主人と僕の旅路 5 【完結】
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―あれから三年―
「助けてくれぇ~!!!」
芋虫の形をした妖怪はうねうねと動いて神社の床を這いずり回る。
私は深いため息を吐いて、取り出そうとしていた式神を懐にしまう。
「もう二度と、人間に危害を加えないと誓うなら見逃します」
「誓う、誓う、誓う!!!」
妖怪はうねうねと動いて素早く神社から出て行った。
「全く……」
私は再びため息を吐く。
さあ、早く当主様のとこへ帰らなくちゃ。
その瞬間、腰に結んであった九字兼定がガチャガチャと音を立てた。
思い出すのは戦国時代に会った殺生丸さまのこと。けれど今はもう、私が戦国時代に行ったという証拠はこの九字兼定しかない。
あれから――。
骨喰いの井戸に触れた瞬間、何故か現代に戻ってきていた。かごめちゃんとかごめちゃんのお母さんが抱きあって泣いている中、私はハッとして井戸を覗き込んだが、井戸は閉じてしまっていた。
―殺生丸視点―
「あのー殺生丸さま。さすがにもう鈴は諦めては……」と邪見が話しかけるが殺生丸は反応しない。
「もうっ、もうっ、三年ですぞ!!! いい加減に」
「……」
殺生丸は邪見をギロリと一睨み。それ以降、邪見は口を閉じる。
かごめと鈴がいなくなって三年。殺生丸は骨喰いの井戸からほぼ動いていない。
楓という人間が言っていた――。
かごめは四魂の玉を消滅させるためにこの時代に来た。そしてその役割が終わったから元の世界に帰ったのだと。
なら鈴の役割は……――。
殺生丸は晴れ渡った青空を見上げる。
鈴は必ず来る――。
―主人公視点―
ガチャガチャと九字兼定が震える。私は刀を優しく撫でる。
分かってるよ……。
私は九字兼定から目の前にいる当主様へ目を向ける。一つの机を隔てて、お互いに正座。ものすごい緊張感だ。
「もう行くのか」
「はい。お世話になりました」
私は深くお辞儀をする。
この三年間。ひたすらに修行に明け暮れた日々だった。それと同じくらいに妖怪にも向き合った。
妖怪の中には人に害を及ぼす妖怪がいる。けれど殺生丸さまと同じように、優しい妖怪だってもちろんいて。
だから……。やっぱり私は妖怪と仲良くなるという夢はいつか叶うと信じている。
当主様は「そうか」と呟いて、珍しく沈んだ表情を見せる。
「前も言ったと思うが。鈴は芦屋家の次期当主にピッタリだと思っていたんだが。本当に残念だ」
「ありがとうございます。でも……」
私は横に置いてあるリュックサックを手に取る。
「でも。私、行きます」
「そうか。向こうでも元気でな」
「はい。当主様も……いえ。――――お父さんも。元気で」
私は立ち上がってもう一度深く頭を下げた。
「かごめちゃん!」
私は息を少し切らして日暮神社に到着する。
三年後のこの日に会おう、というのは前から決めてあった。
陰陽師の感、というか。きっと戦国時代に戻ったら現代に帰っては来られない、と思ったから。
だからお互いに覚悟が必要だった。
かごめちゃんは強く頷く。瞳には覚悟が灯っている。私も強く頷いた。そして骨喰いの井戸へ真っ直線に歩く。
骨喰いの井戸は相変わらず閉じている。私はガチャガチャと震える九字兼定をスッと抜いた。
九字兼定は邪なものを退ける刀。そして行きたいところへ導く刀。なら――――。私が戦国時代に行った理由はきっと。再び戦国時代へ戻るため――――。
お願い。私を殺生丸さまのとこへ導いて。
刀を井戸に向けて一振りする。私は素早く骨喰いの井戸を覗き込んだ。
骨喰いの井戸には…………晴れ渡った青空が広がっていた。そしてその青空から二人の手が伸びている。
「っ! かごめちゃん!」
「うん!」
私とかごめちゃんはお互いに頷き会って手を伸ばす。
強くて温かい妖気が二つ。
犬夜叉さんも殺生丸さまも。待ってくれていた…………。三年間、ずっと。
私は伸ばされた片方の手を掴んだ。グイッと力強く体が引っ張られる。そして……。
目の前に愛しい人の顔がいっぱいに広がった。
「せっしょ、まる、さま」
目の前に殺生丸さまがいる。長い間、恋焦がれていた存在……。思わず目尻に涙が浮かんでくる。
私はギュッと殺生丸さまに抱きついた。
「待たせてごめんなさい」
そんな私に殺生丸さまも私を優しく抱き寄せた。そしていつものように「行くぞ、鈴」と名前を呼んだ。
「助けてくれぇ~!!!」
芋虫の形をした妖怪はうねうねと動いて神社の床を這いずり回る。
私は深いため息を吐いて、取り出そうとしていた式神を懐にしまう。
「もう二度と、人間に危害を加えないと誓うなら見逃します」
「誓う、誓う、誓う!!!」
妖怪はうねうねと動いて素早く神社から出て行った。
「全く……」
私は再びため息を吐く。
さあ、早く当主様のとこへ帰らなくちゃ。
その瞬間、腰に結んであった九字兼定がガチャガチャと音を立てた。
思い出すのは戦国時代に会った殺生丸さまのこと。けれど今はもう、私が戦国時代に行ったという証拠はこの九字兼定しかない。
あれから――。
骨喰いの井戸に触れた瞬間、何故か現代に戻ってきていた。かごめちゃんとかごめちゃんのお母さんが抱きあって泣いている中、私はハッとして井戸を覗き込んだが、井戸は閉じてしまっていた。
―殺生丸視点―
「あのー殺生丸さま。さすがにもう鈴は諦めては……」と邪見が話しかけるが殺生丸は反応しない。
「もうっ、もうっ、三年ですぞ!!! いい加減に」
「……」
殺生丸は邪見をギロリと一睨み。それ以降、邪見は口を閉じる。
かごめと鈴がいなくなって三年。殺生丸は骨喰いの井戸からほぼ動いていない。
楓という人間が言っていた――。
かごめは四魂の玉を消滅させるためにこの時代に来た。そしてその役割が終わったから元の世界に帰ったのだと。
なら鈴の役割は……――。
殺生丸は晴れ渡った青空を見上げる。
鈴は必ず来る――。
―主人公視点―
ガチャガチャと九字兼定が震える。私は刀を優しく撫でる。
分かってるよ……。
私は九字兼定から目の前にいる当主様へ目を向ける。一つの机を隔てて、お互いに正座。ものすごい緊張感だ。
「もう行くのか」
「はい。お世話になりました」
私は深くお辞儀をする。
この三年間。ひたすらに修行に明け暮れた日々だった。それと同じくらいに妖怪にも向き合った。
妖怪の中には人に害を及ぼす妖怪がいる。けれど殺生丸さまと同じように、優しい妖怪だってもちろんいて。
だから……。やっぱり私は妖怪と仲良くなるという夢はいつか叶うと信じている。
当主様は「そうか」と呟いて、珍しく沈んだ表情を見せる。
「前も言ったと思うが。鈴は芦屋家の次期当主にピッタリだと思っていたんだが。本当に残念だ」
「ありがとうございます。でも……」
私は横に置いてあるリュックサックを手に取る。
「でも。私、行きます」
「そうか。向こうでも元気でな」
「はい。当主様も……いえ。――――お父さんも。元気で」
私は立ち上がってもう一度深く頭を下げた。
「かごめちゃん!」
私は息を少し切らして日暮神社に到着する。
三年後のこの日に会おう、というのは前から決めてあった。
陰陽師の感、というか。きっと戦国時代に戻ったら現代に帰っては来られない、と思ったから。
だからお互いに覚悟が必要だった。
かごめちゃんは強く頷く。瞳には覚悟が灯っている。私も強く頷いた。そして骨喰いの井戸へ真っ直線に歩く。
骨喰いの井戸は相変わらず閉じている。私はガチャガチャと震える九字兼定をスッと抜いた。
九字兼定は邪なものを退ける刀。そして行きたいところへ導く刀。なら――――。私が戦国時代に行った理由はきっと。再び戦国時代へ戻るため――――。
お願い。私を殺生丸さまのとこへ導いて。
刀を井戸に向けて一振りする。私は素早く骨喰いの井戸を覗き込んだ。
骨喰いの井戸には…………晴れ渡った青空が広がっていた。そしてその青空から二人の手が伸びている。
「っ! かごめちゃん!」
「うん!」
私とかごめちゃんはお互いに頷き会って手を伸ばす。
強くて温かい妖気が二つ。
犬夜叉さんも殺生丸さまも。待ってくれていた…………。三年間、ずっと。
私は伸ばされた片方の手を掴んだ。グイッと力強く体が引っ張られる。そして……。
目の前に愛しい人の顔がいっぱいに広がった。
「せっしょ、まる、さま」
目の前に殺生丸さまがいる。長い間、恋焦がれていた存在……。思わず目尻に涙が浮かんでくる。
私はギュッと殺生丸さまに抱きついた。
「待たせてごめんなさい」
そんな私に殺生丸さまも私を優しく抱き寄せた。そしていつものように「行くぞ、鈴」と名前を呼んだ。