主人と僕の旅路 4
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あれからも殺生丸さまはずっと空を眺めている。
邪見に聞くと「なにかを捜しておられるご様子だが……」と教えてはくれたものの、何を捜しているのかまでは私には分からない。
琥珀君は少し離れたところで倒木に腰かけて、こちらもずっと空を眺めている。
「あの、琥珀君。ごめんね、桔梗さんのところに連れていけなくて」
「おれが……もっと強ければ……」
琥珀君は肩を落としている。
「あの……気休めにしかならないけれど。殺生丸さまがね。桔梗さんは浄化されたって言ってた。だから……」
私は昨日の夜見た大きな光を思い出す。
あの光は清らかで汚れたものを感じなかった。
「だからきっと救われて亡くなった、と思う」
――いや、本当はただ自分自身がそう思いたいだけなのかもしれないけれど。
その時、ザァと妙な風が吹く。
私はハッとして空を見上げる。
「あれは……」
空を大きな犬の妖怪が飛んでいく。
この慣れた妖気に、それに見たことのある容姿。もしかして――。
殺生丸さまは本来の姿に変化して、空にいる犬の妖怪を追いかける。
そして稲妻のように光を放ち、けたたましい音を立てながら二人は地面に降り立った。
殺生丸さまは一人の女性と向き合っている。
女性は凛としていてどこか冷たさを感じる顔立ちをしている。
それがどこか――。
「殺生丸……そなただったか」
「こりゃっ、きさま誰じゃい! 殺生丸さまを呼び捨てに……」
「邪見!」
女性に向かって怒る邪見の口を後ろから抑える。
「な、なんじゃ。鈴」
「だって、この人多分」
私は恐る恐る殺生丸さまと女性へと目を向ける。
女性はフッと口元に笑みを浮かべた。
「おおかた父上の形見の天生牙の話だろう。この母を尋ねてきたということは……」
――やっぱりこの妖気に美しい顔立ち。殺生丸さまのお母様だ。
――――――
ゴオと雲が目の前で流れていく。
私達は殺生丸さまに続いて空の上の宮殿へ続く階段を上っていく。そして階段を上った先には豪華な長椅子に腰かけている殺生丸さまのお母様がいた。
私は緊張で体が強張るのを感じながら殺生丸さまの少し後ろに立つ。
お母様に失礼なことをしないだろうか、気に入ってもらえるだろうか。
そんなくすぐったいことを考えてしまう。
まだ殺生丸さまとどうなりたいのか、ちゃんと分かっていないのに。強欲……なのかなぁ。
「殺生丸そなた……人間が嫌いではなかったのか? しかもそのうちの一人が陰陽師とは。エサにでもして力を蓄えるつもりか」
「くだらん」
殺生丸さまは一歩前へ踏み出す。
「天生牙の冥道を広げる方法……父上から聞いているはずだ」
「さあ……。私はこの冥道石を預かっただけだから……」
そう言ってお母様は首にかけてある大きな石を手に持つ。その仕草から石を大切にしているのだと伝わる。
「殺生丸が訪ねてきたら使えと。そうそう、こんなことも言っていたっけ……。冥道石を使えば殺生丸は危ないめにあうけれど、恐れたり悲しんだりしてはならぬと」
「って、笑いながら言ってるし」と私の耳にひそひそと邪見は話しかけてくる。
確かに危ない目にあうと言っているのにも関わらず心配そうじゃない。
妖怪だし。普通の親子とは違うのかもしれないけれど……。
「どうする殺生丸? 母は不安でならぬ」
「ふん……。心にもないことを」
「ならば、楽しませてもらおうか」
お母様は冥道石をスッと前に出す。と一瞬冥道石がカッと光り、石から黒い犬が現れる。
殺生丸さまはすぐに天生牙を抜き、犬に冥道残月破を真正面からくらわす。だが……。
犬は斬れていないどころかかすり傷すらついていない。
そして――。
「こっちにむかって来る!」
犬は私と琥珀君に方向を変え、大きな口を開けて迫ってきた。
「琥珀君!」
私はハッとして琥珀君を後ろに庇う。懐に手を入れて式神を取り出す。
もうお母様の前で失礼がないように、とか考えている暇じゃない。
「水竜、主の守りとなれ」
水竜は私の前に水の壁を作る。
だが犬は壁をもろともせず、突き破ってきた。
何で? もしかして妖怪じゃない?
その心の声に答えるようにお母様はポツリと一言だけ。
「それは冥界の犬。一筋縄ではいかぬ」
「!」
犬は瞬く間に大きな口を開けて私と琥珀君を飲み込んでいく。
「っ!」
私は必死に薄れ行く意識の中で必死に琥珀君へと腕を伸ばす。なんとか琥珀君の袖を握ったところで、私の視界は真っ暗になった。
―殺生丸視点―
鈴と琥珀が冥界の犬に喰われ飲み込まれた。犬はそのまま冥道残月破から冥道へとスルリと行ってしまう。
鈴……
「ちっ!」
予想が正しければ鈴は冥界に踏み込んだ瞬間――。
殺生丸は犬を追い、冥界へと踏み込もうとする。
だが、「待て殺生丸」と制止の声が聞こえた。
自分の母だ。
「冥界に踏み込むつもりか? それも人間を救うために……。ずいぶんと優しくなったものだな」
「犬を斬りに行くだけだ」
殺生丸は迷うことなく、冥界へと足を踏み入れる。
ゴオオオオ……。
冥界はほんのりと薄暗い。その中にわずかに輝きを放つ一本の道を見つける。
さしずめ冥界への一本道……か。
その道を殺生丸は辿っていく。…………と。
「!」
冥界の犬が奥へ奥へと走っていくのが見えた。
バキ、と爪を出し勢いをつけて犬へと襲い掛かる。
だが、犬は素早い動きで身をよじり殺生丸の攻撃を避けた。
殺生丸は再び爪を出そうとするも、犬の腹が急にボウと明るくなる。
「!」
鈴!
光に目をこらすと琥珀の腕をとりかばうように抱きかかえている鈴の姿が見える。
鈴の顔は汗が光っているにも関わらず、青白く生気がなくなっていた。
邪見に聞くと「なにかを捜しておられるご様子だが……」と教えてはくれたものの、何を捜しているのかまでは私には分からない。
琥珀君は少し離れたところで倒木に腰かけて、こちらもずっと空を眺めている。
「あの、琥珀君。ごめんね、桔梗さんのところに連れていけなくて」
「おれが……もっと強ければ……」
琥珀君は肩を落としている。
「あの……気休めにしかならないけれど。殺生丸さまがね。桔梗さんは浄化されたって言ってた。だから……」
私は昨日の夜見た大きな光を思い出す。
あの光は清らかで汚れたものを感じなかった。
「だからきっと救われて亡くなった、と思う」
――いや、本当はただ自分自身がそう思いたいだけなのかもしれないけれど。
その時、ザァと妙な風が吹く。
私はハッとして空を見上げる。
「あれは……」
空を大きな犬の妖怪が飛んでいく。
この慣れた妖気に、それに見たことのある容姿。もしかして――。
殺生丸さまは本来の姿に変化して、空にいる犬の妖怪を追いかける。
そして稲妻のように光を放ち、けたたましい音を立てながら二人は地面に降り立った。
殺生丸さまは一人の女性と向き合っている。
女性は凛としていてどこか冷たさを感じる顔立ちをしている。
それがどこか――。
「殺生丸……そなただったか」
「こりゃっ、きさま誰じゃい! 殺生丸さまを呼び捨てに……」
「邪見!」
女性に向かって怒る邪見の口を後ろから抑える。
「な、なんじゃ。鈴」
「だって、この人多分」
私は恐る恐る殺生丸さまと女性へと目を向ける。
女性はフッと口元に笑みを浮かべた。
「おおかた父上の形見の天生牙の話だろう。この母を尋ねてきたということは……」
――やっぱりこの妖気に美しい顔立ち。殺生丸さまのお母様だ。
――――――
ゴオと雲が目の前で流れていく。
私達は殺生丸さまに続いて空の上の宮殿へ続く階段を上っていく。そして階段を上った先には豪華な長椅子に腰かけている殺生丸さまのお母様がいた。
私は緊張で体が強張るのを感じながら殺生丸さまの少し後ろに立つ。
お母様に失礼なことをしないだろうか、気に入ってもらえるだろうか。
そんなくすぐったいことを考えてしまう。
まだ殺生丸さまとどうなりたいのか、ちゃんと分かっていないのに。強欲……なのかなぁ。
「殺生丸そなた……人間が嫌いではなかったのか? しかもそのうちの一人が陰陽師とは。エサにでもして力を蓄えるつもりか」
「くだらん」
殺生丸さまは一歩前へ踏み出す。
「天生牙の冥道を広げる方法……父上から聞いているはずだ」
「さあ……。私はこの冥道石を預かっただけだから……」
そう言ってお母様は首にかけてある大きな石を手に持つ。その仕草から石を大切にしているのだと伝わる。
「殺生丸が訪ねてきたら使えと。そうそう、こんなことも言っていたっけ……。冥道石を使えば殺生丸は危ないめにあうけれど、恐れたり悲しんだりしてはならぬと」
「って、笑いながら言ってるし」と私の耳にひそひそと邪見は話しかけてくる。
確かに危ない目にあうと言っているのにも関わらず心配そうじゃない。
妖怪だし。普通の親子とは違うのかもしれないけれど……。
「どうする殺生丸? 母は不安でならぬ」
「ふん……。心にもないことを」
「ならば、楽しませてもらおうか」
お母様は冥道石をスッと前に出す。と一瞬冥道石がカッと光り、石から黒い犬が現れる。
殺生丸さまはすぐに天生牙を抜き、犬に冥道残月破を真正面からくらわす。だが……。
犬は斬れていないどころかかすり傷すらついていない。
そして――。
「こっちにむかって来る!」
犬は私と琥珀君に方向を変え、大きな口を開けて迫ってきた。
「琥珀君!」
私はハッとして琥珀君を後ろに庇う。懐に手を入れて式神を取り出す。
もうお母様の前で失礼がないように、とか考えている暇じゃない。
「水竜、主の守りとなれ」
水竜は私の前に水の壁を作る。
だが犬は壁をもろともせず、突き破ってきた。
何で? もしかして妖怪じゃない?
その心の声に答えるようにお母様はポツリと一言だけ。
「それは冥界の犬。一筋縄ではいかぬ」
「!」
犬は瞬く間に大きな口を開けて私と琥珀君を飲み込んでいく。
「っ!」
私は必死に薄れ行く意識の中で必死に琥珀君へと腕を伸ばす。なんとか琥珀君の袖を握ったところで、私の視界は真っ暗になった。
―殺生丸視点―
鈴と琥珀が冥界の犬に喰われ飲み込まれた。犬はそのまま冥道残月破から冥道へとスルリと行ってしまう。
鈴……
「ちっ!」
予想が正しければ鈴は冥界に踏み込んだ瞬間――。
殺生丸は犬を追い、冥界へと踏み込もうとする。
だが、「待て殺生丸」と制止の声が聞こえた。
自分の母だ。
「冥界に踏み込むつもりか? それも人間を救うために……。ずいぶんと優しくなったものだな」
「犬を斬りに行くだけだ」
殺生丸は迷うことなく、冥界へと足を踏み入れる。
ゴオオオオ……。
冥界はほんのりと薄暗い。その中にわずかに輝きを放つ一本の道を見つける。
さしずめ冥界への一本道……か。
その道を殺生丸は辿っていく。…………と。
「!」
冥界の犬が奥へ奥へと走っていくのが見えた。
バキ、と爪を出し勢いをつけて犬へと襲い掛かる。
だが、犬は素早い動きで身をよじり殺生丸の攻撃を避けた。
殺生丸は再び爪を出そうとするも、犬の腹が急にボウと明るくなる。
「!」
鈴!
光に目をこらすと琥珀の腕をとりかばうように抱きかかえている鈴の姿が見える。
鈴の顔は汗が光っているにも関わらず、青白く生気がなくなっていた。