主人と僕の旅路 2
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「殺生丸は敵の陰陽師なぞ助けに来ない」
――殺生丸さま……――
私は……殺生丸さまに嘘をついていた。
最初はこの場所がどこだか分からなくて、殺生丸さまに着いて行った。
だけど自分が戦国時代にいると知って……ううん、その前から私は自分の意志で殺生丸さまの側にいることを望んでいたんだと思う。
陰陽師だけど、でも……。――殺生丸さまの側にいたかったな――
目の前が暗くなっていく。
もう、何も見えない……。何も見たくない、聞きたくない。
手が勝手に赤ん坊を抱く。
「神楽」
赤ん坊が低く言葉を発すると、神楽が近づく気配がする。
その時、サア……と横から風が吹いた。
「お前……殺生丸」
神楽の呟く声が聞こえる。
殺生丸さま……? まさか。でもこの慣れ親しんだ妖気……。間違いなく殺生丸さま。
「殺生丸……。この女は陰陽師だ。まさか、敵である陰陽師を助けに来たというわけではあるまい」
「……」
サア……と緩やかな風が吹くのを感じる。
そして……。
「知っていた」と一言。
「鈴が陰陽師だと知っていた」
「そうだ! 陰陽師だとって、え!? せ、せ、せ、殺生丸さま、それは真ですか!!!!」
邪見の声が辺りに響く。
「いつから知っていた」
「奈落さえ気付いているのに、この殺生丸が気付かないとでも」
殺生丸さま……。
胸がドクンと暖かくなる。
「だが……陰陽師は関係ない。鈴は鈴だ」
サクッと殺生丸さまが近づく音が聞こえてくる。そして……私の目の前で立ち止まった。
「鈴……目を開けろ」
――殺生丸さま――
「鈴……」
殺生丸さま……私……。
力を振り絞って口を開く。
「さま……せっしょ……まる、さま。わ、たし……嘘を……」
「大丈夫だ。……目を開けろ」
私……。殺生丸さまの側にいてもいいんだろうか。
ううん、側にいたい。
力を込めて赤ん坊から手を放す。
「陰陽師っ!!」
私は……。
「殺生丸さまの側にいたい」
パッと目を開けると光が入って来る。殺生丸さまが私の目の前で膝をついていた。
「殺生丸さま?」
殺生丸さまが私の腕を掴み、グイッと引き寄せた。
「怪我はないか」
「はい。あの……殺生丸さま……。私……」
「……好きにしろ」
え……?
「側にいたいと思うなら……好きにしろ」
「っ……。はいっ」
その返事を聞くと、殺生丸さまは闘鬼神を抜く。そして赤ん坊と神楽に向かって刀を振り上げる。だが攻撃される前に神楽は赤ん坊を抱え立ち去って行った。
「……逃げたか」
赤ん坊と神楽が逃げ、後には私と殺生丸さまが残る。いや、邪見もだけど。
そして赤ん坊と神楽が置いていった刀はやはり私を指して光り輝いている。
空気が重い中、私は覚悟を決めて口を開く。
「あの……助けにきてくれてありがとうございます。それからその……ごめんなさい」
ごめんなさい……。勝手に離れてしまって、嘘をついていて……。
「陰陽師だろうと関係ない。[#da=1]は鈴だ」
「……」
殺生丸さま。
「あまり離れるな」
つまりは……。私が陰陽師だろうと関係なく、危険なことをさせたくないということだろうか……。
殺生丸さまは踵を返す。
「……行くぞ」
「え…。殺生丸さまやはり鈴を連れていくので」と邪見。
「…うるさい」
殺生丸さま、私、一緒に……側にいていいんですか。
私はギュッと拳を握って殺生丸さまに一礼をする。
一礼をした後、殺生丸さまは歩き出すかと思われたが……。
「その刀……」と言葉を発する。
「陰陽師の刀なのか」
「あ、はい。陰陽師が代々使える刀だそうで。何でも……その、私の時代では昔、どこぞの陰陽師がこの刀をもって、僕(しもべ)の妖怪に悪い妖怪を退治させたっていう伝承が」
すると殺生丸さまはしばらく黙ったあと、私の方を振り向く。
「……あの……」
「その刀、鈴が持っていろ。鈴が使える刀なのだろう」
確かに……。九字兼定は陰陽師のみが使える刀だけど。
いいのかな、私が勝手に持っちゃって。それに。
「私、刀なんて扱ったことないけど。その、平気かな」
「これ! 殺生丸さまがおっしゃっているんだから大丈夫に決まっているじゃろう」
「う、うん」
私はおそるおそる刀に手を伸ばし、そして刀を握る。すると九字兼定から光が消え、すっぽりと私の手に収まった。
殺生丸さまは今度こそ踵を返して歩き始める。
「ええ、え……!? 殺生丸さま……」
「……行くぞ」
この刀……ど、どうすればいいのかな。
というよりも、陰陽師のこと分かってたみたいだけど……この先、どうやって殺生丸さまと接したらいいの。
私、そんな簡単に割り切っていいのかな。
だって陰陽師は……――妖怪の敵だから――
――殺生丸さま……――
私は……殺生丸さまに嘘をついていた。
最初はこの場所がどこだか分からなくて、殺生丸さまに着いて行った。
だけど自分が戦国時代にいると知って……ううん、その前から私は自分の意志で殺生丸さまの側にいることを望んでいたんだと思う。
陰陽師だけど、でも……。――殺生丸さまの側にいたかったな――
目の前が暗くなっていく。
もう、何も見えない……。何も見たくない、聞きたくない。
手が勝手に赤ん坊を抱く。
「神楽」
赤ん坊が低く言葉を発すると、神楽が近づく気配がする。
その時、サア……と横から風が吹いた。
「お前……殺生丸」
神楽の呟く声が聞こえる。
殺生丸さま……? まさか。でもこの慣れ親しんだ妖気……。間違いなく殺生丸さま。
「殺生丸……。この女は陰陽師だ。まさか、敵である陰陽師を助けに来たというわけではあるまい」
「……」
サア……と緩やかな風が吹くのを感じる。
そして……。
「知っていた」と一言。
「鈴が陰陽師だと知っていた」
「そうだ! 陰陽師だとって、え!? せ、せ、せ、殺生丸さま、それは真ですか!!!!」
邪見の声が辺りに響く。
「いつから知っていた」
「奈落さえ気付いているのに、この殺生丸が気付かないとでも」
殺生丸さま……。
胸がドクンと暖かくなる。
「だが……陰陽師は関係ない。鈴は鈴だ」
サクッと殺生丸さまが近づく音が聞こえてくる。そして……私の目の前で立ち止まった。
「鈴……目を開けろ」
――殺生丸さま――
「鈴……」
殺生丸さま……私……。
力を振り絞って口を開く。
「さま……せっしょ……まる、さま。わ、たし……嘘を……」
「大丈夫だ。……目を開けろ」
私……。殺生丸さまの側にいてもいいんだろうか。
ううん、側にいたい。
力を込めて赤ん坊から手を放す。
「陰陽師っ!!」
私は……。
「殺生丸さまの側にいたい」
パッと目を開けると光が入って来る。殺生丸さまが私の目の前で膝をついていた。
「殺生丸さま?」
殺生丸さまが私の腕を掴み、グイッと引き寄せた。
「怪我はないか」
「はい。あの……殺生丸さま……。私……」
「……好きにしろ」
え……?
「側にいたいと思うなら……好きにしろ」
「っ……。はいっ」
その返事を聞くと、殺生丸さまは闘鬼神を抜く。そして赤ん坊と神楽に向かって刀を振り上げる。だが攻撃される前に神楽は赤ん坊を抱え立ち去って行った。
「……逃げたか」
赤ん坊と神楽が逃げ、後には私と殺生丸さまが残る。いや、邪見もだけど。
そして赤ん坊と神楽が置いていった刀はやはり私を指して光り輝いている。
空気が重い中、私は覚悟を決めて口を開く。
「あの……助けにきてくれてありがとうございます。それからその……ごめんなさい」
ごめんなさい……。勝手に離れてしまって、嘘をついていて……。
「陰陽師だろうと関係ない。[#da=1]は鈴だ」
「……」
殺生丸さま。
「あまり離れるな」
つまりは……。私が陰陽師だろうと関係なく、危険なことをさせたくないということだろうか……。
殺生丸さまは踵を返す。
「……行くぞ」
「え…。殺生丸さまやはり鈴を連れていくので」と邪見。
「…うるさい」
殺生丸さま、私、一緒に……側にいていいんですか。
私はギュッと拳を握って殺生丸さまに一礼をする。
一礼をした後、殺生丸さまは歩き出すかと思われたが……。
「その刀……」と言葉を発する。
「陰陽師の刀なのか」
「あ、はい。陰陽師が代々使える刀だそうで。何でも……その、私の時代では昔、どこぞの陰陽師がこの刀をもって、僕(しもべ)の妖怪に悪い妖怪を退治させたっていう伝承が」
すると殺生丸さまはしばらく黙ったあと、私の方を振り向く。
「……あの……」
「その刀、鈴が持っていろ。鈴が使える刀なのだろう」
確かに……。九字兼定は陰陽師のみが使える刀だけど。
いいのかな、私が勝手に持っちゃって。それに。
「私、刀なんて扱ったことないけど。その、平気かな」
「これ! 殺生丸さまがおっしゃっているんだから大丈夫に決まっているじゃろう」
「う、うん」
私はおそるおそる刀に手を伸ばし、そして刀を握る。すると九字兼定から光が消え、すっぽりと私の手に収まった。
殺生丸さまは今度こそ踵を返して歩き始める。
「ええ、え……!? 殺生丸さま……」
「……行くぞ」
この刀……ど、どうすればいいのかな。
というよりも、陰陽師のこと分かってたみたいだけど……この先、どうやって殺生丸さまと接したらいいの。
私、そんな簡単に割り切っていいのかな。
だって陰陽師は……――妖怪の敵だから――