主人と僕の旅路 4
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ぐ~とお腹を鳴らしながら畑を漁る。見張りはいつもの通り邪見だ。
だが、今日はいつもと違った。
「鈴!」
「んー?」
「人が来るぞ!!」
「!」
ハッとして顔を上げる。と、遠くに人影が二つ見えた。
私は急いで盗んだものを抱えて立ち上がる。その人影も私の姿を見つけたのか猛スピードで走ってきた。
「お、おい。鈴!」
「わ、分かってるよ!」
両手に野菜をいっぱい抱えて走る。が……。
何やら大声で叫んでいる。
「助けてくれぇ~!」
「ん? 助けてくれ?」
私は急ブレーキをかけて立ち止まって、邪見と目を合わせた。
最初に口を開いたのは邪見だ。
「まさか話を聞こうという魂胆ではあるまいな。殺生丸さまを待たせているのだぞ」
「う……。それは分かってはいるのだけど」
放ってはおけないし。ちょっとだけなら話を聞いても。
私はくるりと踵を返して二人に向き合う。二人はゼーハーと肩を上下させて、私の目の前までやってくる。
どうも身なりからしてこの付近の村人のようで、二人とも老人のようだ。
「た、た、助けて、くれ」
「一度落ち着いて下さい」
「鬼が……。鬼が毎夜村で暴れるんだ」
鬼が暴れる……。
思わず懐へと手を伸ばしてしまう。
陰陽師だし、助けたいのは山々なんだけど。でも。殺生丸さまが……。
と、そこへ慣れた妖気を感じる。
「殺生丸さま!?」
いつの間にか後ろに殺生丸さまが立っていた。その姿に「妖怪だぁーーー」と老人は二人そろって尻もちをつく。
その姿を殺生丸さまは一瞥した後、私へと目を向ける。
「……何があった」
「それが鬼が毎夜村を襲うらしくて」
殺生丸さまはまた老人へと目を向けた後、踵を返して歩いていってしまう。まだ老人達は尻もちをついたままだ。
「これ、早く行くぞ」と邪見に促される。
「うん……」
私は返事はするものの、その場で立ち止まる。そして懐から式神を出した。
「あの、これ」
取り出したのは風鳥だ。
「何かあったらこれを空へ。式神です。私、陰陽師なので……」
ポカンと口を開けて老人達は私を見ている。
「それじゃ」
私は駆け足で殺生丸さまを追いかけていった。
―その夜―
ズーンと地鳴りが響き渡る。
殺生丸さまは崖の上で鬼を退治していた。
―時は数分前-
バサバサ、と翼をはためかせて風鳥が阿吽にまたがっていた私の目の前に降り立つ。
「っ!」
もしかして村に鬼がっ!
風鳥は再び空へ舞い上がり、空中を旋回している。
「あのっ、殺生丸さま! 私、行くところが!」
私は殺生丸さまを見上げる。殺生丸さまは阿吽の手綱を引いて、一気に空へと舞い上がった。
阿吽に乗っていた私も自然と空を飛ぶことになる。
「待ってぇ~殺生丸さまぁ~」
邪見が必死に殺生丸さまへと手を伸ばしているが届きそうにない。
私はやれやれと阿吽から身を乗り出してなんとか邪見の手を掴んだ。
――というわけで今にいたるわけだが。
またズーンと地響きが鳴る。
殺生丸さまが冥道残月破で鬼をまっぷたつにしたからだ。
「これ、鈴! 勘違いするでないぞ。殺生丸さまは技を鍛えるために」
「うん」
私は殺生丸さまを見つめる。
「あの殺生丸さま」
殺生丸さまは相変わらず私でなく、鬼に視線を向けたままだ。
鬼を倒しに来たのは冥道残月破を鍛えるためかもしれない。でも。それだったらもっと強い妖怪でもよかったはずだ。
私はペコリと頭を下げる。
そんな私などお構いなしに邪見は「さすが殺生丸さま」と声を高らかに上げる。
「鬼のやつ……まっぷたつでございます」
「邪見、きさまの目は節穴か? 鬼の体はほとんどこの世に残ったままだ」
刀々斎さんがそういえば言っていた。冥道の裂け目はやがて円になって敵をまるごとあの世に送るって。
そんなことを考えている間に、下から邪な妖気が集まってくる。私と殺生丸さまは同時に後ろを振り向く。
……くるっ。
ボコボコ……と地面が盛り上がる。と、巨大な鬼が三体地面から出てくる。
「われらの山を荒らし、仲間を何匹も斬った……。きさま……引き裂いてくれる……」
「ふっ、ありがたい。まとめて天生牙のこやしになってもらおうか……」
殺生丸さまが刀を握り直す音が聞こえた。
―犬夜叉視点―
朝、犬夜叉たちはとある村を訪れる。
「おや、また人間と妖怪の一行かい」
「失礼。また、とは一体」
突然声をかけてきた老人に弥勒が質問をする。
「実はここは夜になると鬼に襲われていたんです。それが、数日前に陰陽師と名乗る娘に鬼が出るから助けてくれと相談しまして」
陰陽師と名乗る娘?と犬夜叉は珍しく険しい顔をする。
「あ、しかもその陰陽師と名乗る娘。妖怪と一緒にいて。確かよく分からん小さいやつも一緒だったかな」
その言葉にかごめが「それって鈴ちゃんと殺生丸じゃ……」と耳打ちをする。
犬夜叉は「さぁな」と返して老人の話に耳を傾ける。
「まぁ、とにかく相談したその夜から鬼はいなくなったんですがねぇ。今度は夜な夜な山中から不気味な音がするんだ」
崖に鬼が二つになって倒れている。
犬夜叉は鼻からスンと息を吸う。
「殺生丸のしわざだ」
「え……。だけど殺生丸の剣は確か……」
折れたはずだ。魍魎丸との戦いで。
かごめの言葉に珊瑚が「新しい刀を手に入れたってこと?」と問いかける。
「かもな」
……にしてもなんだ? この奇妙な斬り口は――
だが、今日はいつもと違った。
「鈴!」
「んー?」
「人が来るぞ!!」
「!」
ハッとして顔を上げる。と、遠くに人影が二つ見えた。
私は急いで盗んだものを抱えて立ち上がる。その人影も私の姿を見つけたのか猛スピードで走ってきた。
「お、おい。鈴!」
「わ、分かってるよ!」
両手に野菜をいっぱい抱えて走る。が……。
何やら大声で叫んでいる。
「助けてくれぇ~!」
「ん? 助けてくれ?」
私は急ブレーキをかけて立ち止まって、邪見と目を合わせた。
最初に口を開いたのは邪見だ。
「まさか話を聞こうという魂胆ではあるまいな。殺生丸さまを待たせているのだぞ」
「う……。それは分かってはいるのだけど」
放ってはおけないし。ちょっとだけなら話を聞いても。
私はくるりと踵を返して二人に向き合う。二人はゼーハーと肩を上下させて、私の目の前までやってくる。
どうも身なりからしてこの付近の村人のようで、二人とも老人のようだ。
「た、た、助けて、くれ」
「一度落ち着いて下さい」
「鬼が……。鬼が毎夜村で暴れるんだ」
鬼が暴れる……。
思わず懐へと手を伸ばしてしまう。
陰陽師だし、助けたいのは山々なんだけど。でも。殺生丸さまが……。
と、そこへ慣れた妖気を感じる。
「殺生丸さま!?」
いつの間にか後ろに殺生丸さまが立っていた。その姿に「妖怪だぁーーー」と老人は二人そろって尻もちをつく。
その姿を殺生丸さまは一瞥した後、私へと目を向ける。
「……何があった」
「それが鬼が毎夜村を襲うらしくて」
殺生丸さまはまた老人へと目を向けた後、踵を返して歩いていってしまう。まだ老人達は尻もちをついたままだ。
「これ、早く行くぞ」と邪見に促される。
「うん……」
私は返事はするものの、その場で立ち止まる。そして懐から式神を出した。
「あの、これ」
取り出したのは風鳥だ。
「何かあったらこれを空へ。式神です。私、陰陽師なので……」
ポカンと口を開けて老人達は私を見ている。
「それじゃ」
私は駆け足で殺生丸さまを追いかけていった。
―その夜―
ズーンと地鳴りが響き渡る。
殺生丸さまは崖の上で鬼を退治していた。
―時は数分前-
バサバサ、と翼をはためかせて風鳥が阿吽にまたがっていた私の目の前に降り立つ。
「っ!」
もしかして村に鬼がっ!
風鳥は再び空へ舞い上がり、空中を旋回している。
「あのっ、殺生丸さま! 私、行くところが!」
私は殺生丸さまを見上げる。殺生丸さまは阿吽の手綱を引いて、一気に空へと舞い上がった。
阿吽に乗っていた私も自然と空を飛ぶことになる。
「待ってぇ~殺生丸さまぁ~」
邪見が必死に殺生丸さまへと手を伸ばしているが届きそうにない。
私はやれやれと阿吽から身を乗り出してなんとか邪見の手を掴んだ。
――というわけで今にいたるわけだが。
またズーンと地響きが鳴る。
殺生丸さまが冥道残月破で鬼をまっぷたつにしたからだ。
「これ、鈴! 勘違いするでないぞ。殺生丸さまは技を鍛えるために」
「うん」
私は殺生丸さまを見つめる。
「あの殺生丸さま」
殺生丸さまは相変わらず私でなく、鬼に視線を向けたままだ。
鬼を倒しに来たのは冥道残月破を鍛えるためかもしれない。でも。それだったらもっと強い妖怪でもよかったはずだ。
私はペコリと頭を下げる。
そんな私などお構いなしに邪見は「さすが殺生丸さま」と声を高らかに上げる。
「鬼のやつ……まっぷたつでございます」
「邪見、きさまの目は節穴か? 鬼の体はほとんどこの世に残ったままだ」
刀々斎さんがそういえば言っていた。冥道の裂け目はやがて円になって敵をまるごとあの世に送るって。
そんなことを考えている間に、下から邪な妖気が集まってくる。私と殺生丸さまは同時に後ろを振り向く。
……くるっ。
ボコボコ……と地面が盛り上がる。と、巨大な鬼が三体地面から出てくる。
「われらの山を荒らし、仲間を何匹も斬った……。きさま……引き裂いてくれる……」
「ふっ、ありがたい。まとめて天生牙のこやしになってもらおうか……」
殺生丸さまが刀を握り直す音が聞こえた。
―犬夜叉視点―
朝、犬夜叉たちはとある村を訪れる。
「おや、また人間と妖怪の一行かい」
「失礼。また、とは一体」
突然声をかけてきた老人に弥勒が質問をする。
「実はここは夜になると鬼に襲われていたんです。それが、数日前に陰陽師と名乗る娘に鬼が出るから助けてくれと相談しまして」
陰陽師と名乗る娘?と犬夜叉は珍しく険しい顔をする。
「あ、しかもその陰陽師と名乗る娘。妖怪と一緒にいて。確かよく分からん小さいやつも一緒だったかな」
その言葉にかごめが「それって鈴ちゃんと殺生丸じゃ……」と耳打ちをする。
犬夜叉は「さぁな」と返して老人の話に耳を傾ける。
「まぁ、とにかく相談したその夜から鬼はいなくなったんですがねぇ。今度は夜な夜な山中から不気味な音がするんだ」
崖に鬼が二つになって倒れている。
犬夜叉は鼻からスンと息を吸う。
「殺生丸のしわざだ」
「え……。だけど殺生丸の剣は確か……」
折れたはずだ。魍魎丸との戦いで。
かごめの言葉に珊瑚が「新しい刀を手に入れたってこと?」と問いかける。
「かもな」
……にしてもなんだ? この奇妙な斬り口は――
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