主人と僕の旅路 3
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ザザ……と川の音が聞こえる。
私は阿吽に乗りながら殺生丸さまの後をついていく。
まだ頬が赤い。殺生丸さまをただ見ているだけなのに、なんだかじれったくて胸が痛くなる。
その時、急に殺生丸さまが立ち止まり空を見上げる。
「どうなさいました、殺生丸さま……」
私も殺生丸さまにつられるように空を見上げる。
フ……と黒い影がよこぎり、ザーンと音を立てて黒い影が落ちてくる。
やがて見慣れた顔が水面から浮き出てくる。
――やっぱり神楽だ……――
「なんか様子が変だよ……」
神楽は目をつむったまま、川から起き上がる気配が全くない。
「いかがいたします?殺生丸さま」
邪見の問いかけに殺生丸さまはしばらく沈黙。そして「ほうっておけ。行くぞ」と神楽に背を向ける。
「え!?」
そりゃあ、殺生丸さまのことだからそう言うと思ったけれど。でも、神楽様子が変だし。
このまま放っておいてもいいの……。
--------------
「あ!待って!神楽はっ、神楽は殺生丸さまのこと…」
「さあな」
--------------
神楽は殺生丸さまのこと、好き、なの?
こんな時なのに余計なことを考えてしまう。
ずっしりと重くて暗い感情が自分の中に積もっていく。
もし、もしも。ここで神楽を助けなかったら?
神楽は殺生丸さまと結ばれることもなくなる。そうしたら、殺生丸さまは私とずっと一緒にいてくれるかもしれない。上手くいけば私のことを選んでくれるかもしれない。
殺生丸さまだって放っていけって言ってるじゃん。ここで放っておいても私は、責められない。
黒い感情が心を支配していく。
――いや、ダメだ。絶対そんなことしたら、ダメ――
モヤモヤを振り払うように首をブンブンと横に振る。
「助けなきゃ」
自分に言い聞かせるように呟く。着物の裾を持ち上げて川に入っていく。
「おい、鈴」と邪見の声が聞こえるけど、無視無視。
グイっと腕を引っ張るが、私の力じゃどうにも動かない。
どうしよう……。
その時、ザバザバと音を立てて殺生丸さまが近付いて来る。
「……」
「え、殺生丸さま?」
「……貸せ」
貸せって……。
神楽を?
神楽から腕を離して、殺生丸さまに託す。
そして殺生丸さまは一言も発せず、神楽を抱えて陸に上がった。
「……」
殺生丸さまが神楽を……。
……。
やっぱり嫌だ……。
私も自力で川から上がる。
神楽の姿を見ると、胸にぽっかりと穴が開いている。
私と邪見はジッと神楽の様子を見る。神楽はピクリとも動く気配がない。
もしかして。
最悪の事態が頭をよぎる。その瞬間、胸の傷口がザワザワとふさがっていく。
「!」
神楽の目がうっすらと開く。そしてゆっくりと体を起こした。
「あの、神楽。大丈夫?」
「おまえら……」
殺生丸さまは興味なさそうに岩に腰かけている。
「……。殺生丸さまが、助けてくれたの」
殺生丸さまが神楽を抱きかかえて……。
先程の光景が頭から離れない。
「へえ……。あんたにも情けってもんがあったのかい」
「おのれはっ。礼のひとつも言ったらどうだっ」
神楽の言葉に邪見はつっかかるが、殺生丸さまは我関せずで立ち上がる。
「行くぞ邪見、鈴」
「はい」
神楽も無事だったし……。
私は殺生丸さまに置いて行かれないよう、スッと立ち上がる。
「待ちな」
立ち上がった瞬間、神楽の声が響き渡る。
「なにがあったか聞きもしねえのか」
「きさまの身の上話になど興味はない」
「奈落の心臓をみつけたと言ってもか!?」
奈落の心臓を潰せば……。奈落は滅びる。
神楽はこれまでのいきさつを淡々と話し始める。
内容をまとめると、どうやら御霊丸の寺を襲撃した時に妖気の結晶から妖気が消えたらしい。
つまりは……その寺に奈落の心臓が隠れているということ。
「御霊丸ってやつは、心臓の守り役に違いねぇ」
神楽の言葉を不思議に思ったのか、邪見は早口で問いかける。
「御霊丸とやらは奈落の一味ではないのか? なぜ奈落の手下のおまえが、それを知らんのだ」
神楽はかすかに俯いて「あたしは奈落に信用されてねぇからな」と返す。
「ならば、これ以上きさまが動いても無駄だということだ」
ハッとして殺生丸さまを振り返る。
「今の話が本当ならば、きさまが心臓を狙っていることは、すでに奈落に知られている」
確かに……。あれ、でも。もしそうなら奈落は何故神楽を殺さなかったのか。
うーんと唸りながら考えてみるものの、答えはやはり出ない。
やがて神楽はスッと立ち上がる。
「世話んなったな。もう行くぜ」
「え? 行っちゃうの」
神楽は無言のまま歩き出す。
胸がザワザワと騒ぎ出す。また、嫌な予感だ。
「あ、あのさっ」
なんとかほんの一秒でも神楽に立ち止まってほしくて、声をかける。
でも……。今浮んだ言葉を言うのはとっても恐ろしい。
「本当は……。殺生丸さまに。その……」
一瞬、言葉が詰まる。けれど……。なんとか掠れる声で言葉を紡いだ。
「助けてもらいたくて来たんじゃないの?」
「……」
神楽は一瞬、固まった。
ドキドキ、と神楽の言葉を待つ。
「そんなんじゃねぇよ。ただ……」
「……。ただ……?」
神楽はかすかにこちらを振り向く。そしてその言葉の先を言わずに空へと舞い上がっていった。
「……」
やっぱり、本当は神楽も殺生丸さまのことを……。
私は阿吽に乗りながら殺生丸さまの後をついていく。
まだ頬が赤い。殺生丸さまをただ見ているだけなのに、なんだかじれったくて胸が痛くなる。
その時、急に殺生丸さまが立ち止まり空を見上げる。
「どうなさいました、殺生丸さま……」
私も殺生丸さまにつられるように空を見上げる。
フ……と黒い影がよこぎり、ザーンと音を立てて黒い影が落ちてくる。
やがて見慣れた顔が水面から浮き出てくる。
――やっぱり神楽だ……――
「なんか様子が変だよ……」
神楽は目をつむったまま、川から起き上がる気配が全くない。
「いかがいたします?殺生丸さま」
邪見の問いかけに殺生丸さまはしばらく沈黙。そして「ほうっておけ。行くぞ」と神楽に背を向ける。
「え!?」
そりゃあ、殺生丸さまのことだからそう言うと思ったけれど。でも、神楽様子が変だし。
このまま放っておいてもいいの……。
--------------
「あ!待って!神楽はっ、神楽は殺生丸さまのこと…」
「さあな」
--------------
神楽は殺生丸さまのこと、好き、なの?
こんな時なのに余計なことを考えてしまう。
ずっしりと重くて暗い感情が自分の中に積もっていく。
もし、もしも。ここで神楽を助けなかったら?
神楽は殺生丸さまと結ばれることもなくなる。そうしたら、殺生丸さまは私とずっと一緒にいてくれるかもしれない。上手くいけば私のことを選んでくれるかもしれない。
殺生丸さまだって放っていけって言ってるじゃん。ここで放っておいても私は、責められない。
黒い感情が心を支配していく。
――いや、ダメだ。絶対そんなことしたら、ダメ――
モヤモヤを振り払うように首をブンブンと横に振る。
「助けなきゃ」
自分に言い聞かせるように呟く。着物の裾を持ち上げて川に入っていく。
「おい、鈴」と邪見の声が聞こえるけど、無視無視。
グイっと腕を引っ張るが、私の力じゃどうにも動かない。
どうしよう……。
その時、ザバザバと音を立てて殺生丸さまが近付いて来る。
「……」
「え、殺生丸さま?」
「……貸せ」
貸せって……。
神楽を?
神楽から腕を離して、殺生丸さまに託す。
そして殺生丸さまは一言も発せず、神楽を抱えて陸に上がった。
「……」
殺生丸さまが神楽を……。
……。
やっぱり嫌だ……。
私も自力で川から上がる。
神楽の姿を見ると、胸にぽっかりと穴が開いている。
私と邪見はジッと神楽の様子を見る。神楽はピクリとも動く気配がない。
もしかして。
最悪の事態が頭をよぎる。その瞬間、胸の傷口がザワザワとふさがっていく。
「!」
神楽の目がうっすらと開く。そしてゆっくりと体を起こした。
「あの、神楽。大丈夫?」
「おまえら……」
殺生丸さまは興味なさそうに岩に腰かけている。
「……。殺生丸さまが、助けてくれたの」
殺生丸さまが神楽を抱きかかえて……。
先程の光景が頭から離れない。
「へえ……。あんたにも情けってもんがあったのかい」
「おのれはっ。礼のひとつも言ったらどうだっ」
神楽の言葉に邪見はつっかかるが、殺生丸さまは我関せずで立ち上がる。
「行くぞ邪見、鈴」
「はい」
神楽も無事だったし……。
私は殺生丸さまに置いて行かれないよう、スッと立ち上がる。
「待ちな」
立ち上がった瞬間、神楽の声が響き渡る。
「なにがあったか聞きもしねえのか」
「きさまの身の上話になど興味はない」
「奈落の心臓をみつけたと言ってもか!?」
奈落の心臓を潰せば……。奈落は滅びる。
神楽はこれまでのいきさつを淡々と話し始める。
内容をまとめると、どうやら御霊丸の寺を襲撃した時に妖気の結晶から妖気が消えたらしい。
つまりは……その寺に奈落の心臓が隠れているということ。
「御霊丸ってやつは、心臓の守り役に違いねぇ」
神楽の言葉を不思議に思ったのか、邪見は早口で問いかける。
「御霊丸とやらは奈落の一味ではないのか? なぜ奈落の手下のおまえが、それを知らんのだ」
神楽はかすかに俯いて「あたしは奈落に信用されてねぇからな」と返す。
「ならば、これ以上きさまが動いても無駄だということだ」
ハッとして殺生丸さまを振り返る。
「今の話が本当ならば、きさまが心臓を狙っていることは、すでに奈落に知られている」
確かに……。あれ、でも。もしそうなら奈落は何故神楽を殺さなかったのか。
うーんと唸りながら考えてみるものの、答えはやはり出ない。
やがて神楽はスッと立ち上がる。
「世話んなったな。もう行くぜ」
「え? 行っちゃうの」
神楽は無言のまま歩き出す。
胸がザワザワと騒ぎ出す。また、嫌な予感だ。
「あ、あのさっ」
なんとかほんの一秒でも神楽に立ち止まってほしくて、声をかける。
でも……。今浮んだ言葉を言うのはとっても恐ろしい。
「本当は……。殺生丸さまに。その……」
一瞬、言葉が詰まる。けれど……。なんとか掠れる声で言葉を紡いだ。
「助けてもらいたくて来たんじゃないの?」
「……」
神楽は一瞬、固まった。
ドキドキ、と神楽の言葉を待つ。
「そんなんじゃねぇよ。ただ……」
「……。ただ……?」
神楽はかすかにこちらを振り向く。そしてその言葉の先を言わずに空へと舞い上がっていった。
「……」
やっぱり、本当は神楽も殺生丸さまのことを……。