主人と僕の旅路 1
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私は安倍家の陰陽師だ。
だけど、安倍家の宿敵である芦屋家に住んでいる。
何故、芦屋家に住んでいるのか…。
安倍晴明は妖怪と陰陽師の間に生まれた子である。
そのため、妖怪の血と陰陽師の血が反発しあって子孫が出来ない。もしくは長生きが出来ないため徐々に安倍陰陽師は消えていき、今は私一人だけになってしまった。
それを哀れんだ芦屋家の人達はある条件つきで私を引き取ることにしたのだ。
妖怪を見たらすぐに滅さなければならない…という条件つきで。
私は妖怪と仲良くすることをいつも夢見ていた。
だけど私は芦屋家の一員…。
そんな夢は捨てなければならない。
――既に覚悟は決めたはずだった。
だけどもう限界…。
弱い妖怪の悲鳴が毎夜屋敷に響きわたる。
助けたいのにどうすればいいか分からない。
どうすればいいか分からない…。
限界がそろそろ頂点に達しようとしていたその時、ある任務が与えられた。
「ここから五分歩いたところに小さな神社があるのは知っているだろう?そこに一匹妖怪がいるらしい。言っている意味が分かるな」
「はい。すぐに準備に取りかかります」
仕方ない…。私は芦屋家の一員なのだから。
妖怪一匹滅することぐらい、楽にこなさなければ。
―神社―
私は鳥居をくぐる。
やっぱり、ここに妖怪がいるみたい…。場所は…多分社殿の奥の方。
私は早足で歩き、社殿の扉を一気に開いた。
中は暗くてよく見えないけど、奥の端の方に妖気がする。
私はゆっくりと着物の懐に手を入れ、式神を呼び出した。
「悪き者を灰にしろ、炎虎(えんこ)」
(火を操る式神。見た目は虎。周りの毛皮は炎に覆われていて、口から炎を吐くことが得意)
炎虎は妖怪がいると思われる場所に炎を吐き出す。
それと同時に周りが明るくなって、妖怪の姿を認識出来るようになった。
どうやら蝶の形をした妖怪らしい…。
「っつ!!!陰陽師!!!」
「炎虎、もう一度」
私の合図に従って、炎虎はもう一度炎を吐き出した。
みるみるうちに妖怪は炎に包まれ、焼け焦げていく。
「たっ、助けてくれ!!我は悪事なんて働いていない。ただここにいただけだ。お願いだから助けて!」
私は妖怪の言葉に耳を貸さず、炎虎に火力を強めるように言う。
「助けてくれ~!!!死にたくない、死にたくない、死にたくない!!!!!!」
「っ!」
「嫌だぁ~!!!!!!」
一際大きな叫び声が辺りに響いた瞬間、私は妖怪を滅することなくその場から逃げ出していた。
「っはぁはぁ…」
私はやっと立ち止まって、肩で荒く息をする。
逃げ出してからどのくらいの距離を走っただろうか、私はいつの間にか崖の上に来ていた。
やってしまった…。妖怪を滅せなければならないのに、出来なかった…。
私が芦屋家にいれるのは、妖怪を滅することが出来るから。滅することが出来ないのならば…私は芦屋家にいれない。
「はぁ…」
ため息をついた瞬間、肩に鋭い痛みが襲った。
「っ!!!」
肩を見てみると一本の矢が刺さっている。
そして矢を放ったのは…
「当主様…」
矢を放ったのは白髪が目立つ、芦屋家当主だった。
「鈴、何故妖怪を滅さなかった?」
「それは、その」
「お前ほどのやつが取り逃がしたということはあるまい。何せ安倍晴明の子孫なのだからな。まさかとは思うが…逃げ出したのではあるまいな」
「っつ!!!!」
「図星、か」
そう言って当主は矢を放ってくる。
私は咄嗟に式神、水竜を取り出した。
「水竜、主の守りとなれ」
(竜の式神の一つ、水竜。水圧で敵を押し潰す攻撃を得意とする。が、今回の技は水の壁を作り敵の攻撃から自身を守ることができる)
しかし水で出来た壁は矢を防ぐことなく、私の脇腹に命中した。
「ぐっ!!!」
「覚えておくといい。陰陽術は妖怪にしか効かない。つまり人間からの攻撃は防ぐことも出来ないし、人間に攻撃することも出来ない」
そう言って当主は弓を引く。
「鈴には期待していた。もっと力がつけば芦屋家の次期当主候補にするつもりだったのだが…。すまないな。だが、妖怪を滅することが出来ない者には芦屋家には必要ない」
私はなんとか一歩下がろうとするが、すぐ後ろは谷があることに気がついた。
「すまないな」
当主がそう言った瞬間、矢が放たれ私の胸に刺さった。
あまりの痛さと衝撃に体が後ろに傾く。
そして足に力が入らなくなり、私は崖から落ちた。
「私の夢、は…妖怪、と、仲良く……――」
だけど、安倍家の宿敵である芦屋家に住んでいる。
何故、芦屋家に住んでいるのか…。
安倍晴明は妖怪と陰陽師の間に生まれた子である。
そのため、妖怪の血と陰陽師の血が反発しあって子孫が出来ない。もしくは長生きが出来ないため徐々に安倍陰陽師は消えていき、今は私一人だけになってしまった。
それを哀れんだ芦屋家の人達はある条件つきで私を引き取ることにしたのだ。
妖怪を見たらすぐに滅さなければならない…という条件つきで。
私は妖怪と仲良くすることをいつも夢見ていた。
だけど私は芦屋家の一員…。
そんな夢は捨てなければならない。
――既に覚悟は決めたはずだった。
だけどもう限界…。
弱い妖怪の悲鳴が毎夜屋敷に響きわたる。
助けたいのにどうすればいいか分からない。
どうすればいいか分からない…。
限界がそろそろ頂点に達しようとしていたその時、ある任務が与えられた。
「ここから五分歩いたところに小さな神社があるのは知っているだろう?そこに一匹妖怪がいるらしい。言っている意味が分かるな」
「はい。すぐに準備に取りかかります」
仕方ない…。私は芦屋家の一員なのだから。
妖怪一匹滅することぐらい、楽にこなさなければ。
―神社―
私は鳥居をくぐる。
やっぱり、ここに妖怪がいるみたい…。場所は…多分社殿の奥の方。
私は早足で歩き、社殿の扉を一気に開いた。
中は暗くてよく見えないけど、奥の端の方に妖気がする。
私はゆっくりと着物の懐に手を入れ、式神を呼び出した。
「悪き者を灰にしろ、炎虎(えんこ)」
(火を操る式神。見た目は虎。周りの毛皮は炎に覆われていて、口から炎を吐くことが得意)
炎虎は妖怪がいると思われる場所に炎を吐き出す。
それと同時に周りが明るくなって、妖怪の姿を認識出来るようになった。
どうやら蝶の形をした妖怪らしい…。
「っつ!!!陰陽師!!!」
「炎虎、もう一度」
私の合図に従って、炎虎はもう一度炎を吐き出した。
みるみるうちに妖怪は炎に包まれ、焼け焦げていく。
「たっ、助けてくれ!!我は悪事なんて働いていない。ただここにいただけだ。お願いだから助けて!」
私は妖怪の言葉に耳を貸さず、炎虎に火力を強めるように言う。
「助けてくれ~!!!死にたくない、死にたくない、死にたくない!!!!!!」
「っ!」
「嫌だぁ~!!!!!!」
一際大きな叫び声が辺りに響いた瞬間、私は妖怪を滅することなくその場から逃げ出していた。
「っはぁはぁ…」
私はやっと立ち止まって、肩で荒く息をする。
逃げ出してからどのくらいの距離を走っただろうか、私はいつの間にか崖の上に来ていた。
やってしまった…。妖怪を滅せなければならないのに、出来なかった…。
私が芦屋家にいれるのは、妖怪を滅することが出来るから。滅することが出来ないのならば…私は芦屋家にいれない。
「はぁ…」
ため息をついた瞬間、肩に鋭い痛みが襲った。
「っ!!!」
肩を見てみると一本の矢が刺さっている。
そして矢を放ったのは…
「当主様…」
矢を放ったのは白髪が目立つ、芦屋家当主だった。
「鈴、何故妖怪を滅さなかった?」
「それは、その」
「お前ほどのやつが取り逃がしたということはあるまい。何せ安倍晴明の子孫なのだからな。まさかとは思うが…逃げ出したのではあるまいな」
「っつ!!!!」
「図星、か」
そう言って当主は矢を放ってくる。
私は咄嗟に式神、水竜を取り出した。
「水竜、主の守りとなれ」
(竜の式神の一つ、水竜。水圧で敵を押し潰す攻撃を得意とする。が、今回の技は水の壁を作り敵の攻撃から自身を守ることができる)
しかし水で出来た壁は矢を防ぐことなく、私の脇腹に命中した。
「ぐっ!!!」
「覚えておくといい。陰陽術は妖怪にしか効かない。つまり人間からの攻撃は防ぐことも出来ないし、人間に攻撃することも出来ない」
そう言って当主は弓を引く。
「鈴には期待していた。もっと力がつけば芦屋家の次期当主候補にするつもりだったのだが…。すまないな。だが、妖怪を滅することが出来ない者には芦屋家には必要ない」
私はなんとか一歩下がろうとするが、すぐ後ろは谷があることに気がついた。
「すまないな」
当主がそう言った瞬間、矢が放たれ私の胸に刺さった。
あまりの痛さと衝撃に体が後ろに傾く。
そして足に力が入らなくなり、私は崖から落ちた。
「私の夢、は…妖怪、と、仲良く……――」