主人と僕の旅路 2
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男の人がかぎ爪をかまえ、こちらに振りかざしてくる。
「わっ!」と間一髪でかわす。
さっきの人といい、やっぱり私を……。
――殺そうとしている?――
男はもう一度かぎ爪を振り上げる。
「っ!!!」
だが、カッと邪見が私の目の前に現れ人頭杖でかぎ爪を防がれた。
「じゃ、邪見!!!」
邪見は人頭杖をダンと真っ直ぐにかまえると
「人頭杖!」
人頭杖からゴッと炎が噴き出し、橋もろとも男を消してしまった。
「ひへへへ、消し飛んだか」
「って、邪見。私につかまって。このままじゃ橋が落ちちゃう」
「わかっとる」
邪見は私の腕につかまろうと手をのばすものの、
ドカ
「ぎえ!」
橋の下から武器が現れ、腕につかまることができない。
私と邪見はおそるおそる橋の下を見てみると、あの男がギリギリのところで橋につかまっている。
「うそ、生きてる……」
「ふっ、そう簡単にくたばって……」
その瞬間、ぐらっと橋が横に傾き、自然と私の体は橋から落ちる体勢になる。
ブチブチ……と嫌な音が聞こえる中、
「くっ!!!!」
私はなんとか橋を支えているヒモを掴む。すでに体は橋からぶらさがっている状態……。
ブチブチブチ……とヒモは私の体を支えきれず、切れ始めている。
このままじゃ、川に……。
――と嫌な予感がした途端、ブチンとヒモは完全に切れ私は川へと落ちていった。
―殺生丸視点―
鈴と邪見が橋につまかっていられず、川へ落ちていく。
「っつ!!!」
殺生丸は向かっている敵に背を向け、急いで二人のもとへ向かう。
だが、
「もらったぁ!」
蛇骨はこれを好機とみるやいなや殺生丸に刀を向け、あっという間に殺生丸の体は刀で周りをつつまれた。
――……邪魔だ!!――
殺生丸は相手の刀を内側からはじき返し、逆に相手に刀が刺さるようにしむける。
ギャン
ドカッ
「!」
相手に刺さるように刀を返したつもりだったが。
ちっ。
――皮一枚でしとめそこねた――
殺生丸はしりもちをつく蛇骨を横目に鈴の落ちた川へと急ぐ。
殺生丸は川まで来たものの
流されたか……。
水で……匂いが消えている。
「……鈴」
あの死人、鈴のことも狙っていた……。
――奈落……鈴を手駒にできないと見るやいなや……――
――殺しにかかってきたか――
ザッと殺生丸は一歩足を踏み出す。
「邪見」
顔は傷だらけで地面に横たわっているが……。
「死んだふりか」と殺生丸が一言言うと、がばと頭を地面につける。
「お、お許しください、殺生丸さま。この邪見、命にかえても鈴を捜し出して……」
サク……と殺生丸は歩みを進める。
「って、殺生丸さま……?」
――鈴……――
―主人公視点―
目を開けたら、父様が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「うなされていたようだが、大丈夫か?」と優しく声をかけてくれる。
私の体は幼い頃に戻っている。
ああ、そうか。これは……。――昔の夢を見ているんだ――
「眠れないのか? うーんそうだなー。それじゃ、昔話でもしてあげよう」
「昔話?」
「昔話といっても、安倍家に伝わる狐の話だよ」
狐の話? そんなの聞いたことあったかな…。
と思いつつも、私は懐かしい父様の声に耳を傾けた。
「『日本霊異記』という本の中にあるちょっとした話だよ。
昔、天皇、日本の王様ととある娘が結婚しました。
二人は仲良しで、ついに男の子が生まれます。
同じ日に犬も生まれました。
お母さんになった娘は毎日のようにその犬に吠えられてしまいます。
ある時、ついに犬がお母さんに嚙みつこうとします。
その瞬間、なんということでしょう。
お母さんの体は狐へと変わってしまったのです。
それを見た天皇は「私はあなたを忘れたりしません。一緒に来て寝ましょう」と言ったことから
『来つ寝』、『狐』となったのです。
ですがお母さんは天皇を置いてどこかへ去ってしまいました。」
シンと父様は黙ってしまう。
「え? これで終わりなの」と私。
「いや、ここからが大切でね。そのお母さん、狐だったわけだけど。とにかく正体を明かされた狐と、正体を明かしてしまった犬は仲が悪くなってしまうんだ」
……え?
私が呆けているのを見て、父様は口を開く。
「でもね、狐と犬はある時を境に仲良くなるんだ」
私があらかさまにほっとしたのを見て、父様は笑う。
「そのある時とは……ていうのも語りたいけど、今日はここまで。もう寝る時間だよ」と父様に言われる。
その瞬間、日の光が閉じているはずの瞼にあたる感覚が蘇ってくる。
――待って。父様――まだ起きたくない……――
――もっと顔が見たい。父様の声が聞きたいのに――
「父様っ!!!」
ハッと自分の声が鮮明に聞こえ、目を開ける。
目を開けると、父様でも殺生丸さまでもない人に抱きかかえられていた。
「いやっ!!!!」と私は相手を精いっぱいいの力で押す。
ドンと大きく尻餅をつくが、なんとか立ち上がり後ろへと後ずさりをする。
「どうした……。なぜ……逃げる」と男の人。
あれ、この人……。
「安心……しなさい。私は……医者だ」
――かぎ爪で襲い掛かってきた人と違う? でも、服装は同じような感じだし……。
「君は一人でいるのか」
私が考え込んでいると、男は声をかけてきた。
「え? あ、いえ。旅をしてきた仲間……大切な人と一緒なんです」
「そうか。連れがいるのか」
男の人は話しながらも草むらをずんずんと進んでいく。
なんだか私は男の人についていく感じになってしまっている。
「あのーきっと捜しにきてくれるはずなので。あまり動かないほうが……」
「いや、こんな森の中だ。女の子を一人にしておくわけにはいかないよ。連れがくるまで私と一緒においで」
「え?」
なんだか悪い人ではない……みたい。でも、なんだかこの人……。
――琥珀くんと似たようなものを感じる……――
「わっ!」と間一髪でかわす。
さっきの人といい、やっぱり私を……。
――殺そうとしている?――
男はもう一度かぎ爪を振り上げる。
「っ!!!」
だが、カッと邪見が私の目の前に現れ人頭杖でかぎ爪を防がれた。
「じゃ、邪見!!!」
邪見は人頭杖をダンと真っ直ぐにかまえると
「人頭杖!」
人頭杖からゴッと炎が噴き出し、橋もろとも男を消してしまった。
「ひへへへ、消し飛んだか」
「って、邪見。私につかまって。このままじゃ橋が落ちちゃう」
「わかっとる」
邪見は私の腕につかまろうと手をのばすものの、
ドカ
「ぎえ!」
橋の下から武器が現れ、腕につかまることができない。
私と邪見はおそるおそる橋の下を見てみると、あの男がギリギリのところで橋につかまっている。
「うそ、生きてる……」
「ふっ、そう簡単にくたばって……」
その瞬間、ぐらっと橋が横に傾き、自然と私の体は橋から落ちる体勢になる。
ブチブチ……と嫌な音が聞こえる中、
「くっ!!!!」
私はなんとか橋を支えているヒモを掴む。すでに体は橋からぶらさがっている状態……。
ブチブチブチ……とヒモは私の体を支えきれず、切れ始めている。
このままじゃ、川に……。
――と嫌な予感がした途端、ブチンとヒモは完全に切れ私は川へと落ちていった。
―殺生丸視点―
鈴と邪見が橋につまかっていられず、川へ落ちていく。
「っつ!!!」
殺生丸は向かっている敵に背を向け、急いで二人のもとへ向かう。
だが、
「もらったぁ!」
蛇骨はこれを好機とみるやいなや殺生丸に刀を向け、あっという間に殺生丸の体は刀で周りをつつまれた。
――……邪魔だ!!――
殺生丸は相手の刀を内側からはじき返し、逆に相手に刀が刺さるようにしむける。
ギャン
ドカッ
「!」
相手に刺さるように刀を返したつもりだったが。
ちっ。
――皮一枚でしとめそこねた――
殺生丸はしりもちをつく蛇骨を横目に鈴の落ちた川へと急ぐ。
殺生丸は川まで来たものの
流されたか……。
水で……匂いが消えている。
「……鈴」
あの死人、鈴のことも狙っていた……。
――奈落……鈴を手駒にできないと見るやいなや……――
――殺しにかかってきたか――
ザッと殺生丸は一歩足を踏み出す。
「邪見」
顔は傷だらけで地面に横たわっているが……。
「死んだふりか」と殺生丸が一言言うと、がばと頭を地面につける。
「お、お許しください、殺生丸さま。この邪見、命にかえても鈴を捜し出して……」
サク……と殺生丸は歩みを進める。
「って、殺生丸さま……?」
――鈴……――
―主人公視点―
目を開けたら、父様が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「うなされていたようだが、大丈夫か?」と優しく声をかけてくれる。
私の体は幼い頃に戻っている。
ああ、そうか。これは……。――昔の夢を見ているんだ――
「眠れないのか? うーんそうだなー。それじゃ、昔話でもしてあげよう」
「昔話?」
「昔話といっても、安倍家に伝わる狐の話だよ」
狐の話? そんなの聞いたことあったかな…。
と思いつつも、私は懐かしい父様の声に耳を傾けた。
「『日本霊異記』という本の中にあるちょっとした話だよ。
昔、天皇、日本の王様ととある娘が結婚しました。
二人は仲良しで、ついに男の子が生まれます。
同じ日に犬も生まれました。
お母さんになった娘は毎日のようにその犬に吠えられてしまいます。
ある時、ついに犬がお母さんに嚙みつこうとします。
その瞬間、なんということでしょう。
お母さんの体は狐へと変わってしまったのです。
それを見た天皇は「私はあなたを忘れたりしません。一緒に来て寝ましょう」と言ったことから
『来つ寝』、『狐』となったのです。
ですがお母さんは天皇を置いてどこかへ去ってしまいました。」
シンと父様は黙ってしまう。
「え? これで終わりなの」と私。
「いや、ここからが大切でね。そのお母さん、狐だったわけだけど。とにかく正体を明かされた狐と、正体を明かしてしまった犬は仲が悪くなってしまうんだ」
……え?
私が呆けているのを見て、父様は口を開く。
「でもね、狐と犬はある時を境に仲良くなるんだ」
私があらかさまにほっとしたのを見て、父様は笑う。
「そのある時とは……ていうのも語りたいけど、今日はここまで。もう寝る時間だよ」と父様に言われる。
その瞬間、日の光が閉じているはずの瞼にあたる感覚が蘇ってくる。
――待って。父様――まだ起きたくない……――
――もっと顔が見たい。父様の声が聞きたいのに――
「父様っ!!!」
ハッと自分の声が鮮明に聞こえ、目を開ける。
目を開けると、父様でも殺生丸さまでもない人に抱きかかえられていた。
「いやっ!!!!」と私は相手を精いっぱいいの力で押す。
ドンと大きく尻餅をつくが、なんとか立ち上がり後ろへと後ずさりをする。
「どうした……。なぜ……逃げる」と男の人。
あれ、この人……。
「安心……しなさい。私は……医者だ」
――かぎ爪で襲い掛かってきた人と違う? でも、服装は同じような感じだし……。
「君は一人でいるのか」
私が考え込んでいると、男は声をかけてきた。
「え? あ、いえ。旅をしてきた仲間……大切な人と一緒なんです」
「そうか。連れがいるのか」
男の人は話しながらも草むらをずんずんと進んでいく。
なんだか私は男の人についていく感じになってしまっている。
「あのーきっと捜しにきてくれるはずなので。あまり動かないほうが……」
「いや、こんな森の中だ。女の子を一人にしておくわけにはいかないよ。連れがくるまで私と一緒においで」
「え?」
なんだか悪い人ではない……みたい。でも、なんだかこの人……。
――琥珀くんと似たようなものを感じる……――