このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第9話 吊【つられたおとこ】

 カルカッタのとあるホテルにて。
 ホテル内のレストランで、五人は夕食を食べていた。メンバーの数が減ったせいか、喧嘩別れしてしまったせいか、その様子は普段と比べると静かなものだった。

「……………」
「…い。おい、桂木」
「……へっ?」
「どうしたんだい、弥子ちゃん。ぼーっとして」
「う、ううん。なんでもない」

 笑ってごまかそうとする弥子だが、いつもより明らかに食事の量が少なくなっていることに、全員気がついていた。

「ポルナレフのことか?」
「あ、えっと…」
「彼には彼の旅の目的がある。今まではそれがわしらと偶然重なっていた。そして今回、その偶然が終わった。それだけの話じゃよ」
「うん、そうなんだけど…」

 考え込む弥子に、ジョセフはじっと次の言葉を待った。

「どんなに冷静な人でも、どんなに戦い慣れている人でも…自分の家族を殺された人を目の前にすると、…自分を抑えられないの。誰だってそうだよ」

 弥子の目は、どこか遠いところを見ていた。

(あの人もそうだったし、…私もそう。お父さんを殺した犯人を知ったとき、私は怒りとやるせなさでいっぱいだった)

 そんな弥子を、四人は心配そうに見ていた。
2/3ページ
スキ