄色いドロッとしたソースだが、中々にスパイスが効いていて、パンと一緒に食べると少し汗ばんでくるくらいだ。

「相変わらず、よく食うなあヤコは」
「性格や体調だけでなく、食欲も元に戻ったな」
「でも、元気になってよかった」
「いや~、その節は大変ご迷惑を…」

 船に乗った辺りから元に戻った弥子は、今までの分を取り返すかのように食欲を発揮していた。しかし記憶は霧の町でゾンビと戦った後から途切れており、その後の恋人ラバーズ戦での記憶はまったくなかった。

「しかし、何だったんだろうな。あの時の弥子ちゃんは」
「そうそう。まじでおっかねえ雰囲気だったぜ、お前。人をいびるのが生きがい、みてーになってさー」
「なにか心当たりはあるか、桂木? ないのであれば、一度精神科医に診てもらったほうがよいかもしれん」
「んー、あるような、ないような?」
「どっちだよ」
「本当に大丈夫かい?」
「うん。もしそれが、私の知るアイツなら、まあほっといても大丈夫でしょ」

 楽観的に笑う弥子を見て、一同は心配しつつも、それは心の中に留めることにした。


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 今後の予定として、ヤプリーンという村までラクダで向かい、そこからセスナでサウジアラビアの砂漠を横断するという計画をジョセフが話した。

「ラクダ!? ラクダなんか乗ったことねーぞ!」
「任せろ。わしはよく知ってる。教えてやるよ」
「ラクダかぁ……いいかも…」
「食うなよ」
「たったたた、食べないよ!? 失礼だなあ、承太郎くん!」

 得意げなジョセフとうっとりとした弥子を見て、承太郎はやれやれだぜ、と呟いた。
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