第6話
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「邪魔をして相すまぬが」
すまなさは微塵も感じられない口調で五エ門が2人に割って入った。
「いつまでもここに留まっているのは得策ではない」
「そうだな」
竜を元に戻すという点では次元たちと軍は利害が一致しているのだが、万が一にも犠牲を伴う場合に、ルパンと宝石のどちらを優先にするかで意見が分かれる。
次元の経験上、国王直轄の軍隊など信用できないし、よって、協力もできない。
ルパンと不二子を元に戻すには、軍より先に行動するしかない。
先手をとるしかないのだ。
「滝の上に展望台があるわ。あそこなら竜を見下ろせる」
「およそ軍は高きを好みて下きを悪み、だな」
「いちいち小難しい事いうのやめろって」
3人は走り出した。
川に沿って坂道をのぼり、滝に近づいていく。
ミストと言えば聞こえはいいが、滝からの水しぶきは足もとの岩を濡らし、滑りやすくなっていた。
ピンヒールの綾は足取りがおぼつかなくなった。
観光客用に手すりが設けられているが、それを伝って歩く余裕などない。
「これじゃ走れないわ。2人とも先に行って」
ウサギと竜さえいればいいのだ。
自分はもう必要ない。
ここに置いていかれても構わなかった。
「早く行って。ルパン達を元に戻してあげて」
「置いていけるもんかよ! お前を人質にとられたら“ 俺は ”どうしたらいいんだ!」
次元は数メートル先から駆け戻ってきた。
怒った顔をしている。
「ごちゃごちゃ言わずに手を出せ!」
次元が手を差し伸べた。
綾が黙って右手を差し出すと、彼は荒々しくその手を掴んだ。
引っ張られるようにして走りながら見るその背中は、すらっとしているのに逞しく見える。
(何度も助けてもらった)
綾は思う。
足手まといにだけはなるまいと先に行くよう勧めたのに、次元は置いていかなかった。
『お前を人質にとられたら俺は』
彼の言葉を反芻して、綾は嬉しくなる。
ひとりでに笑みがこぼれた。
「スニーカーだったら良かったのに」
「反則だって怒ってなかったか」
以前ユニシアでプルーデンスの身代わりをした時、こっそり抜け出して次元に追いかけられた事があった。
それを次元も思い出したのだろう、答えた声が笑っていた。
すまなさは微塵も感じられない口調で五エ門が2人に割って入った。
「いつまでもここに留まっているのは得策ではない」
「そうだな」
竜を元に戻すという点では次元たちと軍は利害が一致しているのだが、万が一にも犠牲を伴う場合に、ルパンと宝石のどちらを優先にするかで意見が分かれる。
次元の経験上、国王直轄の軍隊など信用できないし、よって、協力もできない。
ルパンと不二子を元に戻すには、軍より先に行動するしかない。
先手をとるしかないのだ。
「滝の上に展望台があるわ。あそこなら竜を見下ろせる」
「およそ軍は高きを好みて下きを悪み、だな」
「いちいち小難しい事いうのやめろって」
3人は走り出した。
川に沿って坂道をのぼり、滝に近づいていく。
ミストと言えば聞こえはいいが、滝からの水しぶきは足もとの岩を濡らし、滑りやすくなっていた。
ピンヒールの綾は足取りがおぼつかなくなった。
観光客用に手すりが設けられているが、それを伝って歩く余裕などない。
「これじゃ走れないわ。2人とも先に行って」
ウサギと竜さえいればいいのだ。
自分はもう必要ない。
ここに置いていかれても構わなかった。
「早く行って。ルパン達を元に戻してあげて」
「置いていけるもんかよ! お前を人質にとられたら“ 俺は ”どうしたらいいんだ!」
次元は数メートル先から駆け戻ってきた。
怒った顔をしている。
「ごちゃごちゃ言わずに手を出せ!」
次元が手を差し伸べた。
綾が黙って右手を差し出すと、彼は荒々しくその手を掴んだ。
引っ張られるようにして走りながら見るその背中は、すらっとしているのに逞しく見える。
(何度も助けてもらった)
綾は思う。
足手まといにだけはなるまいと先に行くよう勧めたのに、次元は置いていかなかった。
『お前を人質にとられたら俺は』
彼の言葉を反芻して、綾は嬉しくなる。
ひとりでに笑みがこぼれた。
「スニーカーだったら良かったのに」
「反則だって怒ってなかったか」
以前ユニシアでプルーデンスの身代わりをした時、こっそり抜け出して次元に追いかけられた事があった。
それを次元も思い出したのだろう、答えた声が笑っていた。