主人と僕の旅路 2
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地面が割れた谷の底から瘴気がドロドロと流れている。
この瘴気じゃ、桔梗さんは…。
私と邪見が谷を覗く中、殺生丸さまは踵を返す。
「待ちやがれ、殺生丸!」
犬夜叉さんが叫ぶ。
「てめえ……黙って見ていたのか。桔梗が殺されるのを……」
「……きさまとあの女がどういう関わりか……、知りたくもないが……。桔梗とやらを殺したのは奈落だ。そして……それを助けられなかったのは、犬夜叉、おまえだ」
殺生丸さまは犬夜叉さんに背を向けて歩き始める。
あ……。ついて行かないと……。
「私にかみつく暇があったら、奈落を追うことだな」
「くっ……」
犬夜叉さんがうつむく。
ついていかないと……。でも……。
私は犬夜叉さんに言葉をかけようとするものの、言葉が何一つ出ない。
「…」
結局私は後ろ髪引かれる思いで、殺生丸さまの後ろをついて行くことにした。
殺生丸さまは無言で私の前を歩いていく。
「あの……」
私は殺生丸さまに言葉をかけるものの、殺生丸さまはそのまま無言で森の中を歩いていく。
――いつもなら振り返ってくれるのに……――
やっぱり……殺生丸さま、怒っているんだ。それも……。――私に対して……――
「あの……殺生丸さま。ごめんなさい……」
殺生丸さまは無言で歩き続ける。
「せ、殺生丸さま?」
邪見も声をかけてくれるが、やはり振り返ってはもらえない。
「私……今度こそ邪魔にならないようにするって言ったのに……。ごめんなさい」
「……」
――神楽視点――
「なあ、これからどうすんだよ?」
神楽は先程のかごめの様子を思い出す。
かごめを手下に出来なかった……。あの時、四魂のかけらはかごめに取り込まれず、自分で意識を取り戻した。
つまりは奈落の思惑が外れたということだが……。
「うるさい」
神楽の抱えている赤ん坊がしゃべり始める。
「まだ当てはある」
「当て?」
「殺生丸の連れている小娘、鈴だ」
鈴ねえ……。そう簡単に手下になるとも思えないが……。
「あの刀を使う時が来た」
「!?」
「鈴はかごめほどではないが、四魂のかけらを感じ取ることが出来る。上手く扱えるはずだ。かごめが桔梗のことで心に闇が生じたように、鈴も心の闇があるのだから……」
――主人公視点――
あれから数日経っても殺生丸さまは何も語りかけてはくれなかった。
私、殺生丸さまを怒らせてしまった。どうしよう……。もうお側にいられないのかな。
その時、サクサクと前から老人が歩いて来る。
この老人……奈落の妖気がかすかだけどある……。老人は片手に赤ん坊を、そしてもう片方に刀を抱えている。
刀は何故か私に向かって一筋の光を放っている。
奈落……今度は何をするつもりなの?
老人は私たちの数メートル手前で立ち止まる。そして、老人……いや、赤ん坊は口を開いた。
「これは九字兼定……。陰陽師なら知っているはずだ」
「っ!? 九字兼定。これが!?」
「……鈴、耳を傾けるな」
殺生丸さまが久々に私に対して口を開いた。
けれど、私の頭の中は九字兼定のことでいっぱいで殺生丸さまが私に語りかけてくれたことなど気にしていられない。
九字兼定。戦国時代に陰陽師がこの刀を持ち、僕(しもべ)の妖怪に悪い妖怪を退治させたという伝承が伝わる刀。
「九字兼定は九字を切られていることから邪を払う刀であり、行きたい場所への道を開く刀。そして陰陽師のもとへ導く性質がある」
「っ!!!」
まさか、まさか、まさか。
「陰陽師のもとへ導く……この意味が分かるか? 殺生丸」
「!!」
私はハッとして殺生丸さまの方を見る。殺生丸さまは私を冷たく捉えていた。
「鈴、お前……」
邪見がおそるおそる私に語りかけてくる。
「ち、ちがう!! 私、私は……」
「陰陽師……」
「ちがうっ!!!」
私は恐ろしくなってその場から走り出した。行く当てもなく、ただただ森の中を走る。
どうしよう、どうしよう。知られたくなかった、一番知られたくなかった。殺生丸さまだけには。知られたくなかった。
あの時、殺生丸さまに天生牙で命を救われ、殺生丸さまの側にいると決めた時から陰陽師だということは隠しておくと誓いをたてたのに……。
それなのに……。
「っ……」
勝手な行動をして殺生丸さまを怒らせてしまうし……。
――私、どうしようもないバカだ――
走っていくと目の前に池が見え、私は立ち止まる。
立ち止まったせいか、やっと少し冷静になって辺りを見渡す。
ここ、どこだろう……。ここは戦国時代で……私、道なんて分からない。いつもならこういう時、殺生丸さまが来てくれたけど……。でも……。
「殺生丸は来ない」
「!?」
後ろを振り返ると赤ん坊を抱えた神楽が視界に入る。
視界に入った瞬間、神楽が扇を取り出し攻撃を仕掛けてきた。
「っ!!!!!」
私は強風に煽られ、立っていられずしゃがみこむ。
そして、あっという間に神楽に両腕を掴まれてしまった。
「な、何!? 何をするつもりなの!!」
「わしの目になれ」
神楽の抱いている赤ん坊が近づき、私にしがみついてくる。
なに!? 何なの……。
――殺生丸さま……――
「陰陽師は妖怪の敵だ」
「……」
「殺生丸は敵の陰陽師なぞ助けに来ない」
この瘴気じゃ、桔梗さんは…。
私と邪見が谷を覗く中、殺生丸さまは踵を返す。
「待ちやがれ、殺生丸!」
犬夜叉さんが叫ぶ。
「てめえ……黙って見ていたのか。桔梗が殺されるのを……」
「……きさまとあの女がどういう関わりか……、知りたくもないが……。桔梗とやらを殺したのは奈落だ。そして……それを助けられなかったのは、犬夜叉、おまえだ」
殺生丸さまは犬夜叉さんに背を向けて歩き始める。
あ……。ついて行かないと……。
「私にかみつく暇があったら、奈落を追うことだな」
「くっ……」
犬夜叉さんがうつむく。
ついていかないと……。でも……。
私は犬夜叉さんに言葉をかけようとするものの、言葉が何一つ出ない。
「…」
結局私は後ろ髪引かれる思いで、殺生丸さまの後ろをついて行くことにした。
殺生丸さまは無言で私の前を歩いていく。
「あの……」
私は殺生丸さまに言葉をかけるものの、殺生丸さまはそのまま無言で森の中を歩いていく。
――いつもなら振り返ってくれるのに……――
やっぱり……殺生丸さま、怒っているんだ。それも……。――私に対して……――
「あの……殺生丸さま。ごめんなさい……」
殺生丸さまは無言で歩き続ける。
「せ、殺生丸さま?」
邪見も声をかけてくれるが、やはり振り返ってはもらえない。
「私……今度こそ邪魔にならないようにするって言ったのに……。ごめんなさい」
「……」
――神楽視点――
「なあ、これからどうすんだよ?」
神楽は先程のかごめの様子を思い出す。
かごめを手下に出来なかった……。あの時、四魂のかけらはかごめに取り込まれず、自分で意識を取り戻した。
つまりは奈落の思惑が外れたということだが……。
「うるさい」
神楽の抱えている赤ん坊がしゃべり始める。
「まだ当てはある」
「当て?」
「殺生丸の連れている小娘、鈴だ」
鈴ねえ……。そう簡単に手下になるとも思えないが……。
「あの刀を使う時が来た」
「!?」
「鈴はかごめほどではないが、四魂のかけらを感じ取ることが出来る。上手く扱えるはずだ。かごめが桔梗のことで心に闇が生じたように、鈴も心の闇があるのだから……」
――主人公視点――
あれから数日経っても殺生丸さまは何も語りかけてはくれなかった。
私、殺生丸さまを怒らせてしまった。どうしよう……。もうお側にいられないのかな。
その時、サクサクと前から老人が歩いて来る。
この老人……奈落の妖気がかすかだけどある……。老人は片手に赤ん坊を、そしてもう片方に刀を抱えている。
刀は何故か私に向かって一筋の光を放っている。
奈落……今度は何をするつもりなの?
老人は私たちの数メートル手前で立ち止まる。そして、老人……いや、赤ん坊は口を開いた。
「これは九字兼定……。陰陽師なら知っているはずだ」
「っ!? 九字兼定。これが!?」
「……鈴、耳を傾けるな」
殺生丸さまが久々に私に対して口を開いた。
けれど、私の頭の中は九字兼定のことでいっぱいで殺生丸さまが私に語りかけてくれたことなど気にしていられない。
九字兼定。戦国時代に陰陽師がこの刀を持ち、僕(しもべ)の妖怪に悪い妖怪を退治させたという伝承が伝わる刀。
「九字兼定は九字を切られていることから邪を払う刀であり、行きたい場所への道を開く刀。そして陰陽師のもとへ導く性質がある」
「っ!!!」
まさか、まさか、まさか。
「陰陽師のもとへ導く……この意味が分かるか? 殺生丸」
「!!」
私はハッとして殺生丸さまの方を見る。殺生丸さまは私を冷たく捉えていた。
「鈴、お前……」
邪見がおそるおそる私に語りかけてくる。
「ち、ちがう!! 私、私は……」
「陰陽師……」
「ちがうっ!!!」
私は恐ろしくなってその場から走り出した。行く当てもなく、ただただ森の中を走る。
どうしよう、どうしよう。知られたくなかった、一番知られたくなかった。殺生丸さまだけには。知られたくなかった。
あの時、殺生丸さまに天生牙で命を救われ、殺生丸さまの側にいると決めた時から陰陽師だということは隠しておくと誓いをたてたのに……。
それなのに……。
「っ……」
勝手な行動をして殺生丸さまを怒らせてしまうし……。
――私、どうしようもないバカだ――
走っていくと目の前に池が見え、私は立ち止まる。
立ち止まったせいか、やっと少し冷静になって辺りを見渡す。
ここ、どこだろう……。ここは戦国時代で……私、道なんて分からない。いつもならこういう時、殺生丸さまが来てくれたけど……。でも……。
「殺生丸は来ない」
「!?」
後ろを振り返ると赤ん坊を抱えた神楽が視界に入る。
視界に入った瞬間、神楽が扇を取り出し攻撃を仕掛けてきた。
「っ!!!!!」
私は強風に煽られ、立っていられずしゃがみこむ。
そして、あっという間に神楽に両腕を掴まれてしまった。
「な、何!? 何をするつもりなの!!」
「わしの目になれ」
神楽の抱いている赤ん坊が近づき、私にしがみついてくる。
なに!? 何なの……。
――殺生丸さま……――
「陰陽師は妖怪の敵だ」
「……」
「殺生丸は敵の陰陽師なぞ助けに来ない」