主人と僕の旅路 3
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ザァ……と冷たい風が吹く。
「奈落の心臓のありか……だと?」
殺生丸さまが尋ねると神楽は「ああ」と低く頷き、殺生丸さまと私を交互に見る。
「あんたらも気づいているだろ。奈落は何度体を砕いても死なねぇ。奈落の分身、白童子ってガキも同様だ」
「……」
神楽はそのまま言葉を続ける。
「命に関わる部分……。心臓が別の安全な所にあるからだ」
「そうは思わねぇか」と神楽が聞くのと同時に殺生丸さまはピクリと反応する。
そのことに邪見も気付いたのか、騒ぎ立てる。
「殺生丸さま、お気をつけください。罠かもしれませんぞ」
「罠ぁ?」
「神楽っ、きさまとて奈落の分身であろうがっ。そんなやつの言うことが信用できるか」
神楽はしばらく黙ると着物に手を入れ、小さいかけらを取り出す。
私はジッと目を凝らして見る。
全く何も感じない。まがまがしいものは何一つ。
「どうやら四魂のかけらじゃないみたい……」
私の呟きに神楽はかすかに頷く。
「そう。これは妖気の結晶だ。奈落の野郎は最近、妖気を隠す守り石、不妖壁……ってのを手に入れた。おそらく、心臓のありかを確実に隠すためだ。そしてこの妖気の結晶は、不妖壁に近づくと妖気を失う」
つまりは奈落の心臓を捜す手がかり……。
神楽の言動に嫌な予感を感じつつも、私は事の成り行きを見守る。
「神楽きさま、この殺生丸を使う気か」
「……あんたほどの器でなけりゃ奈落を殺せない。腕前も妖力も、あんたの右に出る者はいないからね」
「!!」
神楽のその言葉にハッとする。
もしかして、もしかして……。
――神楽は殺生丸さまのこと……――
私はどこか落ち着かないまま、神楽と殺生丸さまを空しく見つめる。
どうしてこんなに落ち着かないんだろう。
「これは置いていくぜ」
神楽は地面に妖気の結晶をそっと置く。
「あとはあんたの自由だ」
神楽はヒラヒラと手を振ってこの場から離れようとする。けれど私はそれどころではない。
――聞かなきゃ、神楽に――
「待って、神楽!!」
勝手に口から言葉が飛び出す。
「二人で話したいことがあるの」
神楽に聞かなきゃ……。殺生丸さまのこと……。――どう思っているのか――
殺生丸さまは後ろに振り返って私を見る。
「あの、殺生丸さま。神楽と二人で話したいので。その、ちょっとここから離れてもいいですか」
私は殺生丸さまに聞くものの……
「ここで話せ」と一喝。
神楽とはいろいろとあったし(誘拐とか、利用されそうになったりとか)。殺生丸さまなりに心配してくれているのだと分かる。
でも……。
殺生丸さまの前で話すのはちょっと。
「どうしても神楽と話したいんです。何かあったらすぐに逃げてきますから」
「……」
殺生丸さまはしばらく沈黙したままだったけれど、やがて私に手を伸ばし頬にそっと触れた。
「!!!!」
「……何かあればすぐに呼べ」
つまりは、神楽といることを許してくれたってことで……。
私は殺生丸さまの言葉に力強く頷いた。
神楽と共に森の奥深くに歩いて来る。
きっとここまで来れば殺生丸さまの耳に入らないかな……。
私はふと立ち止まって神楽の方へ振り返る。
「っで、話したいことってなんだい」
私は焦る思いをグッと堪えて神楽を真正面から見つめる。ドクドクと心臓が高まっていくのが分かる。
「神楽はさ、その……」
神楽も私から目をそらさない。
「神楽は殺生丸さまのこと、好きなの?」
その言葉を聞いた瞬間、神楽は一瞬固まる。が、すぐにニヤニヤしはじめた。
「好き……と言ったらどうするつもりだったんだ?」
「え……」
好き、と言ったら……。
そこまで考えていなかった。ただただ無我夢中で。焦っていて。
もし神楽が殺生丸さまのこと、好きだったら。殺生丸さまも神楽のことを好いていたら……?
ドクドクと高鳴った心臓が、今度は妙にヒリヒリと痛む。
殺生丸さまは私の命の恩人で、とっても大切な人。だから殺生丸さまが神楽のことを好きなら幸せを願わなければならない……。
私は痛む心臓を左手で押さえながら答える。
「それは……殺生丸さまが神楽のこと好きなら……。私は幸せを願う、よ」
「ふーん」
神楽はそっけなく呟くと私に一歩迫る。
「それであんたはどうなんだい」
「え……」
「殺生丸のこと、好きなんだろ」
え……。好き……。
「ど、どうしてそう思うの」
神楽は相変わらずニヤニヤとしたままで何も答えない。
殺生丸さまのこと、私……。
殺生丸さまが私の居場所はここだって言ってくれたことが嬉しかった。神楽にさらわれた時も助けにきてくれて……。陰陽師だとバレた時も何一つ責めたりせず、対応も変わらなかった。
私……。
殺生丸さまの姿を思い浮かべると、温かい気持ちと切なさが心に広がる。
殺生丸さまのこと、好き、なの??
そう自覚すると顔が急に熱くなる。
「ほら、やっぱりな」
神楽は私の真っ赤な顔を見つめる。
「でも、きっと殺生丸さまは……」
私のことを何とも思ってはいない。
もしかしたら大切な人、と思っているのかもしれないけれど。でもきっと恋愛対象ではない。
それに私と殺生丸さまには大きな隔たりがある。
殺生丸さまは大妖怪で、私は妖怪と敵対する陰陽師。誰がどう見たって釣り合うはずがない。
それに狐の呪い……。
呪いがこのまま解けなかったら? 私は近いうちに死んでしまう。時の流れだって違う。
もし、もし。もしも子孫を残すときだって狐の呪いが解けなければ、子供だって苦しむことになる。私に恋愛は……必要ない。
そもそも私は現代に生きていて、殺生丸さまは戦国時代に生きている。
――やっぱり……――
「殺生丸さまは私なんか好きじゃないよ。それに私と殺生丸さまはあまりに違い過ぎる」
神楽はしばらく黙っていたかと思うと、スッと口を開く。
「あんたは自由だ。誰かさんとは違う」
「……。それって」
神楽は私の言葉を聞かず歩き出す。
「あ! 待って! 神楽はっ、神楽は殺生丸さまのこと……」
神楽はほんの少し私を振り返ると……。
「さあな」と言って歩き出した。
「奈落の心臓のありか……だと?」
殺生丸さまが尋ねると神楽は「ああ」と低く頷き、殺生丸さまと私を交互に見る。
「あんたらも気づいているだろ。奈落は何度体を砕いても死なねぇ。奈落の分身、白童子ってガキも同様だ」
「……」
神楽はそのまま言葉を続ける。
「命に関わる部分……。心臓が別の安全な所にあるからだ」
「そうは思わねぇか」と神楽が聞くのと同時に殺生丸さまはピクリと反応する。
そのことに邪見も気付いたのか、騒ぎ立てる。
「殺生丸さま、お気をつけください。罠かもしれませんぞ」
「罠ぁ?」
「神楽っ、きさまとて奈落の分身であろうがっ。そんなやつの言うことが信用できるか」
神楽はしばらく黙ると着物に手を入れ、小さいかけらを取り出す。
私はジッと目を凝らして見る。
全く何も感じない。まがまがしいものは何一つ。
「どうやら四魂のかけらじゃないみたい……」
私の呟きに神楽はかすかに頷く。
「そう。これは妖気の結晶だ。奈落の野郎は最近、妖気を隠す守り石、不妖壁……ってのを手に入れた。おそらく、心臓のありかを確実に隠すためだ。そしてこの妖気の結晶は、不妖壁に近づくと妖気を失う」
つまりは奈落の心臓を捜す手がかり……。
神楽の言動に嫌な予感を感じつつも、私は事の成り行きを見守る。
「神楽きさま、この殺生丸を使う気か」
「……あんたほどの器でなけりゃ奈落を殺せない。腕前も妖力も、あんたの右に出る者はいないからね」
「!!」
神楽のその言葉にハッとする。
もしかして、もしかして……。
――神楽は殺生丸さまのこと……――
私はどこか落ち着かないまま、神楽と殺生丸さまを空しく見つめる。
どうしてこんなに落ち着かないんだろう。
「これは置いていくぜ」
神楽は地面に妖気の結晶をそっと置く。
「あとはあんたの自由だ」
神楽はヒラヒラと手を振ってこの場から離れようとする。けれど私はそれどころではない。
――聞かなきゃ、神楽に――
「待って、神楽!!」
勝手に口から言葉が飛び出す。
「二人で話したいことがあるの」
神楽に聞かなきゃ……。殺生丸さまのこと……。――どう思っているのか――
殺生丸さまは後ろに振り返って私を見る。
「あの、殺生丸さま。神楽と二人で話したいので。その、ちょっとここから離れてもいいですか」
私は殺生丸さまに聞くものの……
「ここで話せ」と一喝。
神楽とはいろいろとあったし(誘拐とか、利用されそうになったりとか)。殺生丸さまなりに心配してくれているのだと分かる。
でも……。
殺生丸さまの前で話すのはちょっと。
「どうしても神楽と話したいんです。何かあったらすぐに逃げてきますから」
「……」
殺生丸さまはしばらく沈黙したままだったけれど、やがて私に手を伸ばし頬にそっと触れた。
「!!!!」
「……何かあればすぐに呼べ」
つまりは、神楽といることを許してくれたってことで……。
私は殺生丸さまの言葉に力強く頷いた。
神楽と共に森の奥深くに歩いて来る。
きっとここまで来れば殺生丸さまの耳に入らないかな……。
私はふと立ち止まって神楽の方へ振り返る。
「っで、話したいことってなんだい」
私は焦る思いをグッと堪えて神楽を真正面から見つめる。ドクドクと心臓が高まっていくのが分かる。
「神楽はさ、その……」
神楽も私から目をそらさない。
「神楽は殺生丸さまのこと、好きなの?」
その言葉を聞いた瞬間、神楽は一瞬固まる。が、すぐにニヤニヤしはじめた。
「好き……と言ったらどうするつもりだったんだ?」
「え……」
好き、と言ったら……。
そこまで考えていなかった。ただただ無我夢中で。焦っていて。
もし神楽が殺生丸さまのこと、好きだったら。殺生丸さまも神楽のことを好いていたら……?
ドクドクと高鳴った心臓が、今度は妙にヒリヒリと痛む。
殺生丸さまは私の命の恩人で、とっても大切な人。だから殺生丸さまが神楽のことを好きなら幸せを願わなければならない……。
私は痛む心臓を左手で押さえながら答える。
「それは……殺生丸さまが神楽のこと好きなら……。私は幸せを願う、よ」
「ふーん」
神楽はそっけなく呟くと私に一歩迫る。
「それであんたはどうなんだい」
「え……」
「殺生丸のこと、好きなんだろ」
え……。好き……。
「ど、どうしてそう思うの」
神楽は相変わらずニヤニヤとしたままで何も答えない。
殺生丸さまのこと、私……。
殺生丸さまが私の居場所はここだって言ってくれたことが嬉しかった。神楽にさらわれた時も助けにきてくれて……。陰陽師だとバレた時も何一つ責めたりせず、対応も変わらなかった。
私……。
殺生丸さまの姿を思い浮かべると、温かい気持ちと切なさが心に広がる。
殺生丸さまのこと、好き、なの??
そう自覚すると顔が急に熱くなる。
「ほら、やっぱりな」
神楽は私の真っ赤な顔を見つめる。
「でも、きっと殺生丸さまは……」
私のことを何とも思ってはいない。
もしかしたら大切な人、と思っているのかもしれないけれど。でもきっと恋愛対象ではない。
それに私と殺生丸さまには大きな隔たりがある。
殺生丸さまは大妖怪で、私は妖怪と敵対する陰陽師。誰がどう見たって釣り合うはずがない。
それに狐の呪い……。
呪いがこのまま解けなかったら? 私は近いうちに死んでしまう。時の流れだって違う。
もし、もし。もしも子孫を残すときだって狐の呪いが解けなければ、子供だって苦しむことになる。私に恋愛は……必要ない。
そもそも私は現代に生きていて、殺生丸さまは戦国時代に生きている。
――やっぱり……――
「殺生丸さまは私なんか好きじゃないよ。それに私と殺生丸さまはあまりに違い過ぎる」
神楽はしばらく黙っていたかと思うと、スッと口を開く。
「あんたは自由だ。誰かさんとは違う」
「……。それって」
神楽は私の言葉を聞かず歩き出す。
「あ! 待って! 神楽はっ、神楽は殺生丸さまのこと……」
神楽はほんの少し私を振り返ると……。
「さあな」と言って歩き出した。