真実を映す鏡 5
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――わが身こそ 恨みられけれ 唐衣
君が袂に 馴れずと思へば――
(このわが身こそ恨めしくてなりません。いつもあなたのそばに置いていただけないと思うにつけて)
なんとなーく、なんとなーく。白哉にとんでもないことを言われたのは覚えている。し、キス……されたのも覚えてはいる。というよりもぶっちゃけ私の記憶力のせいで忘れたいのに全部覚えてしまっている。
「うわぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
私は浦原商店にお客がいないのをいいことに頭を掻きむしって大声を上げていた。
無理だ。叫ばないなんてどう頑張っても無理だ。というか浦原商店が暇なのがいけないんだ。浦原商店が暇だからこうして余計なことを思い出して……。
「んもぉぉぉぉぉおおおお!!!」
「ここ最近奇声が聞こえてきますが大丈夫ですか」
私の奇声に眠っていた浦原さんがヒョッコリと顔を出す。
「すみません起こしてしまって。だだだだだだだだだだ、だいじょう、ぶ、です。多分、多分」
「……なんだか混乱してますね」
浦原さんは息を吐いてから私に茶封筒を差し出す。
「?」
「今月分と来月分の給料です。これで家の電気代くらいは賄えるはずです」
恐る恐る茶封筒を開けると札束がかなりの数入っている。
給料ってなんで来月分まで? もしかして……。
「あ、あまりに私がうるさすぎてクビ、とか……」
「いえいえ。そうじゃないっスよ。ただここ最近いろいろありましたから。お疲れだろうと思って。一度ゆっくり家にでも帰ったらどうかと思ったんスよ」
「浦原さんっ」
この値段なら確かに電気代くらいは払えるかも。それに節約すればガス代だって……。
私は封筒を胸元で抱き締め、コクリと頷く。
「それじゃあお言葉に甘えて。一度家に帰りますね」
「ただいまー」
私は玄関の扉を開ける。とベア(改造魂魄。普段はクマのぬいぐるみに入っている)がトテトテと私のことを迎えに来てくれた。
ベアが家にいてくれたおかげで草ボーボーだった庭は入り口だけだけど綺麗になっているし、家の中も埃まみれになっていない。
「ありがとね。ベア」
「いえいえ。それよりも今日は浦原商店はいいんですか」
「うん。ちょっとそのぉ」
一瞬唇のふにっとした柔らかい感触がよみがえってきて、思わず頬が赤くなる。
「そのぉ。ゆっくり家で休んでおいでって」
どんどん顔が熱くなってくる。お休みもらったけど、よくよく考えたら休んじゃ駄目かも。忙しくしてないと思い出しちゃう。
そんな私の気持ちなど知るはずもなくベアは「良かったです」と心底嬉しそうに微笑んでいる。
う…。ごめんね、ベア。
心の中でベアに謝った。その時、ピンポンと家のチャイムが鳴る。私とベアは思わず顔を見合わせる。
この荒れ果てた家に用事がある人なんかいるかな。
そう思いつつ「はい」と玄関を開けた。
「!」
驚きで言葉が出なくなる。目の前には父さんと母さんが立っていた。
「どう、して」
仕事で家に戻れないと思っていたのに。
「……紫乃、ごめんね」
ふいに母さんが言葉を発する。
「え?」
私が戸惑っていると父さんと母さんはゆっくりと後ろを振り向いた。後ろには――夢の中で見た人物が不敵に笑っていた。
君が袂に 馴れずと思へば――
(このわが身こそ恨めしくてなりません。いつもあなたのそばに置いていただけないと思うにつけて)
なんとなーく、なんとなーく。白哉にとんでもないことを言われたのは覚えている。し、キス……されたのも覚えてはいる。というよりもぶっちゃけ私の記憶力のせいで忘れたいのに全部覚えてしまっている。
「うわぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
私は浦原商店にお客がいないのをいいことに頭を掻きむしって大声を上げていた。
無理だ。叫ばないなんてどう頑張っても無理だ。というか浦原商店が暇なのがいけないんだ。浦原商店が暇だからこうして余計なことを思い出して……。
「んもぉぉぉぉぉおおおお!!!」
「ここ最近奇声が聞こえてきますが大丈夫ですか」
私の奇声に眠っていた浦原さんがヒョッコリと顔を出す。
「すみません起こしてしまって。だだだだだだだだだだ、だいじょう、ぶ、です。多分、多分」
「……なんだか混乱してますね」
浦原さんは息を吐いてから私に茶封筒を差し出す。
「?」
「今月分と来月分の給料です。これで家の電気代くらいは賄えるはずです」
恐る恐る茶封筒を開けると札束がかなりの数入っている。
給料ってなんで来月分まで? もしかして……。
「あ、あまりに私がうるさすぎてクビ、とか……」
「いえいえ。そうじゃないっスよ。ただここ最近いろいろありましたから。お疲れだろうと思って。一度ゆっくり家にでも帰ったらどうかと思ったんスよ」
「浦原さんっ」
この値段なら確かに電気代くらいは払えるかも。それに節約すればガス代だって……。
私は封筒を胸元で抱き締め、コクリと頷く。
「それじゃあお言葉に甘えて。一度家に帰りますね」
「ただいまー」
私は玄関の扉を開ける。とベア(改造魂魄。普段はクマのぬいぐるみに入っている)がトテトテと私のことを迎えに来てくれた。
ベアが家にいてくれたおかげで草ボーボーだった庭は入り口だけだけど綺麗になっているし、家の中も埃まみれになっていない。
「ありがとね。ベア」
「いえいえ。それよりも今日は浦原商店はいいんですか」
「うん。ちょっとそのぉ」
一瞬唇のふにっとした柔らかい感触がよみがえってきて、思わず頬が赤くなる。
「そのぉ。ゆっくり家で休んでおいでって」
どんどん顔が熱くなってくる。お休みもらったけど、よくよく考えたら休んじゃ駄目かも。忙しくしてないと思い出しちゃう。
そんな私の気持ちなど知るはずもなくベアは「良かったです」と心底嬉しそうに微笑んでいる。
う…。ごめんね、ベア。
心の中でベアに謝った。その時、ピンポンと家のチャイムが鳴る。私とベアは思わず顔を見合わせる。
この荒れ果てた家に用事がある人なんかいるかな。
そう思いつつ「はい」と玄関を開けた。
「!」
驚きで言葉が出なくなる。目の前には父さんと母さんが立っていた。
「どう、して」
仕事で家に戻れないと思っていたのに。
「……紫乃、ごめんね」
ふいに母さんが言葉を発する。
「え?」
私が戸惑っていると父さんと母さんはゆっくりと後ろを振り向いた。後ろには――夢の中で見た人物が不敵に笑っていた。