主人と僕の旅路 4
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「――鈴」
低い聞きなれた声。
その声に導かれるように私は目を薄っすらと開ける。
目を開けると妖怪の顔がドアップで映りこんでいた。
「せ、っしょう、まる、さま?」
殺生丸さまは私の頬に手を当てる。
「…………戻ってきたか」
「……はい。あの、殺生丸さま。助けてくれてありがとうございました」
私はペコリと頭を下げた。その瞬間、殺生丸さまは頬から手を離して私の頭の後ろへと回す。
「え? せっ、殺生丸さま?」
思わず身を固くする。
今の私は殺生丸さまの腕に抱き締められている状態だ。
ど、どうしたんだろう。殺生丸さま……。
ドキドキと胸を高鳴らせながらそっと視線を上へ上げる。
殺生丸さまの顔は普段と一緒だ。ただ私の顔だけが赤い。
「鈴」
「は、はいっ!」
名前を呼ばれて思わず声が上擦ってしまう。
「――」
殺生丸さまはただ名前を呼んだだけで、特に何も言わなかった。
けれどそれがなんだか心地がいい。
――ずっとこのままでいたい。
そう思ったのもつかの間、殺生丸さまはそっと距離を取る。
そして「一体何があった」と問いかけた。
名残惜しさを感じながら私は殺生丸さまから自分の腰にある九字兼定を眺める。
「この刀が導いてくれました。九字兼定は行きたい場所への道を開く刀ですから。それに――」
私はスッと目を閉じる。
「神楽が……助けてくれました」
後ろを振り向くな、殺生丸さまのそばにいろ、と。背中を押してくれた。
殺生丸さまは「そうか」とだけ呟くと、後ろを向く。
「鈴、行くぞ」
「あ、はい」
私は体を起こして立ち上がる。
どうも私は御母堂さまが座っていた長椅子に寝かせられていたらしい。
「あの、ありがとうございました」
私は御母堂さまに頭を下げた。
すると御母堂さまは「殺生丸」と息子を呼び止める。
「もう行くのか。気が早いな。陰陽師の小娘の体調など気にしない、か」
「!」
その呼びかけに殺生丸さまは私を見つめる。
「どうだ。しばらくここで休んでもいいだろう」
「…………」
殺生丸さまは無言のままだ。
「それに」と御母堂様は私へ顔を向ける。
「殺生丸の子供の頃のあんな話やこんな話、聞きたくないか」
「……う。それは……聞きたいです」
――――――
チャポン、と水滴の音が周りに響く。
私は素っ裸で露天風呂に入っている状態だ。そして隣には御母堂さま。
あれからあれよあれよという間に宿泊の準備が整えられ、何故か御母堂さまと一緒にお風呂に入っているという謎な状況である。
……とはいえ、戦国時代に来てからというものお風呂に入ったりゆったりできる時間がなかったから御母堂さまの配慮はとても助かる。
「あの」と私は御母堂さまに声をかける。
「御母堂さまは人間が好きなんですか。その、殺生丸さまは半妖である犬夜叉さんのことが好きでないみたいだから」
こんなにいろいろしてくれているし……。と思っていると「まさか」と返事が返ってくる。
「誰が恋敵である人間を好きになるか」
「……」
確かに殺生丸さまの次に犬夜叉さんが生まれているということは、御母堂さまにとって犬夜叉さんの母は恋敵になるだろう。
だったら……。
「だったらどうして、こんなに私によくしてくれるんでしょうか」
「……殺生丸のあんな顔は始めてみた」
「え?」
御母堂さまは自身の腕にお湯をかけながら話を続ける。
「我が息子ながら全く面白みのないやつでのう。小さい頃からからかいがいのない息子だった。だが、小娘。お前が冥界に連れ去られ息を吹き返さないと知ったあの表情はなかなかに面白かったぞ」
「は、はぁ……」
「顔が渋ったかと思えば、お前が目を開けた瞬間は喜んでいたようだしな。今回はそのちょっとした礼だ」
そう言って御母堂さまは口角を上げる。
うーん。邪見は殺生丸さまと御母堂さまが似ていると言っていたけれど、こうやって向き合ってみるとそうでもないような気が……。
「全く、変なところが父親に似てしまったな」
父親……。殺生丸さまが幼い頃に亡くなったという。
殺生丸さまの優しさは父親譲りなのかな。
私がうーんと考えていると御母堂さまは「さて」と私の腕をとる。
「これ以上湯に入っているとのぼせるぞ。まぁ、わざとそうさせて殺生丸がどうなるのかも見たい気はあるがな」
そう言って御母堂さまは私を立ち上がらせてお風呂から出る。
確かに……。
自分では気づいていなかったけれど、お風呂から出た瞬間、一瞬クラッとめまいがした。
さっきは殺生丸さまと御母堂さまは似ていないと思ったけれど。
――やっぱりそっくりかも。
私は一人フフッと笑みをこぼしながら御母堂さまの後ろをついていく。
殺生丸さまも御母堂さまもきちんと相手のことを見てくれていて、本当は優しい。
家族っていいな……。
低い聞きなれた声。
その声に導かれるように私は目を薄っすらと開ける。
目を開けると妖怪の顔がドアップで映りこんでいた。
「せ、っしょう、まる、さま?」
殺生丸さまは私の頬に手を当てる。
「…………戻ってきたか」
「……はい。あの、殺生丸さま。助けてくれてありがとうございました」
私はペコリと頭を下げた。その瞬間、殺生丸さまは頬から手を離して私の頭の後ろへと回す。
「え? せっ、殺生丸さま?」
思わず身を固くする。
今の私は殺生丸さまの腕に抱き締められている状態だ。
ど、どうしたんだろう。殺生丸さま……。
ドキドキと胸を高鳴らせながらそっと視線を上へ上げる。
殺生丸さまの顔は普段と一緒だ。ただ私の顔だけが赤い。
「鈴」
「は、はいっ!」
名前を呼ばれて思わず声が上擦ってしまう。
「――」
殺生丸さまはただ名前を呼んだだけで、特に何も言わなかった。
けれどそれがなんだか心地がいい。
――ずっとこのままでいたい。
そう思ったのもつかの間、殺生丸さまはそっと距離を取る。
そして「一体何があった」と問いかけた。
名残惜しさを感じながら私は殺生丸さまから自分の腰にある九字兼定を眺める。
「この刀が導いてくれました。九字兼定は行きたい場所への道を開く刀ですから。それに――」
私はスッと目を閉じる。
「神楽が……助けてくれました」
後ろを振り向くな、殺生丸さまのそばにいろ、と。背中を押してくれた。
殺生丸さまは「そうか」とだけ呟くと、後ろを向く。
「鈴、行くぞ」
「あ、はい」
私は体を起こして立ち上がる。
どうも私は御母堂さまが座っていた長椅子に寝かせられていたらしい。
「あの、ありがとうございました」
私は御母堂さまに頭を下げた。
すると御母堂さまは「殺生丸」と息子を呼び止める。
「もう行くのか。気が早いな。陰陽師の小娘の体調など気にしない、か」
「!」
その呼びかけに殺生丸さまは私を見つめる。
「どうだ。しばらくここで休んでもいいだろう」
「…………」
殺生丸さまは無言のままだ。
「それに」と御母堂様は私へ顔を向ける。
「殺生丸の子供の頃のあんな話やこんな話、聞きたくないか」
「……う。それは……聞きたいです」
――――――
チャポン、と水滴の音が周りに響く。
私は素っ裸で露天風呂に入っている状態だ。そして隣には御母堂さま。
あれからあれよあれよという間に宿泊の準備が整えられ、何故か御母堂さまと一緒にお風呂に入っているという謎な状況である。
……とはいえ、戦国時代に来てからというものお風呂に入ったりゆったりできる時間がなかったから御母堂さまの配慮はとても助かる。
「あの」と私は御母堂さまに声をかける。
「御母堂さまは人間が好きなんですか。その、殺生丸さまは半妖である犬夜叉さんのことが好きでないみたいだから」
こんなにいろいろしてくれているし……。と思っていると「まさか」と返事が返ってくる。
「誰が恋敵である人間を好きになるか」
「……」
確かに殺生丸さまの次に犬夜叉さんが生まれているということは、御母堂さまにとって犬夜叉さんの母は恋敵になるだろう。
だったら……。
「だったらどうして、こんなに私によくしてくれるんでしょうか」
「……殺生丸のあんな顔は始めてみた」
「え?」
御母堂さまは自身の腕にお湯をかけながら話を続ける。
「我が息子ながら全く面白みのないやつでのう。小さい頃からからかいがいのない息子だった。だが、小娘。お前が冥界に連れ去られ息を吹き返さないと知ったあの表情はなかなかに面白かったぞ」
「は、はぁ……」
「顔が渋ったかと思えば、お前が目を開けた瞬間は喜んでいたようだしな。今回はそのちょっとした礼だ」
そう言って御母堂さまは口角を上げる。
うーん。邪見は殺生丸さまと御母堂さまが似ていると言っていたけれど、こうやって向き合ってみるとそうでもないような気が……。
「全く、変なところが父親に似てしまったな」
父親……。殺生丸さまが幼い頃に亡くなったという。
殺生丸さまの優しさは父親譲りなのかな。
私がうーんと考えていると御母堂さまは「さて」と私の腕をとる。
「これ以上湯に入っているとのぼせるぞ。まぁ、わざとそうさせて殺生丸がどうなるのかも見たい気はあるがな」
そう言って御母堂さまは私を立ち上がらせてお風呂から出る。
確かに……。
自分では気づいていなかったけれど、お風呂から出た瞬間、一瞬クラッとめまいがした。
さっきは殺生丸さまと御母堂さまは似ていないと思ったけれど。
――やっぱりそっくりかも。
私は一人フフッと笑みをこぼしながら御母堂さまの後ろをついていく。
殺生丸さまも御母堂さまもきちんと相手のことを見てくれていて、本当は優しい。
家族っていいな……。