主人と僕の旅路 1
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ザ……
私たちは森の中にいた。
「父君のお知り合いが、こんな辺鄙な森の中に?」
「……」
邪見が尋ねるが、殺生丸さまは何も言わない。
私は阿吽に乗りながら、殺生丸さまの後ろをついていく。
なんかこの森……変。
どこが、とは言えないけど。何かが隠れているような……。
その時、ザワ……と風が吹きどこからか声がする。
「そろそろ訪ねてくる頃だと思っとった……殺生丸……」
「空から声が……」
じっと気配を手繰る。
――あっ!!――
「あの木!!!」
「ん゛~? なにもおらんぞ」と邪見。
「私が来るとわかっていただと……?朴仙翁」
殺生丸さまが一本の木の前に立つ。
やっぱり、この木だ。
「わしの処に来たということは、刀の話であろう」と木から声がする。
「おやじどのの形見、鉄砕牙のことか?それとも……」
ボコッと木の一部が飛び出て、顔が出てくる。
「殺生丸さま、こやついったい……」
「樹齢二千年の朴の木だ」
「ほお?」
そこに木のおばけが説明する。
「そうさ、そして殺生丸のおやじどのの形見の刀…鉄砕牙と天生牙の鞘は、このわしの枝から削り出された物」
「鞘…」
邪見がハッとする。
鉄砕牙を見たことはないけど、殺生丸さまがこだわっているということは…すごい刀なんだろうな。
そして、その刀の鞘ってことは…。
「朴仙翁、きさまなら知っているだろう。犬夜叉と鉄砕牙の関わりを」
「犬夜叉……おぬしの異母弟か……」
その言葉に殺生丸さまはピクッとするが、気にせず話し始める。
犬夜叉さんが弟ってところが、よっぽど嫌なんだろうな。
「一度目は鬼に鉄砕牙を噛み砕かれた時……二度目は、私との闘いで鉄砕牙を手放した時。犬夜叉の血が変わった」
血が変わる?ってどういうことだろう…。
「半妖の血の匂いから……私や父上と同じ、妖怪の血の匂いに」
「同じ妖怪の血……か。そいつはどうかな」
「……どういうことだ?」
「犬夜叉は妖と人の間に生まれた半妖……真の妖怪にはなり得ぬ。少なくとも殺生丸、完全なる妖怪であるおぬしにはできるが……犬夜叉にはできぬことがある。それは……」
ゴクリ
「己を保つことさ……」
「己を保つ……」と殺生丸さま。
「そうさ、たとえば殺生丸……おぬしは闘いの中で、どのように追いつめられようと、心は冷めたまま……自分を見失うことはなかろう?」
「ふん、私が追いつめられることなど、ありはしないがな」
ふと殺生丸さまが私を見る。
「?」
何だろう?
「くくく……そうかもしれんな」と朴仙翁が話し始める。
一瞬朴仙翁も私を見たのは何でだろう?
「だが犬夜叉は違う。追いつめられ、命が危険にさらされた時、身を守るために、妖怪の血が体を支配し変化する――」
身を守るために……。
「だがな、犬夜叉がおやじどのから受け継いだ大妖怪の血は、半妖の身には強すぎる……」
「……するとどうなる?」
「そうさな……妖怪の血に心を喰われるといったところか」
「っつ!!!」
それって……祖先が羽衣狐と交わった私にもいえることなんじゃ……。
「自分が何者なのかもわからぬ。敵も味方もなく相手を殺す。そして変化を繰り返すうちに――いずれ犬夜叉の心は完全に失われる。ただの闘うだけの化け物になり果て――その身が滅びるため闘い続ける」
――ただの化け物に……なってしまうのだろうか――。
犬夜叉さんも、私も……。
「おぬしのおやじどのは、犬夜叉にそうなってほしくなかったのだろうな。だからこそ――守り刀として、犬夜叉に鉄砕牙を与えた――」
私は話が終わった後に、朴仙翁に尋ねる。
「あの、質問が」
「なんじゃ、小娘」
「その話って、犬夜叉さんに限ったことではないですよね?」
「もちろん」と朴仙翁が頷く。
――やっぱり――
「あ、でも!遠い祖先だったら平気ですよね?」
「……というと?」
「えっと。祖先が強い妖怪と子を成したけど、それ以来人間と契って血が薄れていった場合のことです」
「うーん」と朴仙翁が考え込む。
「妖怪に変化する確率はかなり少なくだろう」
――よかった!!――
「だが……一度変化してしまうと、おそらく二度と人間には戻れない」
「へっ?」
「不思議なものでな。いくら妖怪の血が薄れていたとしても、人間の血は妖怪にはとうてい敵わんのさ」
「……」
「ま、かなりの危険に巻き込まれた時だけだろうが」
「……そう、ですか」
絶対に変化しないってことは、ないんだ。
「で、おぬし、何故そんなことを聞く?」
「え? べ、別にその、気になっただけです」
「それに殺生丸……おぬし、人間が嫌いではなかったか」
「……」
殺生丸さまは私を見る。
「……」
どうしたのかな……。
「この娘は特別だ」
へ? 今、今、特別って!!
「くくく、そうか」と朴仙翁もこちらを見る。
「娘、名は何と言う?」
「あべ…」と言いかけて止まる。
陰陽師ってバレたらヤバイよね。
「鈴と言います」
「ふむ、鈴か。神秘的で良い名だ。[dn=1#]、殺生丸を頼むぞ」
「はい!」
私が返事をした瞬間、一気に殺生丸さまの機嫌が悪くなった気がするけど……。
「行くぞ」と殺生丸さまはスタスタと歩きだしてしまった。
「あ、朴仙翁さん、さようなら!」
私は阿吽に乗って殺生丸さまを追いかける。
「これ、待て、鈴」と邪見が追いかけてくる。
次は何処へ行くんだろう?
私たちは森の中にいた。
「父君のお知り合いが、こんな辺鄙な森の中に?」
「……」
邪見が尋ねるが、殺生丸さまは何も言わない。
私は阿吽に乗りながら、殺生丸さまの後ろをついていく。
なんかこの森……変。
どこが、とは言えないけど。何かが隠れているような……。
その時、ザワ……と風が吹きどこからか声がする。
「そろそろ訪ねてくる頃だと思っとった……殺生丸……」
「空から声が……」
じっと気配を手繰る。
――あっ!!――
「あの木!!!」
「ん゛~? なにもおらんぞ」と邪見。
「私が来るとわかっていただと……?朴仙翁」
殺生丸さまが一本の木の前に立つ。
やっぱり、この木だ。
「わしの処に来たということは、刀の話であろう」と木から声がする。
「おやじどのの形見、鉄砕牙のことか?それとも……」
ボコッと木の一部が飛び出て、顔が出てくる。
「殺生丸さま、こやついったい……」
「樹齢二千年の朴の木だ」
「ほお?」
そこに木のおばけが説明する。
「そうさ、そして殺生丸のおやじどのの形見の刀…鉄砕牙と天生牙の鞘は、このわしの枝から削り出された物」
「鞘…」
邪見がハッとする。
鉄砕牙を見たことはないけど、殺生丸さまがこだわっているということは…すごい刀なんだろうな。
そして、その刀の鞘ってことは…。
「朴仙翁、きさまなら知っているだろう。犬夜叉と鉄砕牙の関わりを」
「犬夜叉……おぬしの異母弟か……」
その言葉に殺生丸さまはピクッとするが、気にせず話し始める。
犬夜叉さんが弟ってところが、よっぽど嫌なんだろうな。
「一度目は鬼に鉄砕牙を噛み砕かれた時……二度目は、私との闘いで鉄砕牙を手放した時。犬夜叉の血が変わった」
血が変わる?ってどういうことだろう…。
「半妖の血の匂いから……私や父上と同じ、妖怪の血の匂いに」
「同じ妖怪の血……か。そいつはどうかな」
「……どういうことだ?」
「犬夜叉は妖と人の間に生まれた半妖……真の妖怪にはなり得ぬ。少なくとも殺生丸、完全なる妖怪であるおぬしにはできるが……犬夜叉にはできぬことがある。それは……」
ゴクリ
「己を保つことさ……」
「己を保つ……」と殺生丸さま。
「そうさ、たとえば殺生丸……おぬしは闘いの中で、どのように追いつめられようと、心は冷めたまま……自分を見失うことはなかろう?」
「ふん、私が追いつめられることなど、ありはしないがな」
ふと殺生丸さまが私を見る。
「?」
何だろう?
「くくく……そうかもしれんな」と朴仙翁が話し始める。
一瞬朴仙翁も私を見たのは何でだろう?
「だが犬夜叉は違う。追いつめられ、命が危険にさらされた時、身を守るために、妖怪の血が体を支配し変化する――」
身を守るために……。
「だがな、犬夜叉がおやじどのから受け継いだ大妖怪の血は、半妖の身には強すぎる……」
「……するとどうなる?」
「そうさな……妖怪の血に心を喰われるといったところか」
「っつ!!!」
それって……祖先が羽衣狐と交わった私にもいえることなんじゃ……。
「自分が何者なのかもわからぬ。敵も味方もなく相手を殺す。そして変化を繰り返すうちに――いずれ犬夜叉の心は完全に失われる。ただの闘うだけの化け物になり果て――その身が滅びるため闘い続ける」
――ただの化け物に……なってしまうのだろうか――。
犬夜叉さんも、私も……。
「おぬしのおやじどのは、犬夜叉にそうなってほしくなかったのだろうな。だからこそ――守り刀として、犬夜叉に鉄砕牙を与えた――」
私は話が終わった後に、朴仙翁に尋ねる。
「あの、質問が」
「なんじゃ、小娘」
「その話って、犬夜叉さんに限ったことではないですよね?」
「もちろん」と朴仙翁が頷く。
――やっぱり――
「あ、でも!遠い祖先だったら平気ですよね?」
「……というと?」
「えっと。祖先が強い妖怪と子を成したけど、それ以来人間と契って血が薄れていった場合のことです」
「うーん」と朴仙翁が考え込む。
「妖怪に変化する確率はかなり少なくだろう」
――よかった!!――
「だが……一度変化してしまうと、おそらく二度と人間には戻れない」
「へっ?」
「不思議なものでな。いくら妖怪の血が薄れていたとしても、人間の血は妖怪にはとうてい敵わんのさ」
「……」
「ま、かなりの危険に巻き込まれた時だけだろうが」
「……そう、ですか」
絶対に変化しないってことは、ないんだ。
「で、おぬし、何故そんなことを聞く?」
「え? べ、別にその、気になっただけです」
「それに殺生丸……おぬし、人間が嫌いではなかったか」
「……」
殺生丸さまは私を見る。
「……」
どうしたのかな……。
「この娘は特別だ」
へ? 今、今、特別って!!
「くくく、そうか」と朴仙翁もこちらを見る。
「娘、名は何と言う?」
「あべ…」と言いかけて止まる。
陰陽師ってバレたらヤバイよね。
「鈴と言います」
「ふむ、鈴か。神秘的で良い名だ。[dn=1#]、殺生丸を頼むぞ」
「はい!」
私が返事をした瞬間、一気に殺生丸さまの機嫌が悪くなった気がするけど……。
「行くぞ」と殺生丸さまはスタスタと歩きだしてしまった。
「あ、朴仙翁さん、さようなら!」
私は阿吽に乗って殺生丸さまを追いかける。
「これ、待て、鈴」と邪見が追いかけてくる。
次は何処へ行くんだろう?