第7話 怨【あくま】
オランウータンのスタンド使い、ストレングスを倒した後、ジョースター一行はシンガポールへと辿り着いていた。ホテルに泊まることになったのだが、取れたのはツインが二つとシングルが二つ。ついてきた少女、アンを入れるとメンバーは七人。部屋割りをどうするかが問題だった。
「シングルの部屋にベッドを増やすことはできますか?」
「ええ。一回り小さいベッドになりますが、よろしいですか?」
「構いません。アンちゃん…だっけ。私と一緒の部屋でもいいかな?」
「まあ、女同士だしな…。金払ってもらってる身だし、文句はないよ」
「ありがとう」
「では僕らはツインをもらいますよ。ガクセー同士ですしね」
「なら、わしとアヴドゥルとでツインにしよう」
「じゃあ、俺シングルもらい~」
こうして、弥子とアン、花京院と承太郎、ジョセフとアヴドゥル、ポルナレフという部屋割りになった。
▼▲▼▲▼
補助ベッドが取り付けられた後、弥子とアンは部屋の中でそれぞれ荷物を整理していた。
しばらくくつろいでいると、部屋に備え付けられていた電話が「prrr…」と鳴った。弥子が受話器を取ると、それはジョセフからだった。
「ジョースターさん? どうしたんですか?」
「桂木か。どうやらポルナレフがスタンド攻撃を受けたらしい」
「ポルナレフさんが!? 大丈夫なんですか!?」
どこに行こうがDIOの追跡は躱せない。まるでどこからか監視されている気分だ。
「ああ。本人から連絡があった。反撃したが逃げられたらしい」
「ポルナレフさんの部屋は912号室でしたよね」
「うむ。承太郎と花京院には既に連絡済みじゃ。これからその『悪魔』の暗示のスタンド使いへの対策を練る。じゃが桂木、お前は待機していてくれ」
「待機…ですか?」
少しでも戦力は多い方がいいのでは…。そう言い募ろうとした弥子を制するように、ジョセフは冷静に判断を下した。
「ひとつに、先日の戦いで君はまだ消耗しているということ。もうひとつは、君と同室の少女も狙われる可能性が高いということじゃ……。いいか、わしらが君たちの部屋を訪ねるまでは絶対に外に出るんじゃあないぞ。敵が君たちへ標的を変えるかもしれん」
「分かりました。ご武運を、ジョースターさん」
弥子が受話器を戻したのと同時に、アンが不安そうな顔で弥子に話しかけた。
「何かあったの?」
「ポルナレフさんが悪い人に襲われたって。大丈夫、これからみんなで作戦立てるみたいだから。私たちはこの部屋で待ってるようにって」
「そっか」
「アンちゃん。しばらくの間、窓とドアに近寄らないようにね。私は窓の外を見張るから」
弥子は窓際に置かれていたスツールに腰掛けて、レースカーテン越しに外を眺めた。
▼▲▼▲▼
そして数分後、承太郎と花京院が部屋を訪ねて、危険が去ったことを告げた。結局、敵はポルナレフが一人で倒してしまったようだ。しかしーー。
「ポルナレフさんが、殺人の容疑で連行されたぁ!?」
敵に殺されたホテルのスタッフの殺人容疑で、ポルナレフは現在刑務所に拘留中だとか。
踏んだり蹴ったりな彼の有様に、さすがに同情を禁じえなかった。
「災難だね…」
「やれやれだぜ」
▼▲▼▲▼
その夜――。
「おいし~い!」
ホテル内のレストランで、弥子はバイキング料理を次々と制覇していた。
たくさんの宿泊客を満足させるための料理をことごとく食らいつくしていく彼女は、まるで侵略行為を犯すバイキング海賊がごとし。
「このサンドウィッチ、パンの生地がふわふわもっちり! オムライスも卵がふわふわとろとろ! カレーとナンの相性も抜群! 次はどうしよう。揚げ物いっちゃおうかな~」
次々と料理が吸いこまれていく様はまるでブラックホールのようで、無くなった料理を補充するため、レストランのスタッフ達は慌ただしく走り回る。閉店後には有給申請をするスタッフの列ができることだろう。
「いつも以上に食べてねーか…」
「うん! 船を移動するときにスタンドで消耗しまくったからさー、たくさん食べないと回復できないんだよ」
承太郎は目の前に積まれたカキフライの山を見て、自分が人間と話しているのか、それともカキフライと話しているのか分からなくなった。
「ポルナレフさん、かわいそう。ここの料理けっこうおいしいのに、食べられないなんて」
「まあ、明日には保釈金も用意できるから大丈夫じゃろ」
「そっか…。じゃあポルナレフさんの分まで食べないとね! とりあえずコンソメスープおかわりしてくる!」
「それ、何杯目だ?」
「まだ三十八杯目だよ」
シェフが倒れたー! 救急車―!
弥子が席を立った後、そんな声が聞こえたとか。
「シングルの部屋にベッドを増やすことはできますか?」
「ええ。一回り小さいベッドになりますが、よろしいですか?」
「構いません。アンちゃん…だっけ。私と一緒の部屋でもいいかな?」
「まあ、女同士だしな…。金払ってもらってる身だし、文句はないよ」
「ありがとう」
「では僕らはツインをもらいますよ。ガクセー同士ですしね」
「なら、わしとアヴドゥルとでツインにしよう」
「じゃあ、俺シングルもらい~」
こうして、弥子とアン、花京院と承太郎、ジョセフとアヴドゥル、ポルナレフという部屋割りになった。
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補助ベッドが取り付けられた後、弥子とアンは部屋の中でそれぞれ荷物を整理していた。
しばらくくつろいでいると、部屋に備え付けられていた電話が「prrr…」と鳴った。弥子が受話器を取ると、それはジョセフからだった。
「ジョースターさん? どうしたんですか?」
「桂木か。どうやらポルナレフがスタンド攻撃を受けたらしい」
「ポルナレフさんが!? 大丈夫なんですか!?」
どこに行こうがDIOの追跡は躱せない。まるでどこからか監視されている気分だ。
「ああ。本人から連絡があった。反撃したが逃げられたらしい」
「ポルナレフさんの部屋は912号室でしたよね」
「うむ。承太郎と花京院には既に連絡済みじゃ。これからその『悪魔』の暗示のスタンド使いへの対策を練る。じゃが桂木、お前は待機していてくれ」
「待機…ですか?」
少しでも戦力は多い方がいいのでは…。そう言い募ろうとした弥子を制するように、ジョセフは冷静に判断を下した。
「ひとつに、先日の戦いで君はまだ消耗しているということ。もうひとつは、君と同室の少女も狙われる可能性が高いということじゃ……。いいか、わしらが君たちの部屋を訪ねるまでは絶対に外に出るんじゃあないぞ。敵が君たちへ標的を変えるかもしれん」
「分かりました。ご武運を、ジョースターさん」
弥子が受話器を戻したのと同時に、アンが不安そうな顔で弥子に話しかけた。
「何かあったの?」
「ポルナレフさんが悪い人に襲われたって。大丈夫、これからみんなで作戦立てるみたいだから。私たちはこの部屋で待ってるようにって」
「そっか」
「アンちゃん。しばらくの間、窓とドアに近寄らないようにね。私は窓の外を見張るから」
弥子は窓際に置かれていたスツールに腰掛けて、レースカーテン越しに外を眺めた。
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そして数分後、承太郎と花京院が部屋を訪ねて、危険が去ったことを告げた。結局、敵はポルナレフが一人で倒してしまったようだ。しかしーー。
「ポルナレフさんが、殺人の容疑で連行されたぁ!?」
敵に殺されたホテルのスタッフの殺人容疑で、ポルナレフは現在刑務所に拘留中だとか。
踏んだり蹴ったりな彼の有様に、さすがに同情を禁じえなかった。
「災難だね…」
「やれやれだぜ」
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その夜――。
「おいし~い!」
ホテル内のレストランで、弥子はバイキング料理を次々と制覇していた。
たくさんの宿泊客を満足させるための料理をことごとく食らいつくしていく彼女は、まるで侵略行為を犯すバイキング海賊がごとし。
「このサンドウィッチ、パンの生地がふわふわもっちり! オムライスも卵がふわふわとろとろ! カレーとナンの相性も抜群! 次はどうしよう。揚げ物いっちゃおうかな~」
次々と料理が吸いこまれていく様はまるでブラックホールのようで、無くなった料理を補充するため、レストランのスタッフ達は慌ただしく走り回る。閉店後には有給申請をするスタッフの列ができることだろう。
「いつも以上に食べてねーか…」
「うん! 船を移動するときにスタンドで消耗しまくったからさー、たくさん食べないと回復できないんだよ」
承太郎は目の前に積まれたカキフライの山を見て、自分が人間と話しているのか、それともカキフライと話しているのか分からなくなった。
「ポルナレフさん、かわいそう。ここの料理けっこうおいしいのに、食べられないなんて」
「まあ、明日には保釈金も用意できるから大丈夫じゃろ」
「そっか…。じゃあポルナレフさんの分まで食べないとね! とりあえずコンソメスープおかわりしてくる!」
「それ、何杯目だ?」
「まだ三十八杯目だよ」
シェフが倒れたー! 救急車―!
弥子が席を立った後、そんな声が聞こえたとか。
