第7話
name change
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綾は次元に寄り添ったまま、ルパン達が見えなくなるまで見送った。
竜が消えると軍隊も引き上げていき、いつの間にか辺りは静けさを取り戻していた。
「…………」
次元は先ほどからずっと黙り込んでいる。
綾も何も言わなかった。
何を言えばいいのか分からなかった。
全てが終わった。
次元はルパン達とともにまた、ユニシアから去っていくのだろう。
綾は葛藤していた。
次元と一緒にいたいが、彼については行けない。
綾の夢は、女優になることだ。
その夢を諦めようとは思っていない。
綾は小さく息を吸った。
女優は、演じるもの。
本当でない事も本当のように見せるもの。
心の葛藤など微塵も見せず、彼が安心して去っていけるように、笑顔とキスで見送ろう。
「次元」
綾は次元を見上げた。
次元はじっと綾を見つめ返している。
「いろいろありがとう。怖くなかったと言えば嘘になるけど、あなたがそばにいてくれて、その……とても嬉しかった」
綾は自分が泣き出してしまわないように、慎重に言葉を選んだ。
「またいつか……」
「もう、何も言うな」
次元が言葉をさえぎった。
「下手な芝居なんかいらねぇ」
彼の腕が伸びてきて、抱きしめられた。
優しい抱きしめ方にホッとして身を委ねる。
腕のぬくもりも。
タバコの匂いも。
触れれば触れただけ、離れがたくなっていく。
「……誰もが認める女優になったら、」
次元の声がくぐもって聞こえる。
その言葉に別れを察した綾は、次元の背中に腕を回した。
さっきまでは自ら別れをきりだそうとしていたのに、次元の胸に抱きこまれてしまったらもう、演技なんてできなくなっていた。
今は離れたくない。
もう少しだけ。
あと少しだけ。
「綾」
なだめる様な声色で名前を呼び、次元は彼女の腕をそっと解いた。
綾は泣きそうな顔で次元を見上げる。
大きな瞳が潤んで、ゆらゆらと揺れていた。
「そんな顔をしないでくれ。お前が有名な女優になったら、また会いに行くさ。その時はプレゼントしよう」
次元の手が髪に触れた。
そして、優しいキスをひとつ。
「この金の髪に似合う真っ赤なバラをな……」
おわり
次ページおまけ→
竜が消えると軍隊も引き上げていき、いつの間にか辺りは静けさを取り戻していた。
「…………」
次元は先ほどからずっと黙り込んでいる。
綾も何も言わなかった。
何を言えばいいのか分からなかった。
全てが終わった。
次元はルパン達とともにまた、ユニシアから去っていくのだろう。
綾は葛藤していた。
次元と一緒にいたいが、彼については行けない。
綾の夢は、女優になることだ。
その夢を諦めようとは思っていない。
綾は小さく息を吸った。
女優は、演じるもの。
本当でない事も本当のように見せるもの。
心の葛藤など微塵も見せず、彼が安心して去っていけるように、笑顔とキスで見送ろう。
「次元」
綾は次元を見上げた。
次元はじっと綾を見つめ返している。
「いろいろありがとう。怖くなかったと言えば嘘になるけど、あなたがそばにいてくれて、その……とても嬉しかった」
綾は自分が泣き出してしまわないように、慎重に言葉を選んだ。
「またいつか……」
「もう、何も言うな」
次元が言葉をさえぎった。
「下手な芝居なんかいらねぇ」
彼の腕が伸びてきて、抱きしめられた。
優しい抱きしめ方にホッとして身を委ねる。
腕のぬくもりも。
タバコの匂いも。
触れれば触れただけ、離れがたくなっていく。
「……誰もが認める女優になったら、」
次元の声がくぐもって聞こえる。
その言葉に別れを察した綾は、次元の背中に腕を回した。
さっきまでは自ら別れをきりだそうとしていたのに、次元の胸に抱きこまれてしまったらもう、演技なんてできなくなっていた。
今は離れたくない。
もう少しだけ。
あと少しだけ。
「綾」
なだめる様な声色で名前を呼び、次元は彼女の腕をそっと解いた。
綾は泣きそうな顔で次元を見上げる。
大きな瞳が潤んで、ゆらゆらと揺れていた。
「そんな顔をしないでくれ。お前が有名な女優になったら、また会いに行くさ。その時はプレゼントしよう」
次元の手が髪に触れた。
そして、優しいキスをひとつ。
「この金の髪に似合う真っ赤なバラをな……」
おわり
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