主人と僕の旅路 1
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれから何日経ったのか……。
自然とお腹に手を当ててしまう。
今まで懐にあったクッキーを食べて空腹を凌いでいたけど、それも今日で尽きてしまった。
一応妖怪にもクッキーをすすめてみたけど、案の定無視されてしまったし……。
このままじゃ私も妖怪も餓死しかねない。近くに家がないか探しているが、一向に見つからず……。
「はぁ……」
ガックリと肩を落とす。
困った……。なんとか水が飲めそうな川は見つかったけど、家が見つからない。食料がほんのわずかでも、もらえないかと思ったんだけど。
私は傷がふさがったばかりの体を引き摺るように歩く。
私は陰陽師だし。安倍晴明の子孫。つまりは狐の妖怪の血を引いているので、普通の人より治りが早いらしい。
一方、見目麗しい長髪の妖怪は徐々に傷が癒えてきているけど、体を動かすのは無理なようだ。
「あっ!!」
そんなことを考えていたら、前方に家がたくさん見えた。だが家、というよりも周囲の様子がおかしい。
高い建物が一つもない。あるのは平屋の家だけ。それだけなら田舎なのかなと思うけれど、周囲は雑草だらけで手入れされた様子はないし、道がない。
コンクリートの家ばっかり見てきたから、木でつくってある家って新鮮ではあるけど。
私は困惑しながら、一番大きな家に目をつけてそっちの方に歩いていく。
「すみませーん!!!」
大きな声で叫ぶ。
そうすると着物を着た男の人が出てきた。
何故かちょんまげ姿だ……。
お侍さん、のコスプレ?
とりあえずは気にせず、本題に入る。
「実は今、お腹が空いていて……。何でもいいので何か下さるとありがたい……んですけど。どう、でしょう?」
すると男の人はいきなり扉をバタンと閉めてしまった。
うっわ!! そりゃあ自分でも変なこと言ったと思ったけど。いきなり扉を閉めなくても……。
それからも、あちらこちらの家を訪ねてみたが結局何ももらえなかった。
かくなる上は致し方ない。
「……盗むしかない!!」
標的は決まっている。
生け簀の中にいた魚だ。
私は覚悟を決めて、夜中に魚を盗むことに決めた。
ものすごく罪悪感はある…………。けれど。生きるためならば仕方がない。罪悪感はあるけれど。
それに……――。何故か、今はあの妖怪を助けたいという気持ちでいっぱいだった。
―夜―
ザワッと風が吹く。今宵は綺麗な満月だ。
よし、やろう。
私はまず畑を漁った。茸を二、三個懐に入れる。
よし、次は魚!
私は慎重に生け簀に入り、大きな魚を一匹捕まえる。
これなら妖怪と半分にして食べられるよね。
そう考えて、生け簀から出ようとした時だった。
「犯人はおめえか!」
声がする方をみてみると、何人もの男の人が私を取り囲んでいる。私は男の人に腕を引っ張られ、生け簀から出された。
とにかく謝らないと。盗みをしたのは本当だもん。
「あの……」
ごめんなさい、と頭を下げようとした時だった。
「ふてえガキだ。生け簀の魚勝手に漁りやがって。今度やったらぶっ殺すぞ」
男の人に唐突にグーで頬を殴られる。衝撃で地面に倒れ込んだ。口の中にじんわりと血の味が広がっていく。
「っ! ちょっと。待って。これには、訳が!」
だが男の人たちは私の言い分を聞くこともなく、次々と手を出してくる。
蹴られ、殴られ……。殴られ、蹴られ……。
どのくらいの時が過ぎたのか。
雲が月を覆った頃、私は解放された。
顔にはたんこぶがいくつも出来ており、ピリリと痛みが走る。なのに。生き物の本能が勝り、お腹がぐうぐうと鳴ってしまう。
とりあえず、茸は取った。魚は……駄目だったけど……。仕方ないから妖怪には…………蜥蜴で。
次の日、私は妖怪に鼠と蜥蜴をあげてみた。
意外と捕まえるのに苦労したんだから! と無理やり元気をだし、張り切って差し出してみる。
けれど妖怪は「いらん」と一言言って、そっぽを向いてしまった。
「はぁ」
思わずため息。
せっかく捕まえたのに……。
「顔をどうした?」
「えっ?」
「顔の傷はどうした?」
はじめてきちんと話しかけられた――――。
想像通りの低い声だ。
って、そうではなくて。
顔って……。殴られたときの。
私が黙っていると「……言いたくなければいい」と言って、またそっぽを向いてしまった。
この妖怪の考えていることはよく分かんないけれど。怪我を心配してくれたってことは優しい妖怪……だと思う。
私は思わず嬉しくなって微笑む。
心が自然と温かくなる。
もう一回村に行って、誠心誠意謝ろう。それで、何かもらえるように説得してみよう!
きっと鶏とかなら、妖怪も食べるはず!
さっそく村に行ってみる……。――――が。
「何、これ……」
最初に目に入ったのは赤黒い血だった。
村の人達が倒れている。皮膚がえぐれていて、ダラダラと血が流れている。
駄目だ、助からない――。
腐った臭いに餌付きそうになりながら、私は独特の気配を感じていた。
この独特の気配は……妖怪。
そう確信をした時、一人の人間が物陰から出てくる。
「…っ!」
慌てて隠れようとする。だが、それより先に人間はこっちを見てしまった。そしてその人間はこちらを冷たく見据えると、周りにいる狼を見渡す。
「おめぇら、喰っていいぞ」
「!!!」
狼が一斉に飛びかかってくる!
この狼。ただの狼じゃない。人喰い狼だ。
それに………。人間だと思っていたけれど、わずかに妖気がした。あの人間が、この村を襲った妖怪だ。
私はその場から逃げ出す。
ヤバい!!!!
なぜなら狼は妖怪じゃない。ただの人を喰う狼。ということは……。
私は当主様に肩を射抜かれた時を思い出す。
――――陰陽術が効かない!!
私は必死に走る。…………だが、この付近にきちんとした道はない。ふいに木の根本に足が引っ掛かり転んでしまった。
「痛っ!!」
私はすばやく後ろを振り返る。
殺される!!!
そう思った時には、狼がすでに私に飛び掛かっていた。
自然とお腹に手を当ててしまう。
今まで懐にあったクッキーを食べて空腹を凌いでいたけど、それも今日で尽きてしまった。
一応妖怪にもクッキーをすすめてみたけど、案の定無視されてしまったし……。
このままじゃ私も妖怪も餓死しかねない。近くに家がないか探しているが、一向に見つからず……。
「はぁ……」
ガックリと肩を落とす。
困った……。なんとか水が飲めそうな川は見つかったけど、家が見つからない。食料がほんのわずかでも、もらえないかと思ったんだけど。
私は傷がふさがったばかりの体を引き摺るように歩く。
私は陰陽師だし。安倍晴明の子孫。つまりは狐の妖怪の血を引いているので、普通の人より治りが早いらしい。
一方、見目麗しい長髪の妖怪は徐々に傷が癒えてきているけど、体を動かすのは無理なようだ。
「あっ!!」
そんなことを考えていたら、前方に家がたくさん見えた。だが家、というよりも周囲の様子がおかしい。
高い建物が一つもない。あるのは平屋の家だけ。それだけなら田舎なのかなと思うけれど、周囲は雑草だらけで手入れされた様子はないし、道がない。
コンクリートの家ばっかり見てきたから、木でつくってある家って新鮮ではあるけど。
私は困惑しながら、一番大きな家に目をつけてそっちの方に歩いていく。
「すみませーん!!!」
大きな声で叫ぶ。
そうすると着物を着た男の人が出てきた。
何故かちょんまげ姿だ……。
お侍さん、のコスプレ?
とりあえずは気にせず、本題に入る。
「実は今、お腹が空いていて……。何でもいいので何か下さるとありがたい……んですけど。どう、でしょう?」
すると男の人はいきなり扉をバタンと閉めてしまった。
うっわ!! そりゃあ自分でも変なこと言ったと思ったけど。いきなり扉を閉めなくても……。
それからも、あちらこちらの家を訪ねてみたが結局何ももらえなかった。
かくなる上は致し方ない。
「……盗むしかない!!」
標的は決まっている。
生け簀の中にいた魚だ。
私は覚悟を決めて、夜中に魚を盗むことに決めた。
ものすごく罪悪感はある…………。けれど。生きるためならば仕方がない。罪悪感はあるけれど。
それに……――。何故か、今はあの妖怪を助けたいという気持ちでいっぱいだった。
―夜―
ザワッと風が吹く。今宵は綺麗な満月だ。
よし、やろう。
私はまず畑を漁った。茸を二、三個懐に入れる。
よし、次は魚!
私は慎重に生け簀に入り、大きな魚を一匹捕まえる。
これなら妖怪と半分にして食べられるよね。
そう考えて、生け簀から出ようとした時だった。
「犯人はおめえか!」
声がする方をみてみると、何人もの男の人が私を取り囲んでいる。私は男の人に腕を引っ張られ、生け簀から出された。
とにかく謝らないと。盗みをしたのは本当だもん。
「あの……」
ごめんなさい、と頭を下げようとした時だった。
「ふてえガキだ。生け簀の魚勝手に漁りやがって。今度やったらぶっ殺すぞ」
男の人に唐突にグーで頬を殴られる。衝撃で地面に倒れ込んだ。口の中にじんわりと血の味が広がっていく。
「っ! ちょっと。待って。これには、訳が!」
だが男の人たちは私の言い分を聞くこともなく、次々と手を出してくる。
蹴られ、殴られ……。殴られ、蹴られ……。
どのくらいの時が過ぎたのか。
雲が月を覆った頃、私は解放された。
顔にはたんこぶがいくつも出来ており、ピリリと痛みが走る。なのに。生き物の本能が勝り、お腹がぐうぐうと鳴ってしまう。
とりあえず、茸は取った。魚は……駄目だったけど……。仕方ないから妖怪には…………蜥蜴で。
次の日、私は妖怪に鼠と蜥蜴をあげてみた。
意外と捕まえるのに苦労したんだから! と無理やり元気をだし、張り切って差し出してみる。
けれど妖怪は「いらん」と一言言って、そっぽを向いてしまった。
「はぁ」
思わずため息。
せっかく捕まえたのに……。
「顔をどうした?」
「えっ?」
「顔の傷はどうした?」
はじめてきちんと話しかけられた――――。
想像通りの低い声だ。
って、そうではなくて。
顔って……。殴られたときの。
私が黙っていると「……言いたくなければいい」と言って、またそっぽを向いてしまった。
この妖怪の考えていることはよく分かんないけれど。怪我を心配してくれたってことは優しい妖怪……だと思う。
私は思わず嬉しくなって微笑む。
心が自然と温かくなる。
もう一回村に行って、誠心誠意謝ろう。それで、何かもらえるように説得してみよう!
きっと鶏とかなら、妖怪も食べるはず!
さっそく村に行ってみる……。――――が。
「何、これ……」
最初に目に入ったのは赤黒い血だった。
村の人達が倒れている。皮膚がえぐれていて、ダラダラと血が流れている。
駄目だ、助からない――。
腐った臭いに餌付きそうになりながら、私は独特の気配を感じていた。
この独特の気配は……妖怪。
そう確信をした時、一人の人間が物陰から出てくる。
「…っ!」
慌てて隠れようとする。だが、それより先に人間はこっちを見てしまった。そしてその人間はこちらを冷たく見据えると、周りにいる狼を見渡す。
「おめぇら、喰っていいぞ」
「!!!」
狼が一斉に飛びかかってくる!
この狼。ただの狼じゃない。人喰い狼だ。
それに………。人間だと思っていたけれど、わずかに妖気がした。あの人間が、この村を襲った妖怪だ。
私はその場から逃げ出す。
ヤバい!!!!
なぜなら狼は妖怪じゃない。ただの人を喰う狼。ということは……。
私は当主様に肩を射抜かれた時を思い出す。
――――陰陽術が効かない!!
私は必死に走る。…………だが、この付近にきちんとした道はない。ふいに木の根本に足が引っ掛かり転んでしまった。
「痛っ!!」
私はすばやく後ろを振り返る。
殺される!!!
そう思った時には、狼がすでに私に飛び掛かっていた。