主人と僕の旅路 3
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――邪見視点――
奈落が消えた……。もしや倒したのか……。
奈落が消えた途端、殺生丸さまがゴッとすさまじい勢いで鈴に近付く。
「せ、殺生丸さま!! 鈴がっ。体を揺らしてもピクリともせず。一体どうなさったので」
殺生丸さまに話しかけるがわしに一切見向きもせず、殺生丸さまは片膝をつく。殺生丸さまは右腕で鈴の頭を抱えるが、やはり起きる気配は見られない。
「……鈴……。目を覚ませ」
殺生丸さまも語りかけてみるものの、やはり動かない。
すると殺生丸さまは鈴の腰に手を当て、鈴の上半身が殺生丸さまの肩に寄りかかるようにして担ぎ上げる。
そして一瞬にして空に舞い上がた。
「え、えっ!! せ、殺生丸さま!?」
あっという間に殺生丸さまは空を飛び、姿が小さくなっていく。
わしも阿吽の手綱を引いて急いで殺生丸さまを追いかける。
あの殺生丸さまのご様子……やはり鈴に何か重大なことが起きたとでも言うのか。
珍しく――焦ってらっしゃる――。
――殺生丸視点――
殺生丸は鈴を俵担ぎで来た道を戻る。そしてあの世に来た時と同様に、門をくぐる。
「お、お待ちくだされ。殺生丸さま」
邪見の騒がしい声を無視して、鈴をゆっくりと地面におろす。
「鈴……」
ゆっくりと手を髪に伸ばす。
幸い、まだ息はある、か……。人間のことなど、どうでもいい。だが……。鈴は…。鈴にだけは…。――出会った時のように――
――笑っていてほしい――
――主人公視点――
「鈴」
よく知った人の声が聞こえる。
この声、は……。
「せっしょ、まる、さま……」
私は固く閉じていた瞼を開ける。
一気に光が差し込んで、殺生丸さまの顔が映りこむ。
「あの……。殺生丸さま?」
何故殺生丸さまが私の顔を覗き込んでいるのか……。
それにこの場所、あの世とこの世の境をつなぐ門?
私、一体どうしたんだっけ……。
「……悪い所はないか」
「え?」
殺生丸さまは相変わらず私の顔を覗いたままだ。
「あ、はい。特に。まだちょっと眠いだけで」
「……」
殺生丸さまはやっと私から離れて立ち上がる。私もハッとして寝ている体に力を入れて立ち上がる。
「あの、私。一体……」と問いかけると邪見が答える。
「覚えておらんのか! 奈落の瘴気を陰陽術で払っていた瞬間、突然倒れたんじゃ」
「え!」
そうか……。奈落の瘴気がこっちに来て、殺生丸さまの足手まといにならないようにと式紙を使っていたら……。
「突然、胸が脈打って……。体が……立っていられなくなって」
そう呟いた瞬間、突然石像が動き出す。
「なななな、何っ!」
声がした方を見てみると、何故か犬夜叉さんやかごめちゃんがいる。
私が眠っている間に、何がどうなったんだろう。
そんな疑問を打ち消すように、石像は口を開く。
「小娘……。そなた陰陽師か」
「え?」
今のって私に対して発した言葉だよね……。
「しかもわずかだか狐の血を引いている」
「……あ、はい。私は」
「安倍晴明、か」
石像は私の言葉を遮る。
その瞬間、犬夜叉さんや七宝ちゃんが何やらコソコソと騒ぎ始める。
私のこと、だろうけど。やっぱり妖怪にとっては陰陽師はよくないもの、だろうし……。
コソコソと話始める犬夜叉さんたちを無視して、殺生丸さまは石像に向かい合う。
「何か知っていそうな口ぶりだな」
「どうやらそこの娘はこの門をくぐってから倒れた様子……。おそらくは狐の呪いだろう」
――狐の呪い……?――
「あの!」
私は思い切って口を開く。
「狐の呪いって何ですか」
「安倍晴明の子孫は早死にしやすいのだろう」
――父様!!――
一瞬、幼い私がフラッシュバックする。
「確かにそうですけど。でもそれは……陰陽師と妖怪は血の相性が悪いからで」
「まあ、それも一理あるやもしれぬ。だがそなたが安倍晴明の子孫だというのなら、おそらくは狐の呪いだろう」
呪いって?
私は困惑しながらすがる思いで殺生丸さまを見つめる。殺生丸さまは私と目が合うと、私の隣にさりげなく歩み寄った。
「あの、呪いって。何か狐に呪われるようなことをしたってことでしょうか」
「『日本霊異記』の中に「狐を妻として子を生ましめし縁」という話がある」
「あっ!!!!」
それって父様がいつか話していた…
「天皇と女性が結ばれたけれど、犬に噛みつかれて女性が狐だとバレてしまう話、ですよね」
石像は大きく頷く。
殺生丸さまは石像に向かって一歩踏み出す。
「……その話がなんだ。結局狐と犬は仲が悪くなった話だろう」
そう言って殺生丸さまは私を一瞬横目で見る。
あれ? 殺生丸さま、この話知ってたんだ……。
「正体を明かした犬が隠語だったらどうだ」
「!!」
それって……。
「犬は陰陽師ってことですか」
「その通り。そしてその陰陽師を化かして上手く取り入り、安倍晴明という子を作り、そして……」
「……呪いをかけた、か」
殺生丸さまは小さく呟いた。
狐は正体を明かされたことを根に持って、安倍の血筋が耐えるように呪いを……。
「小娘、そなたが倒れたのはあの世に近付いた事で自身を護ろうと無意識に狐の血を活性化させていたからだろうよ」
私はグッと強く手を握る。
結局、私には無理だったのかもしれない……。妖怪と仲良くなる、なんてことは――。
昔も、そして今も、陰陽師はずっと妖怪の敵……。
殺生丸さまを震える瞳で盗み見る。
殺生丸さまは石像に向き合ったままで、今どんな表情をしているのか、何を考えているのか全く分からなかった。
「……鈴にかけられた呪いを解く方法はあるのか」
殺生丸さまは静かに石像に問いかける。
「今まで呪いを解いた者がいないからな。それは分からん。それに……」
石像は私を見て、そして殺生丸さまに視線を移す。
「その狐ももうこの世には存在していない。その娘の一部としては生きているが、な」
殺生丸さまも、私もグッと黙ってしまう。
「けっ」
声のする方へ振り向くと犬夜叉さんが頭を掻きむしっている。
「よく分からねーけど、呪いを解く方法がないわけじゃないんだろ。それさえ探し出せばいいだけじゃねーか」
「……犬夜叉さん……」
私はギュッと唇を噛んで、犬夜叉さんを見つめる。
「お、陰陽師なんか嫌いだけどな。別にお前の事が嫌いってわけでもねーし」
桔梗さんが倒されるところを何もせずに見ていたのに……、犬夜叉さんは私のこと恨んだりしてないんだ。
「犬夜叉さん、ありがとうございます」
私は深々と犬夜叉さんに向かって頭を下げる。
石像が再び口を開く。
「だが、狐と犬 の因縁はかなり深いぞ。あるときには芦屋道満が看病していた病人に狐は取り付き殺し、その一年後に犬は道満の元に来て狐を引っ張り出して噛み殺したという話もある。」
「……」
「怨をもて怨に報ゆれば、怨なほし滅びず。車の輪の転るがごとくなり」
石像は最初にここに来た時と同様に門の横にそれぞれ張り付く。
「呪いはそう簡単には解けまい」
「……だが」
殺生丸さまは私の握った拳にほんの少し、手を触れた。
「!!」
「……必ず解く」
石像は殺生丸さまの言葉に反応せず、宙を見つめている。
これ以上は話すつもりはないってことかな。
殺生丸さまはそのまま私の手に自分の手を合わせ、私を引っ張る。
「え、あの。殺生丸さま!?」
「……行くぞ」
殺生丸さまの手と私の手は重なり合ったままだ。
「あ、はい」
ほんの少し後から「殺生丸さま~」と邪見の小走りの音が聞こえる。
やっぱり、この距離感が好きで……。私の妖怪と仲良くという夢は叶わないけれど。それでも。もし、叶うならば……
――ずっとこうやって一緒に――
奈落が消えた……。もしや倒したのか……。
奈落が消えた途端、殺生丸さまがゴッとすさまじい勢いで鈴に近付く。
「せ、殺生丸さま!! 鈴がっ。体を揺らしてもピクリともせず。一体どうなさったので」
殺生丸さまに話しかけるがわしに一切見向きもせず、殺生丸さまは片膝をつく。殺生丸さまは右腕で鈴の頭を抱えるが、やはり起きる気配は見られない。
「……鈴……。目を覚ませ」
殺生丸さまも語りかけてみるものの、やはり動かない。
すると殺生丸さまは鈴の腰に手を当て、鈴の上半身が殺生丸さまの肩に寄りかかるようにして担ぎ上げる。
そして一瞬にして空に舞い上がた。
「え、えっ!! せ、殺生丸さま!?」
あっという間に殺生丸さまは空を飛び、姿が小さくなっていく。
わしも阿吽の手綱を引いて急いで殺生丸さまを追いかける。
あの殺生丸さまのご様子……やはり鈴に何か重大なことが起きたとでも言うのか。
珍しく――焦ってらっしゃる――。
――殺生丸視点――
殺生丸は鈴を俵担ぎで来た道を戻る。そしてあの世に来た時と同様に、門をくぐる。
「お、お待ちくだされ。殺生丸さま」
邪見の騒がしい声を無視して、鈴をゆっくりと地面におろす。
「鈴……」
ゆっくりと手を髪に伸ばす。
幸い、まだ息はある、か……。人間のことなど、どうでもいい。だが……。鈴は…。鈴にだけは…。――出会った時のように――
――笑っていてほしい――
――主人公視点――
「鈴」
よく知った人の声が聞こえる。
この声、は……。
「せっしょ、まる、さま……」
私は固く閉じていた瞼を開ける。
一気に光が差し込んで、殺生丸さまの顔が映りこむ。
「あの……。殺生丸さま?」
何故殺生丸さまが私の顔を覗き込んでいるのか……。
それにこの場所、あの世とこの世の境をつなぐ門?
私、一体どうしたんだっけ……。
「……悪い所はないか」
「え?」
殺生丸さまは相変わらず私の顔を覗いたままだ。
「あ、はい。特に。まだちょっと眠いだけで」
「……」
殺生丸さまはやっと私から離れて立ち上がる。私もハッとして寝ている体に力を入れて立ち上がる。
「あの、私。一体……」と問いかけると邪見が答える。
「覚えておらんのか! 奈落の瘴気を陰陽術で払っていた瞬間、突然倒れたんじゃ」
「え!」
そうか……。奈落の瘴気がこっちに来て、殺生丸さまの足手まといにならないようにと式紙を使っていたら……。
「突然、胸が脈打って……。体が……立っていられなくなって」
そう呟いた瞬間、突然石像が動き出す。
「なななな、何っ!」
声がした方を見てみると、何故か犬夜叉さんやかごめちゃんがいる。
私が眠っている間に、何がどうなったんだろう。
そんな疑問を打ち消すように、石像は口を開く。
「小娘……。そなた陰陽師か」
「え?」
今のって私に対して発した言葉だよね……。
「しかもわずかだか狐の血を引いている」
「……あ、はい。私は」
「安倍晴明、か」
石像は私の言葉を遮る。
その瞬間、犬夜叉さんや七宝ちゃんが何やらコソコソと騒ぎ始める。
私のこと、だろうけど。やっぱり妖怪にとっては陰陽師はよくないもの、だろうし……。
コソコソと話始める犬夜叉さんたちを無視して、殺生丸さまは石像に向かい合う。
「何か知っていそうな口ぶりだな」
「どうやらそこの娘はこの門をくぐってから倒れた様子……。おそらくは狐の呪いだろう」
――狐の呪い……?――
「あの!」
私は思い切って口を開く。
「狐の呪いって何ですか」
「安倍晴明の子孫は早死にしやすいのだろう」
――父様!!――
一瞬、幼い私がフラッシュバックする。
「確かにそうですけど。でもそれは……陰陽師と妖怪は血の相性が悪いからで」
「まあ、それも一理あるやもしれぬ。だがそなたが安倍晴明の子孫だというのなら、おそらくは狐の呪いだろう」
呪いって?
私は困惑しながらすがる思いで殺生丸さまを見つめる。殺生丸さまは私と目が合うと、私の隣にさりげなく歩み寄った。
「あの、呪いって。何か狐に呪われるようなことをしたってことでしょうか」
「『日本霊異記』の中に「狐を妻として子を生ましめし縁」という話がある」
「あっ!!!!」
それって父様がいつか話していた…
「天皇と女性が結ばれたけれど、犬に噛みつかれて女性が狐だとバレてしまう話、ですよね」
石像は大きく頷く。
殺生丸さまは石像に向かって一歩踏み出す。
「……その話がなんだ。結局狐と犬は仲が悪くなった話だろう」
そう言って殺生丸さまは私を一瞬横目で見る。
あれ? 殺生丸さま、この話知ってたんだ……。
「正体を明かした犬が隠語だったらどうだ」
「!!」
それって……。
「犬は陰陽師ってことですか」
「その通り。そしてその陰陽師を化かして上手く取り入り、安倍晴明という子を作り、そして……」
「……呪いをかけた、か」
殺生丸さまは小さく呟いた。
狐は正体を明かされたことを根に持って、安倍の血筋が耐えるように呪いを……。
「小娘、そなたが倒れたのはあの世に近付いた事で自身を護ろうと無意識に狐の血を活性化させていたからだろうよ」
私はグッと強く手を握る。
結局、私には無理だったのかもしれない……。妖怪と仲良くなる、なんてことは――。
昔も、そして今も、陰陽師はずっと妖怪の敵……。
殺生丸さまを震える瞳で盗み見る。
殺生丸さまは石像に向き合ったままで、今どんな表情をしているのか、何を考えているのか全く分からなかった。
「……鈴にかけられた呪いを解く方法はあるのか」
殺生丸さまは静かに石像に問いかける。
「今まで呪いを解いた者がいないからな。それは分からん。それに……」
石像は私を見て、そして殺生丸さまに視線を移す。
「その狐ももうこの世には存在していない。その娘の一部としては生きているが、な」
殺生丸さまも、私もグッと黙ってしまう。
「けっ」
声のする方へ振り向くと犬夜叉さんが頭を掻きむしっている。
「よく分からねーけど、呪いを解く方法がないわけじゃないんだろ。それさえ探し出せばいいだけじゃねーか」
「……犬夜叉さん……」
私はギュッと唇を噛んで、犬夜叉さんを見つめる。
「お、陰陽師なんか嫌いだけどな。別にお前の事が嫌いってわけでもねーし」
桔梗さんが倒されるところを何もせずに見ていたのに……、犬夜叉さんは私のこと恨んだりしてないんだ。
「犬夜叉さん、ありがとうございます」
私は深々と犬夜叉さんに向かって頭を下げる。
石像が再び口を開く。
「だが、狐と
「……」
「怨をもて怨に報ゆれば、怨なほし滅びず。車の輪の転るがごとくなり」
石像は最初にここに来た時と同様に門の横にそれぞれ張り付く。
「呪いはそう簡単には解けまい」
「……だが」
殺生丸さまは私の握った拳にほんの少し、手を触れた。
「!!」
「……必ず解く」
石像は殺生丸さまの言葉に反応せず、宙を見つめている。
これ以上は話すつもりはないってことかな。
殺生丸さまはそのまま私の手に自分の手を合わせ、私を引っ張る。
「え、あの。殺生丸さま!?」
「……行くぞ」
殺生丸さまの手と私の手は重なり合ったままだ。
「あ、はい」
ほんの少し後から「殺生丸さま~」と邪見の小走りの音が聞こえる。
やっぱり、この距離感が好きで……。私の妖怪と仲良くという夢は叶わないけれど。それでも。もし、叶うならば……
――ずっとこうやって一緒に――