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第12話 母【せいぎ】

 パキスタンで新しい車に乗り換えたジョースター一行は、深い霧の中を走行していた。

「大丈夫かい、弥子ちゃん? 顔色があまりよくないようだが…」
「この前の戦いでかなりエネルギー消費しちゃったからねー。まあでも、食べれば回復するから大丈夫!」
「空港でも土産物大量に買ってたよなお前…」
「あれ、承太郎くん食べるんだった? ごめん、もう食べちゃって残ってないんだ」
「いや別にいいが」
「ほんとよく食うよな~ヤコは」

 先日の運命の車輪ホウィール・オブ・フォーチュン戦で魔界兵器(もどき)を使った弥子は体力をかなり消費しており、しばらくは回復に専念している状態だった。

 そして道中。霧の中を進むことを懸念したジョセフは、近くの町で宿を取ることに決めた。
 立ち寄った町は妙に物静かで、旅人を歓迎する雰囲気ではなかった。

(なんか…変なとこ。気味が悪いな)

 町中で遭遇したのは、体中に穴を開けて死んでいる男、にきびだらけでどろどろの顔をした女、ひそひそと会話する町の人達、そして…。

「旅のお方のようじゃな…。わたしゃ民宿をやっておりますが…今夜はよかったらわたしの宿にお泊まりになりませんかのォ…」

 その町で唯一、まともな老婆。

(……『魔界の凝視虫イビルフライデー』)

 他のメンバーが宿帳に名前を記している中、弥子は老婆の死角になるとことでスタンド能力を出現させる。しかしイビルフライデーの数は普段の半分以下しかなく、前回の戦いで大技を使った後遺症が見られた。

(とりあえず、宿周辺とあのおばあさんを見張ろう。何かあったらすぐわかるはず)

 そしてスタンドを戻して宿帳に名前を書く弥子を、老婆はじっと見つめていた。
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