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第1話 遭【そうぐう】

 「謎」は嫌いだ。
 「謎」は混乱を成長させる。
 「謎」は頭の中をぐちゃぐちゃにする。
 「謎」は私の日常を壊してくる。

 そして、世界は「謎」に満ちている。

 私が抱える最大の謎は、私自身だ。
 魔人とかいうよく分からない奴に目をつけられて、いろんな事件に遭遇して、死にかけたり、目の前で大切な人が死んだりもした。それでも私は、結婚して、子どもを産んで、最期には老衰で死んだ。
 そう、死んだはずだった。

 なのに今、私は再び高校生として過ごしている。


▼▲▼▲▼


 私が「探偵として生きた私」を自覚したのは、五歳の頃だ。
 死んだと思ったら、見覚えのない家の中で、見覚えのない両親とお昼寝している最中だった。
 当時はとても混乱してしまって、慌てた両親によって精神病院へ連れて行かれるなど、まあいろいろと苦労をかけたものだ。結果として原因不明の記憶喪失と判断された私を、今生の両親は少し過保護に扱ったものだけど、今はだいぶ落ち着いて、一人での海外旅行も許してくれている。
 まあこれには、前世から引き継いだ基礎知識のおかげで学校で優秀な成績を修めているのと、語学が堪能なこと、それから私がなんちゃって探偵しているのを見ていたからだと思う。

 両親はよく私を家族旅行に連れて行ってくれるんだけど、なぜかその旅行先で事件に巻き込まれることが多いんだよね。
 前世で探偵をしていたと言っても、私自身は謎を解くことはできない。それはあの自称助手の領分だ。
 それでも今まで犯罪者の話を聞いてきて、この人怪しいな、とか、この人は何もしてないな、とかが分かってくるようになって。いわゆる、ただの勘なんだけど。それで被害者や容疑者の話を聞いたり、相談に乗ったりしているうちに、反省した犯人が名乗り出たりして。なんやかんやで事件を解決していって、気がついたら、事務所を持たず謎解きもしない、存在自体が謎の探偵、なんて変な噂が立ってしまっていた。
 そんな私の活動?を見た両親は、「土壇場での度胸の強さや、引き際を弁えるところ、何より人を信じる心があるから大丈夫」と海外での一人旅を許可してくれたのだ。

 そんな両親から一定の信頼を得ている私ですが、どうやら今回は引き際を間違えてしまったようです……。
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