主人と僕の旅路 4
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―殺生丸視点―
殺生丸は前より大きい冥道を開いて、元へ戻ってきた。右手に抱えている鈴をゆっくりと母の座っていた長椅子に寝かせる。
鈴は白い顔をしており、息はしていなかった。
殺生丸は母を鋭く睨む。
「どうした殺生丸? そなたの望み通り天生牙は成長し、冥道は広がった。少しは喜んだらどうだ」
「……。鈴がこうなることを……知っていたのか」
その殺生丸の問いかけに母は凛として口を開く。
「そなたはおそらく、すでに小娘を天生牙で蘇らせた。そうだろう? 天生牙で死人を呼び戻せるのは一度きりだ」
「!」
珍しく殺生丸は表情を崩す。
「当然だろう。本来命とは限りあるもの。そなたの都合で何度も救えるものではない。そなた、神にでもなったつもりか? 天生牙さえあれば、死など恐るるに足らぬと」
殺生丸は無言のまま視線を下へ向ける。
「殺生丸、そなたは知らねばならなかった。愛しき命を救おうとする心と同時に、それを失う悲しみと恐れを」
――悲しみと恐れ……――
「父上はこうも言っていた。天生牙は癒しの刀、たとえ武器として振るう時も、命の重さを知り、慈悲の心を持って、敵を葬らねばならぬと」
……慈悲の心……。
「それが百の命を救い、敵を冥道に送る天生牙を持つ者の資格だと」
慈悲の心……。そんなもののために鈴は死んだとでもいうのか。
殺生丸は視線をわずかに鈴へと向ける。鈴が横たわっている隣では邪見が涙を流している。
それに母も気付いたのか、「小妖怪、泣いているのか?」と声をかける。
「邪見でございます。殺生丸さまはどんな時でも涙を見せぬご気性ゆえ、この邪見がかわりに――」
余計なことを……。
普段であれば邪見をぶん殴るところだが、今の殺生丸は到底そんな気にはなれない。
「悲しいか殺生丸?」
悲しい、のか。
母は首にかけてある冥道石に手を伸ばす。
「この冥道石で小娘の命を連れ戻してやろう。ただし……二度目はないと思え」
だが母が石を鈴にかける前に鈴の持っている刀が光始める。そしてその光は徐々に鈴自身を包み始める。
……一体、何が起こっている。
「鈴――」
―主人公視点―
また暗闇に戻ってしまった……。とりあえず光を探さないと。
そう思って歩き続けているが光も見当たらないし、出口も見えない。
何より……。
――ずっと歩いているのに疲れがこない。
私は立ち止まって一息つく。
疲れがこない……。それがなんだか恐い。何か得体の知れないところにいるようで。
私はギュッと唇をかんで、恐怖に耐えようとする。けれど。
「痛みも、ない?」
そんなまさか……。
恐い、恐い、恐い。
「殺生丸さま……」
希望を求めて名前を呼んでみる。だが答えてくれる声も、気配もない。
まさかずっとこのまま、なんて……。
嫌だ、行きたい。殺生丸さまの元へ。
――行きたい、大切な人のところへ。
泣きそうになるのを堪えながら必死に前を向く。
負けちゃダメ。絶対に殺生丸さまのところへ行くんだから。
また暗闇を歩くために一歩を踏み出した。すると、上から小さく光を放った一枚の白い羽が降りてくる。
羽は私の目の前で降りたかと思うと、腰に差してある刀、九字兼定の周りをふわふわと回っている。
もしかして……。
私は腰に差してある刀をゆっくりと撫でる。
たしか、この刀。邪を払う刀で、行きたい場所への道を開く刀――。
前は狐が邪魔して使えなかった。でも、今なら。
――殺生丸さまのところへ行ける……――
私は勢いよく腰から刀を抜く。
白い羽は淡い光を放ちながら、変わらず刀の周りを回っている。
なんだか背中を押されているみたい……。殺生丸さまのところへ戻れって。
私は刀を真っすぐに構えて、強く、願う。
殺生丸様のところへ、行きたい――。
ドクン、と刀が脈を打つ。
「!」
そのあとは自然と体が動いていた。
刀を一気に縦に振り下ろす。すると空間がギザギザと裂け、中から光が溢れ出てきた。
この光の中へ入っていけば殺生丸さまのところへ行ける……?
少し足を踏み出すのをためらっている、と。
「っ!」
後ろから背中を押される。その反動で意図せず裂け目へ入っていく形になってしまった。
「だ、誰!?」
「行きな。あんたのいる場所はここじゃない」
光の中に包まれながら、なんとか後ろを振り向く。
――……ああ、やっぱりそうだったのか。
後ろには見知った人物がいた。
白い羽が降りてきたときから、もしかしてとは思っていたけれど。
「――――神楽」
殺生丸は前より大きい冥道を開いて、元へ戻ってきた。右手に抱えている鈴をゆっくりと母の座っていた長椅子に寝かせる。
鈴は白い顔をしており、息はしていなかった。
殺生丸は母を鋭く睨む。
「どうした殺生丸? そなたの望み通り天生牙は成長し、冥道は広がった。少しは喜んだらどうだ」
「……。鈴がこうなることを……知っていたのか」
その殺生丸の問いかけに母は凛として口を開く。
「そなたはおそらく、すでに小娘を天生牙で蘇らせた。そうだろう? 天生牙で死人を呼び戻せるのは一度きりだ」
「!」
珍しく殺生丸は表情を崩す。
「当然だろう。本来命とは限りあるもの。そなたの都合で何度も救えるものではない。そなた、神にでもなったつもりか? 天生牙さえあれば、死など恐るるに足らぬと」
殺生丸は無言のまま視線を下へ向ける。
「殺生丸、そなたは知らねばならなかった。愛しき命を救おうとする心と同時に、それを失う悲しみと恐れを」
――悲しみと恐れ……――
「父上はこうも言っていた。天生牙は癒しの刀、たとえ武器として振るう時も、命の重さを知り、慈悲の心を持って、敵を葬らねばならぬと」
……慈悲の心……。
「それが百の命を救い、敵を冥道に送る天生牙を持つ者の資格だと」
慈悲の心……。そんなもののために鈴は死んだとでもいうのか。
殺生丸は視線をわずかに鈴へと向ける。鈴が横たわっている隣では邪見が涙を流している。
それに母も気付いたのか、「小妖怪、泣いているのか?」と声をかける。
「邪見でございます。殺生丸さまはどんな時でも涙を見せぬご気性ゆえ、この邪見がかわりに――」
余計なことを……。
普段であれば邪見をぶん殴るところだが、今の殺生丸は到底そんな気にはなれない。
「悲しいか殺生丸?」
悲しい、のか。
母は首にかけてある冥道石に手を伸ばす。
「この冥道石で小娘の命を連れ戻してやろう。ただし……二度目はないと思え」
だが母が石を鈴にかける前に鈴の持っている刀が光始める。そしてその光は徐々に鈴自身を包み始める。
……一体、何が起こっている。
「鈴――」
―主人公視点―
また暗闇に戻ってしまった……。とりあえず光を探さないと。
そう思って歩き続けているが光も見当たらないし、出口も見えない。
何より……。
――ずっと歩いているのに疲れがこない。
私は立ち止まって一息つく。
疲れがこない……。それがなんだか恐い。何か得体の知れないところにいるようで。
私はギュッと唇をかんで、恐怖に耐えようとする。けれど。
「痛みも、ない?」
そんなまさか……。
恐い、恐い、恐い。
「殺生丸さま……」
希望を求めて名前を呼んでみる。だが答えてくれる声も、気配もない。
まさかずっとこのまま、なんて……。
嫌だ、行きたい。殺生丸さまの元へ。
――行きたい、大切な人のところへ。
泣きそうになるのを堪えながら必死に前を向く。
負けちゃダメ。絶対に殺生丸さまのところへ行くんだから。
また暗闇を歩くために一歩を踏み出した。すると、上から小さく光を放った一枚の白い羽が降りてくる。
羽は私の目の前で降りたかと思うと、腰に差してある刀、九字兼定の周りをふわふわと回っている。
もしかして……。
私は腰に差してある刀をゆっくりと撫でる。
たしか、この刀。邪を払う刀で、行きたい場所への道を開く刀――。
前は狐が邪魔して使えなかった。でも、今なら。
――殺生丸さまのところへ行ける……――
私は勢いよく腰から刀を抜く。
白い羽は淡い光を放ちながら、変わらず刀の周りを回っている。
なんだか背中を押されているみたい……。殺生丸さまのところへ戻れって。
私は刀を真っすぐに構えて、強く、願う。
殺生丸様のところへ、行きたい――。
ドクン、と刀が脈を打つ。
「!」
そのあとは自然と体が動いていた。
刀を一気に縦に振り下ろす。すると空間がギザギザと裂け、中から光が溢れ出てきた。
この光の中へ入っていけば殺生丸さまのところへ行ける……?
少し足を踏み出すのをためらっている、と。
「っ!」
後ろから背中を押される。その反動で意図せず裂け目へ入っていく形になってしまった。
「だ、誰!?」
「行きな。あんたのいる場所はここじゃない」
光の中に包まれながら、なんとか後ろを振り向く。
――……ああ、やっぱりそうだったのか。
後ろには見知った人物がいた。
白い羽が降りてきたときから、もしかしてとは思っていたけれど。
「――――神楽」